投資マンションの管理会社を変更する方法|手順・費用・注意点【2026年版】

投資マンションの賃貸経営において、管理会社は非常に重要なパートナーです。入居者の募集、家賃の集金、クレーム対応、退去時の手続きなど、賃貸経営の実務のほとんどを管理会社が担っています。しかし、管理会社の対応に不満を感じていたり、空室が長期化していたりする場合、管理会社の変更を検討すべきかもしれません。本記事では、管理会社を変更すべきサイン、具体的な手順、費用、新しい管理会社の選び方、注意点、そして管理会社変更で利回りが改善した事例まで、詳しく解説します。

1. 管理会社を変更すべき5つのサイン

以下のサインに複数当てはまる場合、管理会社の変更を検討する価値があります。

サイン①: 空室が長期間埋まらない

退去後3ヶ月以上空室が続いている場合、管理会社の入居者募集力に問題がある可能性があります。もちろん、立地や賃料設定の問題もありますが、管理会社が積極的に募集活動を行っていない、ポータルサイトへの掲載が不十分、物件写真の質が低いなどの原因も考えられます。周辺の類似物件が埋まっているのに自分の物件だけ空室が続いている場合は、管理会社の力量を疑うべきです。

管理会社に空室対策として何を行っているか具体的に確認しましょう。「募集しています」という曖昧な回答しか得られない場合は、要注意です。具体的にどのポータルサイトに掲載しているか、内見の件数はどれくらいか、内見者からのフィードバックはどうかなど、数字で確認することが重要です。

サイン②: 連絡が遅い・報告がない

オーナーからの問い合わせに対する返答が遅い、月次の収支報告がない、入居者からのクレームや修繕の報告が遅れるなど、コミュニケーションに問題がある場合は要注意です。管理会社はオーナーの代理として物件を管理しているため、迅速かつ正確な情報共有は最低限の義務です。

特に問題なのは、入居者からのクレームを放置するケースです。水漏れや設備の故障などの対応が遅れると、入居者の不満が蓄積し、退去につながります。退去が増えれば空室率が上がり、収益が悪化するという悪循環に陥ります。

サイン③: 管理委託料が相場より高い

賃貸管理の委託料は、一般的に家賃の3〜5%が相場です。それ以上の管理委託料を支払っている場合、または管理内容に対して割高だと感じる場合は、見直しの余地があります。管理委託料が家賃の5%と3%では、月額家賃10万円の物件で年間2.4万円の差が生まれます。

サイン④: 修繕費が不透明・高額

退去時の原状回復費用や修繕費用が相場より高い、見積もりの内訳が不明確、管理会社の関連業者に発注されており割高になっているなどの場合は問題です。適正な修繕費を把握するために、複数の業者から相見積もりを取ることをおすすめします。

サイン⑤: 契約時の説明と実態が異なる

管理委託契約を結ぶ際に説明された管理内容と、実際のサービス内容に乖離がある場合は、管理会社への信頼が損なわれます。例えば、「月1回の巡回点検」が契約内容に含まれているのに実施されていない、「24時間対応」と謳っていたのに夜間の対応がないなどのケースです。

2. 管理会社変更の手順(6ステップ)

管理会社の変更は、以下の6ステップで進めます。トラブルを避けるため、計画的に進めましょう。

ステップ1: 現在の管理委託契約書を確認する

まず、現在の管理会社との管理委託契約書を確認します。以下の項目を重点的にチェックしましょう。

ステップ2: 新しい管理会社を選定する

現在の管理会社に解約を通知する前に、新しい管理会社の候補を複数社ピックアップし、比較検討します。最低でも3社以上に話を聞き、管理内容・費用・実績を比較しましょう。新しい管理会社が決まってから解約通知を出すことで、管理の空白期間を防ぐことができます。

ステップ3: 現在の管理会社に解約を通知する

新しい管理会社が決まったら、現在の管理会社に書面で解約を通知します。解約予告期間を守って通知することが重要です。口頭だけでなく、必ず書面(内容証明郵便が望ましい)で通知しましょう。

解約通知には以下の内容を記載します。

ステップ4: 新しい管理会社と契約する

新しい管理会社と管理委託契約を締結します。契約内容を十分に確認し、不明点は契約前に質問して解消しておきましょう。特に以下の点を確認します。

ステップ5: 入居者への通知

管理会社の変更を入居者に書面で通知します。通知は管理会社の変更日の少なくとも1ヶ月前に行いましょう。通知書には以下の内容を記載します。

なお、管理会社が変更になっても、賃貸借契約自体は変わりません。入居者にとっては家賃の振込先と連絡先が変わるだけなので、大きな負担はありません。

ステップ6: 引継ぎの実施

旧管理会社から新管理会社への引継ぎを行います。以下の書類・物品の引継ぎが必要です。

引継ぎ項目内容
物件の鍵・共用部の鍵・メールボックスの鍵など
賃貸借契約書入居者との賃貸借契約書の原本またはコピー
入居者情報入居者の連絡先・勤務先・緊急連絡先など
保証会社の契約書家賃保証会社との契約書類
敷金・保証金入居者から預かっている敷金・保証金の精算
修繕履歴過去の修繕記録・設備の保証書など
家賃の入金状況家賃の入金状況・滞納の有無

3. 変更時の費用と違約金

管理会社の変更にかかる費用を事前に把握しておきましょう。

現在の管理会社への費用

費用項目金額の目安備考
違約金0円〜家賃1〜2ヶ月分解約予告期間を守れば不要なケースが多い
解約予告期間中の管理委託料通常通り解約予告期間中は管理委託料の支払いが必要
敷金等の精算預かり金の返還を受ける(費用ではない)

新しい管理会社への費用

費用項目金額の目安備考
契約事務手数料0〜数万円無料の管理会社も多い
初月の管理委託料家賃の3〜5%日割り計算の場合あり

多くの場合、管理会社の変更にかかる費用は数万円以内に収まります。解約予告期間を守り、契約書に違反しない形で解約すれば、違約金が発生しないケースがほとんどです。

⚠️ 違約金に関する注意点

一部の管理会社では、契約期間中の途中解約に高額な違約金を設定しているケースがあります。「契約期間中の解約は残存期間分の管理委託料を違約金として支払う」などの条項がある場合は要注意です。契約前に解約条件を十分に確認し、不当に高額な違約金が設定されている場合は交渉しましょう。

4. 新しい管理会社の選び方

管理会社の変更で最も重要なのは、新しい管理会社の選定です。以下のポイントを基準に比較検討しましょう。

チェックポイント①: 入居率・空室対策力

管理会社の最も重要な役割は入居者を確保することです。管理物件の平均入居率を確認しましょう。入居率95%以上を維持している管理会社は優秀です。また、空室時の募集方法(掲載するポータルサイトの数、写真撮影のクオリティ、VR内見の対応など)も確認しましょう。

チェックポイント②: 管理委託料

管理委託料の相場は家賃の3〜5%です。ただし、安ければ良いというわけではありません。管理委託料が安い代わりにサービス内容が限定的な場合もあります。管理委託料とサービス内容のバランスで判断しましょう。

チェックポイント③: 対応エリアと管理戸数

物件のあるエリアに強い管理会社を選ぶことが重要です。そのエリアの賃貸市場に精通しており、入居者募集のネットワークを持っている管理会社が望ましいです。管理戸数が多すぎる場合は1物件あたりの対応が手薄になる可能性がある一方、少なすぎる場合はノウハウや実績が不足している可能性があります。

チェックポイント④: コミュニケーション

オーナーへの報告体制(月次報告の有無・内容)、連絡手段(電話・メール・LINE・専用アプリなど)、レスポンスの速さを確認しましょう。問い合わせへの返答が翌営業日以内に来るかどうかは、管理会社の対応力を測る良い指標です。

チェックポイント⑤: 口コミ・評判

インターネット上の口コミや、他のオーナーからの評判も参考にしましょう。ただし、口コミには偏りがある場合もあるため、複数の情報源から判断することが重要です。可能であれば、その管理会社に管理を委託している他のオーナーに直接話を聞くのが最も信頼性が高い方法です。

管理会社選びの比較表(テンプレート)

比較項目A社B社C社
管理委託料家賃の○%家賃の○%家賃の○%
管理戸数○戸○戸○戸
平均入居率○%○%○%
対応エリア○○区中心○○市全域○○県全域
報告体制月次報告あり月次報告あり四半期報告
24時間対応ありありなし
解約条件1ヶ月前通知2ヶ月前通知3ヶ月前通知

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5. 変更時の注意点

管理会社の変更をスムーズに進めるために、以下の注意点を押さえておきましょう。

注意点①: 保証会社の引継ぎ

家賃保証会社の引継ぎは、管理会社変更時の最も重要なポイントの一つです。新しい管理会社が現在の保証会社と提携していれば、そのまま引き継げるケースが多いです。提携していない場合は以下の対応が必要になります。

事前に新旧の管理会社と保証会社に確認し、引継ぎの方法と費用を把握しておきましょう。

注意点②: 入居者への丁寧な通知

管理会社の変更は入居者にとっても影響があります。家賃の振込先変更など、入居者に手間をかけることになるため、丁寧な通知を心がけましょう。通知書は新旧の管理会社の連名で発行するのが理想的です。口座振替を利用している場合は、新しい口座への振替手続きに時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで進めましょう。

注意点③: 敷金・保証金の引継ぎ

入居者から預かっている敷金・保証金は、旧管理会社からオーナーに返還された後、新管理会社に預け入れるか、オーナーが自分で管理するかを決める必要があります。敷金の金額と入居者ごとの内訳を正確に確認し、書面で引継ぎましょう。

注意点④: 管理の空白期間を作らない

旧管理会社の管理終了日と新管理会社の管理開始日を同日にし、管理の空白期間を作らないことが重要です。空白期間中に入居者からのクレームや緊急事態が発生すると、対応できなくなります。

注意点⑤: 旧管理会社との関係

解約を通知した後、旧管理会社の対応が悪化するケースがまれにあります。引継ぎがスムーズに進むよう、感情的にならず、ビジネスライクに対応しましょう。引継ぎ事項はすべて書面で確認し、記録を残しておくことが重要です。

6. 管理会社変更で利回りが改善した事例

管理会社の変更によって実際に利回りが改善した事例を紹介します。

事例①: 空室解消で利回りが大幅改善

項目変更前変更後
物件東京都板橋区・ワンルーム(築18年)
月額家賃6.8万円6.5万円(適正賃料に見直し)
空室期間5ヶ月(年間稼働率58%)退去後1ヶ月で入居決定(年間稼働率92%)
管理委託料家賃の5%家賃の3.5%
年間NOI約32万円約56万円
実質利回り(物件価格1,300万円)2.46%4.31%

新しい管理会社が賃料を適正価格に見直し、ポータルサイトへの掲載を強化したことで、空室期間が大幅に短縮されました。管理委託料の引き下げと合わせて、実質利回りが1.85ポイント改善しました。

事例②: 管理コスト削減で手取り収入が増加

項目変更前変更後
物件大阪市中央区・ワンルーム(築12年)
月額家賃7.5万円7.5万円(変更なし)
管理委託料家賃の5.5%(月額4,125円)家賃の3%(月額2,250円)
原状回復費(退去1回あたり)平均18万円平均10万円(適正化)
年間コスト削減額約10.5万円

管理委託料の引き下げに加え、退去時の原状回復費用が適正化されたことで、年間約10.5万円のコスト削減を実現しました。旧管理会社では関連業者に高額な修繕を発注していたことが判明し、新管理会社では複数業者からの相見積もりを取る体制に変更しました。

事例③: 賃料アップと入居率向上の両立

項目変更前変更後
物件横浜市・1K(築8年)
月額家賃7.0万円7.3万円(設備投資後に値上げ)
設備投資無料Wi-Fi導入(月額4,000円)、宅配ボックス設置
空室期間退去後平均2.5ヶ月退去後平均0.8ヶ月
年間家賃収入(実効)約73.5万円約83.2万円

新しい管理会社の提案で無料Wi-Fiと宅配ボックスを導入し、家賃を3,000円アップ。それでも空室期間が短縮され、年間の実効家賃収入が約9.7万円増加しました。

なお、投資マンションの売却を検討する場合、所有期間5年超であれば長期譲渡所得として約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)の税率が適用されます。5年以下の場合は短期譲渡所得として約39.63%となるため、売却タイミングも重要な判断要素です。

出典: 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」(令和7年4月1日現在法令等)

7. 管理委託契約書のチェックポイント

新しい管理会社と契約する際、管理委託契約書の以下のポイントを必ず確認しましょう。後からトラブルにならないよう、不明点は契約前に質問して解消しておくことが重要です。

必ず確認すべき条項

確認項目チェックポイント
管理業務の範囲入居者募集・家賃集金・クレーム対応・退去手続き・定期巡回など、何が含まれているか
管理委託料金額・計算方法(家賃の○%)・支払い時期・空室時の扱い
契約期間契約期間の長さ・自動更新の有無・更新条件
解約条件解約予告期間・違約金の有無と金額・解約の方法
修繕の権限オーナーの事前承認が必要な金額の基準(例: 5万円以上は事前承認必要)
報告義務月次報告の有無・報告内容・報告方法
免責事項管理会社が責任を負わないケースの範囲
損害賠償管理会社の過失による損害の賠償範囲

💡 空室時の管理委託料に注意

管理委託料が「家賃の○%」と設定されている場合、空室時は管理委託料が発生しないのが一般的です。しかし、一部の管理会社では空室時にも固定の管理料を請求するケースがあります。契約前に空室時の扱いを必ず確認しましょう。

また、国土交通省の不動産価格指数によると、マンション(区分所有)の価格指数は2010年を100として約195.7(2025年12月公表)に達しています。物件価格が上昇している今こそ、管理を最適化して収益を最大化することが重要です。

出典: 国土交通省「不動産価格指数」(2025年12月公表)

よくある質問

管理会社を変更するのにどれくらいの期間がかかる?

一般的に1〜3ヶ月程度かかります。現在の管理会社への解約通知(通常1〜3ヶ月前)、新しい管理会社の選定・契約、入居者への通知、鍵や書類の引継ぎなどの手続きが必要です。

管理会社の変更に費用はかかる?

主な費用は、現在の管理会社への違約金(契約内容による、0〜家賃1〜2ヶ月分程度)と、新しい管理会社との契約時の事務手数料(0〜数万円)です。解約予告期間を守れば違約金は不要なケースが多いです。

管理会社を変更すると入居者に影響はある?

家賃の振込先変更、緊急連絡先の変更などが発生します。入居者には書面で通知し、家賃の振込先変更は少なくとも1ヶ月前には案内しましょう。賃貸借契約自体は変わらないため、入居者の大きな負担にはなりません。

管理会社を変更すると利回りは改善する?

管理委託料の引き下げ、空室期間の短縮、適切な賃料設定、修繕費の適正化などにより、利回りが改善するケースは多くあります。管理委託料の差だけでも年間数万円のコスト削減になります。

管理会社変更時に保証会社はどうなる?

新しい管理会社が同じ保証会社と提携していれば引き継げるケースが多いです。提携していない場合は保証会社の変更が必要になることがあり、入居者に再審査や追加費用が発生する可能性があります。事前に確認しておきましょう。