準富裕層とは?割合・年収から資産運用で1億円を目指す方法

監修者

TFPグループ 代表取締役 田中壮
田中壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

準富裕層とは、一般的に純金融資産5,000万円以上1億円未満の世帯を指します。
この記事では、準富裕層の定義や日本における割合、年収などの実態を解説します。
資産5,000万円という節目に到達した方、あるいは準富裕層を目指す方が、次の目標である資産1億円を達成するための資産運用や具体的な戦略についても掘り下げていきます。

マネーフォース家計相談
目次

準富裕層とは?純金融資産5,000万円以上が基準

準富裕層とは、野村総合研究所(NRI)の定義によると、世帯の純金融資産が5,000万円以上1億円未満の層を意味します。
つまり、準富裕層になるには、預貯金や株式などの金融資産から負債を差し引いた資産額で、5,000万円という基準を達成する必要があります。
資産形成における一つの大きな到達点であり、富裕層へのステップアップを目指す段階と位置づけられています。

純金融資産の定義と具体的な計算方法

純金融資産とは、世帯が保有する預貯金、株式、投資信託、生命保険などの金融資産の合計額から、住宅ローンや自動車ローンといった負債を差し引いた金額のことです。
計算式は「金融資産−負債=純金融資産」となります。

この計算には、土地や家などの不動産(実物資産)は含まれません。
したがって、高額な家を所有していても、住宅ローンが多く残っている場合や、貯金・貯蓄が少ない場合は純金融資産は低くなります。

マス層から超富裕層まで5つの階層における位置づけ

野村総合研究所(NRI)は、純金融資産保有額に基づいて市場を5つの階層に分類しています。
下から「マス層(3,000万円未満)」、「アッパーマス層(3,000万円以上5,000万円未満)」、「準富裕層(5,000万円以上1億円未満)」、「富裕層(1億円以上5億円未満)」、「超富裕層(5億円以上)」です。
準富裕層は上位から3番目に位置し、アッパーマス層との違いは資産5,000万円の壁を超えている点にあります。

この階層は、いわゆる「金持ち」と呼ばれる層への入り口と見なされています。

【データで見る】準富裕層の割合や年収・職業の実態

準富裕層は、日本の全世帯の中でどのような特徴を持つのでしょうか。
野村総合研究所の調査データを基に、日本における準富裕層の割合や世帯数、推計される年収や職業といった実態を解説します。

世帯単位だけでなく、個人のキャリアや働き方がどのように資産形成へ結びつくのか、その傾向を探ります。

日本全体における準富裕層の割合は約6.3%

野村総合研究所が2025年2月13日に発表した2023年の推計によると、日本の富裕層と超富裕層を合わせた世帯数は165.3万世帯です。これは2021年の148.5万世帯から11.3%増加しています。

この推計では、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の「富裕層」が153.5万世帯、純金融資産保有額が5億円以上の「超富裕層」が11.8万世帯とされています。

この富裕層・超富裕層を合わせた世帯数は、日本全体で見ると比較的少数派であることがわかります。

【年代別】30代・40代・50代で準富裕層はどれくらいいる?

準富裕層に到達する年齢は、年代が上がるにつれて増加する傾向があります。
金融広報中央委員会の調査を参照すると、金融資産5,000万円以上を保有する世帯は、30代ではまだ少数ですが、40代から徐々に増え始め、50代や60代でその割合が大きく上昇します。

特に、管理職への昇進や子育ての終了など、収入の増加と支出の減少が重なる40歳以降に資産形成が加速し、準富裕層の基準に到達するケースが多く見られます。

世帯年収は1,000万円~2,000万円が多い傾向

準富裕層の年収に明確な定義はありませんが、一般的に世帯年収が1,000万円から2,000万円の範囲にあることが多いとされています。
片働きで高年収のケースもありますが、夫婦共働きでそれぞれが安定した収入を得る「パワーカップル」が、着実に資産を築いて準富裕層に到達する事例も少なくありません。

ただし、年収が高いだけでは到達は難しく、収入から支出を引いた額をいかに効率的に貯蓄や投資に回せるかが重要です。

職業は会社員や共働き、専門職が中心

準富裕層になるには、必ずしも起業家や経営者である必要はありません。
実際には、医師、弁護士、公認会計士といった専門職や、大手企業の管理職、外資系企業に勤務する会社員などが多くを占めます。

また、夫婦共働きで堅実にキャリアを積み上げ、計画的な資産形成を行った結果、準富裕層に到達する世帯も中心的な存在です。
安定した高い給与収入を長期間にわたって得ながら、支出を管理することが準富裕層への道筋となります。

資産5,000万円の壁|準富裕層が直面するお金の悩み

資産が5,000万円に到達すると、資産形成における一つの目標を達成した満足感を得られますが、同時に新たな悩みに直面します。
この段階は、これまでの貯蓄中心の考え方から、資産を「守り・増やす」ステージへの転換点です。
預貯金だけではインフレに負けてしまうリスクや、税負担の増加など、アッパーマス層までとは異なる特有の不安や課題が生じます。

預貯金だけでは資産の増加スピードが鈍化しやすい

5,000万円という金融資産を預貯金だけで保有していると、資産の増加ペースは著しく鈍化します。
低金利下では利息によるリターンはほとんど期待できず、インフレが起これば資産の実質的な価値は目減りしてしまいます。

これまでの「貯める」フェーズから、資産に働いてもらう「運用」のフェーズへと移行しなければ、富裕層へのステップアップは難しいでしょう。
ある程度の生活防衛資金を確保した上で、余裕資金を積極的に投資に回す判断が求められます。

所得税や住民税など税金の負担が重くなり始める

準富裕層は高収入の世帯が多いため、所得税や住民税の負担が重くなる傾向にあります。
年収が上がるほど所得税の累進課税率が高くなり、手取り収入の伸びが鈍化します。
また、株式投資や不動産投資から得られる配当所得や譲渡所得、不動産所得にも税金がかかります。

資産が増えるほど、節税への意識が重要になり、NISAやiDeCoといった非課税制度の活用が、手元に残る資産を最大化する上で不可欠な暮らしの知恵となります。

5,000万円では老後資金や完全なFIREには不安が残る

資産5,000万円は大きな金額ですが、退職金に頼らず、ゆとりある老後生活を送り、完全に仕事を辞めるFIRE(Financial Independence, Retire Early)を実現するには、十分とは言えない場合があります。

特にリタイア後の人生が長い場合、資産を取り崩すだけで生活していくと、想定外の出費やインフレによって資金が枯渇するリスクがあります。

そのため、資産収入だけで生活費を賄う完全なFIREではなく、好きな仕事で収入を得ながら生活するサイドFIREを目指すなど、現実的な出口戦略を考える必要があります。

準富裕層から資産1億円の富裕層へステップアップする資産運用戦略

純金融資産5,000万円を達成した準富裕層が、次の目標である1億円の富裕層へと移行するためには、これまで以上に戦略的な資産運用が不可欠です。
預貯金中心の守りの姿勢から、リスクを適切に管理しながらリターンを狙う投資へと軸足を移す必要があります。
ここからは、富裕層を目指すための具体的な資産運用戦略を解説します。

守りながら増やす「コア・サテライト戦略」の考え方

コア・サテライト戦略は、資産全体を「コア(中核)」と「サテライト(衛星)」の2つに分けて運用する手法です。
資産の大部分を占めるコア部分では、インデックスファンドなど比較的低リスクの金融商品で長期的に安定したリターンを目指し、資産を守ります。
一方、残りのサテライト部分では、個別株や成長性の高いテーマ型ファンドなど、より高いリターンを期待できる資産に投資し、積極的に資産を増やすことを狙います。

この戦略により、リスクを抑えながら効率的な資産成長を目指せます。

株式投資:インデックスファンドと高配当株を組み合わせる

株式投資は、準富裕層が資産を増やすための中心的な手段です。
コア運用として、S&P500や全世界株式(オール・カントリー)といった株価指数に連動するインデックスファンドへの長期・積立・分散投資が有効です。
これにより、市場全体の成長を安定的に享受できます。

さらに、サテライト運用として、定期的に配当金が得られる高配当株を組み合わせることで、キャッシュフローを強化し、精神的な安定にもつなげることができます。

不動産投資:インカムゲインでキャッシュフローを安定させる

不動産投資は、株式などの金融資産とは値動きの異なる実物資産への分散投資として有効です。
特に、マンションやアパートなどの収益物件を所有し、賃貸経営によって家賃収入(インカムゲイン)を得るモデルは、安定したキャッシュフローを生み出します。

このインカムゲインは、老後の年金を補完したり、他の投資への資金源になったりします。
ただし、空室リスクや管理の手間、物件価格の変動リスクも伴うため、十分な情報収集と計画が必要です。

節税対策:新NISAやiDeCoの非課税制度を最大限に活用する

資産運用で得た利益には通常約20%の税金がかかりますが、新NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といったサービスを利用することで、この税金が非課税になります。
新NISAは年間最大360万円、生涯で1,800万円までの投資で得た利益が非課税となる非常に強力な制度です。
iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、所得税・住民税を軽減できます。

これらの非課税制度を最大限に活用することが、効率的な資産形成の鍵となります。

準富裕層に関するよくある質問

ここでは、準富裕層に関して多くの方が抱く疑問について回答します。
独身世帯の基準や具体的な消費スタイル、そして資産5,000万円を達成した後に取るべき行動など、気になるポイントを解説します。

結婚や相続といったライフイベントとの関連も踏まえて、参考にしてください。

独身の場合、準富裕層の基準は変わりますか?

結論として、基準は変わりません。
野村総合研究所の定義は「世帯」の純金融資産を基準としており、独身の場合は個人の資産がそのまま世帯の資産と見なされます。
したがって、独身の方でも純金融資産が5,000万円以上1億円未満であれば準富裕層に該当します。

準富裕層の人はどのような消費スタイルですか?

華美な浪費よりも、自己投資や経験価値を重視する傾向があります。
資産形成への意欲が高いため無駄遣いは避けますが、自身のスキルアップや健康、家族との旅行、子供の教育など、将来的なリターンが見込めるものには積極的にお金を使うことが特徴です。
生活レベルや生活水準は高いものの、堅実な一面を併せ持ちます。

資産5,000万円に到達したら、まず何から始めるべきですか?

まず、現在の資産状況(ポートフォリオ)を正確に把握し、自身のライフプランと照らし合わせることが重要です。
預貯金と投資の比率、リスク許容度を再評価し、今後の目標(富裕層、FIREなど)を具体的に設定しましょう。
その上で、新NISAの活用や節税対策、将来の相続も見据えた資産配分の見直しに着手することをおすすめします。

まとめ

準富裕層は、純金融資産5,000万円以上1億円未満の世帯と定義されます。
この段階に到達すると、預貯金中心の資産形成から、株式投資や不動産投資などを活用した本格的な資産運用へと移行する転換期を迎えます。

コア・サテライト戦略を基本に、新NISAなどの非課税制度を最大限活用しながら、税金や将来のリスクに備えることが、資産1億円の富裕層を目指す上で重要な鍵となります。

執筆者

田中 壮のアバター 田中 壮 株式会社TFPグループ代表取締役

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

目次