定期預金をおすすめしない理由|メリット・デメリットを比較し賢い投資へ

監修者

TFPグループ 代表取締役 田中壮
田中壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

かつては安全な資産形成の代名詞だった定期預金ですが、現在の経済状況では必ずしも最適な選択とは言えません。
本記事では、専門家が定期預金をおすすめしない理由を深掘りし、そのメリット・デメリットを比較します。

ご自身の資産状況と目的に合わせ、将来を見据えた賢いお金の置き場所を見つけるために、定期預金以外の選択肢としてどのような投資があるのかも具体的に解説します。

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目次

専門家が定期預金をおすすめしない5つの明確な理由

多くの専門家が定期預金の利用に慎重な見方を示すのには、明確な理由があります。
低金利により資産がほとんど増えない現実や、インフレによる実質的な価値の目減りなど、資産を「ただ寝かせているだけ」の状態が「もったいない」だけでなく「損する」ことにも繋がりかねません。
資金が固定される不便さや、預金保険制度の限度額といったリスクも見過ごせません。

これらの理由から、現在の資産状況や今後のライフプランに合わせ、定期預金の必要性について一度見直しをするべきか検討することが推奨されます。
これからの時代に合った資産形成をするべきです。

理由1:金利が低すぎて資産がほとんど増えない現実

定期預金をおすすめしない最大の理由は、その金利の低さにあります。
現在の日本では超低金利政策が続いており、大手銀行の定期預金金利は年0.002%程度というケースも珍しくありません。
これは、100万円を1年間預けても利息がわずか20円(税引前)にしかならない計算です。

この程度の利息では、ATMの時間外手数料を一度支払うと相殺されてしまうほどのものです。
資産を増やすという本来の目的を達成するのは極めて困難であり、お金を銀行に無償で貸し出しているのに近い状態と言えます。
資産形成において、この金利水準は効果的な手段とは言えないのが現実です。

理由2:インフレに弱く、お金の価値が実質的に目減りする

インフレとは、物価が上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。
わかりやすく言うと、去年100円で買えたものが今年は102円出さないと買えなくなるような状況を指します。
仮に物価が年2%上昇するインフレ状況下で、定期預金の金利が年0.002%だとすると、預金しているお金の額面はわずかに増えても、そのお金で買えるモノの量は減ってしまいます。

つまり、資産は実質的に目減りしているのです。
インフレのリスクから資産を守るためには、少なくともインフレ率を上回るリターンを目指せる金融商品を選ぶ必要があり、現在の低金利な定期預金ではその役割を果たすことが困難です。

理由3:満期まで資金が固定され、急な出費に対応しにくい

定期預金は、預け入れた資金を一定期間引き出さないことを前提に、普通預金よりわずかに高い金利が設定されています。
この「一定期間」が満期であり、原則として満期を迎えるまでお金を引き出すことはできません。
もし急な病気や失業、冠婚葬祭などで現金が必要になった場合、中途解約をせざるを得なくなります。

中途解約は可能ですが、その際には通常の定期預金金利ではなく、大幅に低い中途解約利率が適用されてしまいます。
このように資金が固定される「流動性の低さ」は、予期せぬ出費への対応を難しくするだけでなく、より有利な投資機会が現れた際に資金を動かせないという機会損失にも繋がります。

理由4:1,000万円を超えると元本が全額保証されない

日本の金融機関は預金保険制度(ペイオフ)に加入しており、万が一金融機関が破綻した場合でも預金は保護されます。
しかし、この保護には上限があり、1金融機関につき預金者1人あたり「元本1,000万円までとその利息」と定められています。
つまり、同じ銀行に1,000万円を超える預金(例えば1,100万円)をしていた場合、破綻時には100万円と利息の一部は保護されず、戻ってこない可能性があります。

これは定期預金だけでなく普通預金も合算して計算されます。
1,000万円以上のまとまった資金を持つ人にとっては、全額が保証されるわけではないというリスクを認識しておく必要があります。

理由5:満期後の自動継続で有利な金利を逃す可能性がある

定期預金を預け入れる際、満期時の取り扱いを「自動継続」に設定するケースが多くあります。
自動継続は手間がかからず便利ですが、注意が必要です。
特に、初回預け入れ時にキャンペーンなどの有利な金利が適用されていた場合、継続後はその時点での通常金利が適用されるため、金利が大幅に下がってしまうことがほとんどです。

満期が来たことに気づかず放置していると、知らず知らずのうちに非常に低い金利で運用を続けることになり、より条件の良い他の金融商品や投資機会を逃す原因となります。
定期的な見直しをしないと、機会損失を生む可能性があります。

一方で、定期預金にも見逃せない3つのメリット

これまで定期預金をおすすめしない理由を述べてきましたが、一方で、その手堅い魅力から依然として一定の人気や評判があるのも事実です。
特に、投資のようなリスクを取ることなく資産を安全に管理したいと考える層にとっては、見逃せないメリットが存在します。

元本が保証される安心感や、計画的に貯蓄を進められる仕組みは、定期預金ならではの利点と言えるでしょう。
すべての人にとって不要なわけではなく、その特性を理解した上で活用することが重要です。

メリット1:普通預金よりは金利が有利に設定されている

定期預金の金利は、歴史的な低水準にあるとはいえ、一般的には同じ銀行の普通預金よりは高く設定されています。
普通預金は日々の入出金に対応するための口座であり、金利は最低限に抑えられています。
それに対し、定期預金は一定期間資金を預けるという制約があるため、その対価としてわずかなながら金利が上乗せされる仕組みです。

その差は微々たるものですが、使う予定のないお金を普通預金口座にただ置いておくよりは、少しでも有利な条件で預けたいと考える場合に選択肢となります。
特にキャンペーン金利などを利用すれば、その差は一時的に大きくなることもあります。

メリット2:元本が保証されるため資産が減る心配がない

定期預金の最大のメリットは、預金保険制度の範囲内であれば元本保証である点です。
株式投資や投資信託などの金融商品は、リターンが期待できる一方で、市場の変動によっては購入した価格を下回り、元本割れを起こすリスクが常に伴います。

しかし、定期預金は満期まで預ければ、預け入れた元本が減ることはありません。
この「資産が減らない」という絶対的な安心感は、リスクを避けたい人や、大切なお金を確実に守りたいというニーズに合致します。
投資の価格変動による精神的なストレスを感じることなく、堅実に資産を管理できる点が大きな強みです。

メリット3:計画的な貯蓄がしやすく、貯金が苦手な人でも続けやすい

定期預金は、満期まで原則として引き出せないという性質を持っているため、強制的に貯金をする仕組みとして非常に有効です。
普通預金口座にお金があるとつい使ってしまうという人でも、定期預金にしておけば簡単には手を出せません。
また、毎月決まった日に決まった金額を普通預金から振り替えて積み立てる「積立定期預金」を利用すれば、給料日に例えば5万円ずつなど、自動的に先取り貯金ができます。

これにより、意志の力に頼ることなく、計画的に目標額までお金を貯めていくことが可能です。
貯金が苦手な人にとって、着実に資産を形成するためのペースメーカーとなってくれます。

【賢い使い方】定期預金が有効な3つのケース

定期預金は資産を増やす目的には不向きですが、その特性を活かせる場面も存在します。
「守り」の資産として活用するなら、依然として有効な選択肢です。
例えば、万が一の事態に備える生活防衛資金や、数年以内に使い道が決まっている資金の保管場所としては最適です。

ここでは、定期預金を賢く利用するための具体的な3つのケースを例に挙げて解説します。

ケース1:生活防衛資金を安全に確保しておきたい

生活防衛資金とは、病気やケガ、失業といった不測の事態に備え、当面の生活を維持するためのお金です。
一般的に、生活費の3ヶ月分から1年分程度が目安とされます。
この資金の最も重要な役割は「必要な時にすぐに使えること」と「元本が減らないこと」です。

したがって、価格変動リスクのある投資商品は保管場所として適していません。
万が一の時に資産が0円になっていては意味がないからです。
元本が保証され、安全に保管できる定期預金は、生活の土台となるこの資金を確保しておくのに最適な場所と言えます。

ケース2:数年以内に使う予定が決まっているお金を保管する

3年後の結婚資金、5年後の住宅購入の頭金、子供の進学費用など、数年以内に使い道と時期が明確に決まっているお金は、リスクに晒すべきではありません。
例えば、支払う予定の資金を投資に回し、いざ使おうというタイミングで相場が下落していたら、必要な金額を用意できなくなる恐れがあります。
このような短期から中期の資金は、資産を増やすことよりも、計画通りに使える状態で確実に保持しておくことが最優先です。

元本保証の定期預金は、こうした特定の目的に向けてお金を安全に保管する上で非常に有効な手段となります。

ケース3:投資を始める前の資金を一時的に置いておく

これから資産運用を始めようと考えているものの、まだ投資先を決めかねていたり、投資の勉強をしていたりする段階での資金の置き場所としても定期預金は活用できます。
投資はタイミングも重要であり、焦って始めるべきではありません。
かといって、まとまった資金を金利の低い普通預金にほったらかしにしておくのも非効率です。

そのような場合、まずは短期の定期預金に預けておき、普通預金よりは少しでも良い金利で待機させておくという使い方が考えられます。
本格的な資産運用を始めるまでの「一時避難場所」として利用するのです。

定期預金の代わりに検討したい資産の置き場所3選

定期預金のデメリットを考慮し、より効率的な資産の置き場所を探しているのであれば、いくつかの選択肢が考えられます。
流動性を重視するならネット銀行の普通預金、積極的に資産を増やしたいなら新NISA、安全性を保ちつつ少しでもリターンを狙うなら個人向け国債が候補となります。
それぞれの特徴を理解し、自分の目的やリスク許容度に合ったものを選びましょう。

選択肢1:高金利なネット銀行の普通預金で流動性を確保する

近年、あおぞら銀行をはじめとする一部のネット銀行は、メガバンクや信用金庫の定期預金を上回る金利を普通預金で提供しており、口コミでも評判です。
ネットバンキングを主体とすることで店舗コストを抑え、その分を金利に還元しています。

これらの銀行の普通預金は、定期預金のように資金が長期間固定されることがなく、必要な時にいつでも引き出せる高い流動性が魅力です。
ATM手数料や振込手数料の優遇サービスも充実していることが多く、利便性と収益性の両方を求める場合に有力な選択肢となります。

選択肢2:新NISAを活用して投資信託で資産を増やす

将来のために長期的な視点で資産を大きく増やしたいのであれば、新NISAの活用がおすすめです。
特に投資信託は、少額から始められ、国内外の株式や債券などに分散投資ができるため、リスクを抑えながら世界経済の成長の恩恵を受けることが期待できます。

新NISAの最大のメリットは、運用で得た利益が非課税になる点で、効率的な資産形成に繋がる強力な節税効果があります。
もちろん元本保証ではありませんが、余裕資金で時間をかけて取り組むことで、インフレに負けない資産作りを目指せます。

選択肢3:個人向け国債で元本割れリスクを抑えつつ運用する

「投資は始めたいが、元本割れは避けたい」という人には、個人向け国債が適しています。
これは国が発行する債券で、日本国が存続する限り元本と利息の支払いが保証されるため、極めて安全性の高い金融商品です。

特に「変動10年」タイプは、市場金利の変動に合わせて半年ごとに金利が見直され、年率0.05%の最低金利が保証されています。
金利はメガバンクの定期預金より高くなる傾向があり、元本保証の安心感を確保しつつ、定期預金以上のリターンを期待できる選択肢として有効です。

定期預金に関するよくある質問

ここでは、定期預金に関して多くの人が抱く疑問について、簡潔に回答します。
インフレとの関係や、投資への移行タイミング、その他の安全な運用方法など、判断に迷うポイントを解消します。

なぜ定期預金はインフレでお金の価値が減るのですか?

物価の上昇率に預金金利が追いつかず、同じ金額で買えるモノやサービスが減ってしまうためです。
例えば、年2%のインフレ下で金利が年0.002%の場合、100万円の価値は1年後には実質的に約98万円に目減りします。
額面は増えても、購買力が低下することで、お金の価値は実質的に減ってしまうのです。

今すぐ定期預金を解約して投資を始めるべきですか?

一概には言えません。
資金の目的やリスク許容度によります。
生活防衛資金や数年以内に使う予定のお金は、安全性を優先して定期預金に残しておくべきです。

投資は、当面使う予定のない余裕資金で始めるのが鉄則です。
焦って解約せず、まずは自分の資産を目的別に色分けすることから始めましょう。

定期預金以外で、元本保証に近い安全な運用方法はありますか?

個人向け国債は、国が発行するため元本割れのリスクがなく安全性が非常に高いです。
iDeCoは元本確保型商品も選べますが、原則60歳まで引き出せません。
また、ドル建て預金などの外貨預金は、預金保険の対象外であり、為替レートの変動で元本割れするリスクがあるため、元本保証とは異なります。

まとめ

定期預金は元本保証という絶対的な安心感がある一方、超低金利とインフレにより資産が実質的に目減りするリスクを抱えています。
そのため、資産を増やす目的での利用はおすすめできません。
しかし、生活防衛資金や使い道が決まっている短期資金の保管場所としては、今なお有効な選択肢です。

重要なのは、全てのお金を一つの場所に置くのではなく、資金の目的に応じて、ネット銀行の高金利普通預金、新NISA、個人向け国債といった他の選択肢と賢く使い分けることです。
ご自身のライフプランに合わせて、最適な資産の置き場所を見直してみてはいかがでしょうか。

執筆者

田中 壮のアバター 田中 壮 株式会社TFPグループ代表取締役

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

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