イランのホルムズ海峡封鎖で日本はどうなる?ガソリン価格や備えを解説

監修者

TFPグループ 代表取締役 田中壮
田中壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

イランによるホルムズ海峡封鎖という緊迫した事態は、原油の約9割を中東に依存する日本にとって深刻な脅威です。
この封鎖は、ガソリンや電気料金の高騰、さらには生活必需品の値上げを通じて、私たちの暮らしに直接的な影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、ホルムズ海峡で今何が起きているのか、日本経済への具体的な影響、そして私たちにできる備えについて詳しく解説します。

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目次

ホルムズ海峡で今何が起きている?最新の封鎖状況を解説

速報として伝えられた情報によると、イラン革命防衛隊はホルムズ海峡の航行を事実上、封鎖する措置に踏み切りました。
現在、海峡を通過する原油タンカーなどの船舶は大幅に減少し、一部の航路では航行が完全に停止している模様です。
これに対し、米国は同盟国と連携し、海峡の航行の自由を確保するための軍事的な選択肢も排除しない構えを見せており、一触即発の緊張状態が続いています。

各国の海運会社は、所属する船舶に対し、ペルシャ湾への進入を当面見合わせるよう指示を出している状況です。

なぜイランはホルムズ海峡の封鎖に踏み切ったのか?その背景とは

イランが自国の経済にも大きな打撃となるホルムズ海峡の封鎖に踏み切ったのは、イスラエルとの軍事的対立の激化が直接的な引き金です。
イスラエルによるイラン国内への攻撃を受け、イラン指導部は対抗措置として、世界のエネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡を「切り札」として使うことを決断しました。
この背景には、国際社会からの経済制裁や国内の政治不安によって追い詰められたイランが、体制の存続をかけて強硬手段に出たという側面もあります。

ホルムズ海峡封鎖が日本に及ぼす3つの深刻な影響

日本の輸入原油の約9割が通過するホルムズ海峡の封鎖は、私たちの生活に多岐にわたる深刻な影響を及ぼします。
エネルギー供給が不安定になることで、燃料価格が直接的に高騰するだけでなく、あらゆる製品やサービスのコストが上昇し、日本経済全体が大きな打撃を受けることになります。
ここでは、特に懸念される3つの影響について具体的に見ていきます。

影響①:ガソリン価格はリッター300円超えも?原油高騰の最悪シナリオ

ホルムズ海峡の封鎖で最も直接的な影響を受けるのがガソリン価格です。
原油の供給が滞ることで、原油価格は急激に高騰します。
専門家の間では、封鎖が長期化した場合、ガソリンの小売価格が1リッターあたり300円を超えるという最悪のシナリオも予測されています。

政府による燃料価格抑制のための補助金も、前例のない原油高騰の前では効果が限定的となり、家計や物流コストを直撃することは避けられないでしょう。

影響②:電気代や食料品も値上げラッシュか?物価上昇への波及

原油価格の高騰は、ガソリン価格だけでなく、電気代や食料品など、生活全般に関わる物価の上昇に波及します。
日本の電力の多くは火力発電に依存しており、燃料である液化天然ガス(LNG)の価格も原油価格に連動して上昇するため、電気料金の値上げは避けられません。
また、輸送コストの上昇は、食料品や日用品などあらゆる商品の価格に転嫁され、私たちの生活をさらに圧迫することが懸念されます。

影響③:円安・株価下落は避けられない?日本経済への大打撃

エネルギーコストの急激な上昇は、日本経済全体に大きな打撃を与えます。
企業の生産コストが増大し、収益が悪化することで株価は下落します。

同時に、原油の輸入価格が跳ね上がることで日本の貿易赤字はさらに拡大し、通貨である円の価値が下落する円安が加速する可能性があります。
一部では1ドル200円といった水準も囁かれており、経済成長が停滞する中で物価だけが上昇するスタグフレーションに陥るリスクも高まっています。

イランによるホルムズ海峡の完全封鎖は現実的に可能なのか?

イランがホルムズ海峡を完全に封鎖する軍事的な可能性はゼロではありません。
イランは多数のミサイルや機雷、小型高速艇を保有しており、物理的に海峡を封鎖する能力を持っています。
しかし、そのような行動は米軍による大規模な軍事介入を招く可能性が極めて高く、イランにとっても体制の崩壊に繋がりかねない危険な賭けです。

そのため、長期にわたる完全な封鎖の可能性は高いとはいえないでしょう。
ただし、封鎖には至らなくても、航行の安全が脅かされるだけで原油価格は高騰するため、影響がないわけではありません。

日本のエネルギーは大丈夫?政府が講じている対策

ホルムズ海峡の封鎖という非常事態に対し、日本政府はエネルギーの安定供給を確保するための対策を講じています。
国会では緊急の質疑が行われ、政府は関係省庁による対策本部を設置し、情報の収集と対応策の検討を急いでいます。

具体的には、備蓄石油の放出準備や、関係国との連携による外交努力、国内のエネルギー関連企業との情報共有などを進めており、国民生活への影響を最小限に抑えるための取り組みが行われています。

約250日分の国家石油備蓄で当面は供給を維持

日本は、エネルギー安全保障の最後の砦として、国家石油備蓄制度を整備しています。
現在、国が保有する「国家備蓄」と、民間企業に義務付けている「民間備蓄」を合わせると、国内消費量の約250日分に相当する石油が確保されています。

この備蓄により、ホルムズ海峡が封鎖されても、直ちに国内の石油供給が途絶えることはありません。
当面は備蓄を取り崩しながら、供給を維持することが可能です。

原油調達先の多様化や代替輸送ルートの確保は進んでいるのか

政府は以前から、中東への過度な原油依存のリスクを認識し、調達先の多様化を進めてきました。
米国、メキシコ、西アフリカ諸国など、中東以外の地域からの輸入を増やす取り組みが続けられています。
また、ホルムズ海峡を迂回する代替輸送ルートとして、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)が保有するパイプラインの活用も検討されています。

しかし、これらのパイプラインの輸送能力には限界があり、ホルムズ海峡経由の輸送量を完全に代替することは困難なのが現状です。

私たちにできる備えは?日常生活で今から意識すべきこと

国家的な危機に対し、個人でできることには限りがありますが、日々の生活の中で意識できる備えはいくつか存在します。
まず、パニックにならず、ガソリンや食料品の過度な買いだめに走らないことが重要です。
社会全体の混乱を避けるため、冷静な行動が求められます。

その上で、自動車の使用を控え公共交通機関を利用したり、家庭での節電を心がけたりするなど、日々のエネルギー消費を抑える工夫が効果的です。
また、今後の物価上昇を見据え、家計の見直しや資産防衛について考えておくことも一つの備えとなります。

ホルムズ海峡封鎖に関するよくある質問

イランによるホルムズ海峡の封鎖を受け、多くの方が疑問や不安を抱えています。
この問題は私たちの生活に直結するため、正確な情報を得ることが重要です。

ここでは、特に多く寄せられる質問について、簡潔に解説します。

Q. 日本の原油輸入はどれくらいホルムズ海峡に頼っているのですか?

日本の原油輸入のうち、約9割がホルムズ海峡を通過しています。
これは、日本の主要な原油輸入先であるサウジアラビアやUAE、カタールといった中東の主要産油国が、ペルシャ湾に面しているためです。

この極めて高い依存度は、ホルムズ海峡の安全が日本のエネルギー安全保障に直結することを意味しています。

Q. 過去にもホルムズ海峡が封鎖された事例はありますか?

ホルムズ海峡は過去に完全に封鎖された事例は一度もありません。1980年代のイラン・イラク戦争中の「タンカー戦争」では、両国が互いのタンカーを攻撃し、海峡の航行の安全が著しく脅かされましたが、完全な封鎖には至りませんでした。 [cite:search_1, search_2, search_5]

今回の事態については、イランがホルムズ海峡の「封鎖」を表明しましたが、これは国際法上の「封鎖(blockade)」には該当しないとする見解もあります。 [cite:search_3, search_4] イランの主張は、敵対的な国の船舶に対して通過を試みた場合に攻撃するというものであり、完全な封鎖とは異なる可能性が指摘されています。 [cite:search_5] このような状況は、過去の緊張状態と比較して、国家が特定の意図をもって航行に影響を与えようとしている点で異なるかもしれません。 [cite:search_6, search_7]

Q. 封鎖が解除される見通しは立っていますか?

現時点において、封鎖が解除される具体的な見通しは立っていません。
封鎖の解除には、イランと米国やイスラエルとの間の外交的な対話が不可欠ですが、各国の主張には大きな隔たりがあります。

国際社会による仲介の努力も続けられていますが、軍事的な緊張が続く限り、状況の打開は困難であり、予断を許さない情勢が続くものと見られます。

まとめ

イランによるホルムズ海峡の封鎖は、日本のエネルギー安全保障を根底から揺るがす深刻な事態です。
原油供給の途絶は、ガソリン価格や電気料金の高騰、さらには広範な物価上昇を招き、日本経済と国民生活に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

政府は石油備蓄の活用や代替ルートの確保といった対策を進めていますが、封鎖が長期化すれば影響は避けられません。
私たち個人としても、省エネルギーを心がけると共に、冷静に情報を収集し、日々の生活や家計を見直すなどの備えが求められます。

執筆者

田中 壮のアバター 田中 壮 株式会社TFPグループ代表取締役

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

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