確定申告で住民税を安くする方法|住民税の控除一覧と所得税との違い

監修者

TFPグループ 代表取締役 田中壮
田中壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

確定申告は所得税だけでなく、翌年度の住民税額にも影響します。
適用できる住民税の控除を漏れなく申告することが、住民税の負担を軽減する直接的な節税につながります。
所得から差し引く「所得控除」と、税額から直接引く「税額控除」があり、それぞれに様々な種類が存在します。

この記事では、確定申告を通じて住民税を安くする方法について、控除の種類や所得税との違いを詳しく解説します。

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目次

確定申告をすれば住民税も安くなる!その仕組みを解説

確定申告で所得控除などを適用すると、所得税だけでなく住民税も安くなります。
住民税は、所得金額に応じて課税される「所得割」と、所得にかかわらず定額が課される「均等割」で内訳が構成されています。

確定申告で所得控除を適用すると、課税対象となる所得金額が減るため、所得割額が低く計算されます。
その結果、年間の住民税額が安くなる仕組みです。

確定申告の情報が市区町村へ送られ住民税額が自動で決まる

税務署へ提出された確定申告書の情報は、申告者がお住まいの市区町村へ共有されます。
各市区町村では、その確定申告書の内容を基にして住民税の税額計算を行います。
そのため、確定申告を済ませれば、原則として別途住民税の申告手続きをする必要はありません。

例えば、東京都の特定の区に住んでいる場合、税務署からその区の役所へ情報が連携され、住民税額が自動的に決定されます。

住民税額の決定通知と納付は確定申告の約3ヶ月後から

確定申告を行った年の5月から6月頃に、市区町村から住民税の税額決定通知書が届きます。
会社員など給与所得者の場合は勤務先を通じて通知され、6月以降の給与から天引き(特別徴収)が始まります。
一方、個人事業主やフリーランスなどは自宅に通知書が届き、同封の納付書を使って年4回に分けて納付(普通徴収)するのが一般的です。

住民税は、道府県民税(東京都の場合は都民税)と市町村民税(特別区民税)を合わせたものです。

【所得控除】確定申告で住民税が安くなる控除の一覧

所得控除とは、所得税や住民税を計算する際に、納税者の個人的な事情を考慮して所得金額から一定額を差し引くことができる制度です。
課税対象となる所得が減るため、結果的に税負担が軽減されます。
住民税の節税において利用できる所得控除は数多くあり、医療費控除や寄附金控除などが代表的なものとして挙げられます。

適用できる控除を漏れなく申告することが重要です。

1年間の医療費が高額になった場合に使える「医療費控除」

医療費控除は、1月1日から12月31日までの1年間で支払った医療費が一定額を超えた場合に適用できる所得控除です。
原則として、年間の医療費合計から保険金などで補填された金額を差し引き、さらに10万円を引いた金額が控除の対象となります。

ただし、総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円ではなく総所得金額等の5%を差し引きます。
そのため、所得によっては支払った医療費が5万円以下でも控除を受けられる可能性があります。
生計を同一にする配偶者や親族の医療費も合算できます。

ふるさと納税や特定の団体へ寄付した場合の「寄附金控除」

ふるさと納税を行ったり、国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄付をしたりした場合、寄附金控除を受けられます。
ふるさと納税の場合、寄付額から2,000円を引いた全額が所得税と住民税から控除されますが、控除額には上限が設けられています。
確定申告を行うことで、所得税の還付と翌年度の住民税の減額という形で税金の負担が軽減されます。

ワンストップ特例制度を利用しない場合は、確定申告が必要です。

iDeCoの掛金を全額所得から差し引ける「小規模企業共済等掛金控除」

iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済、心身障害者扶養共済制度の掛金を支払った場合、その全額を所得から差し引けるのが小規模企業共済等掛金控除です。
特にiDeCoは、会社員から個人事業主まで幅広い層が加入でき、掛金が全額所得控除の対象となるため、高い節税効果が期待できます。
年末調整で申告し忘れた会社員や、個人事業主がこの控除を受けるためには確定申告が必要です。

生命保険料や介護医療保険料を支払った場合の「生命保険料控除」

生命保険料控除は、支払った生命保険料に応じて一定額が所得から控除される制度です。
控除は「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つに区分され、それぞれで控除額を計算します。

住民税の場合、各区分の控除上限額は2.8万円(新制度)で、3つを合わせた合計の控除上限額は7万円です。
例えば、一般生命保険料で年間8万円超、介護医療保険料で3万円、個人年金保険料で5万円支払っていても、住民税の控除額は上限である7万円となります。

地震保険料を支払った場合に適用される「地震保険料控除」

地震保険料控除は、納税者が自身や生計を同一にする親族が所有する居住用家屋・生活用動産を対象とする地震保険契約の保険料を支払った場合に適用されます。
住民税における控除額は、支払った保険料の2分の1で、最大2.5万円が上限です。
例えば、年間の地震保険料が3万円の場合、控除額は1.5万円となります。

また、2006年末までに契約した一定の長期損害保険料も、最大1万円を上限に控除の対象です。

国民年金や国民健康保険の保険料を支払った場合の「社会保険料控除」

社会保険料控除は、納税者本人または生計を同一にする配偶者や親族のために支払った社会保険料の全額が所得から控除される制度です。
対象となる社会保険料には、国民年金保険料、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料などがあります。
例えば、年の途中で退職して国民健康保険料を毎月5000円支払った場合や、大学生の子どもの国民年金保険料を代わりに支払った場合も、その全額が控除対象です。

配偶者の合計所得金額が基準以下の場合の「配偶者控除」

配偶者控除は、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、かつ生計を同一にする配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)の場合に対象となる所得控除です。
住民税における控除額は、納税者本人の合計所得金額に応じて変動し、最大で33万円です。
配偶者が70歳以上の場合は「老人控除対象配偶者」となり、控除額が最大38万円に増額されます。

配偶者控除の対象外でも所得に応じて受けられる「配偶者特別控除」

配偶者の合計所得金額が48万円を超え、配偶者控除の対象から外れた場合でも、配偶者の所得金額が133万円以下であれば受けられる可能性があるのが配偶者特別控除です。
この控除は、配偶者の所得金額が増えるにつれて控除額が段階的に減少していく仕組みになっています。
納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると適用できません。

住民税の控除額は、納税者と配偶者の所得に応じて最大33万円から1万円まで変動します。
配偶者控除の対象かどうかの判定に使うのが控除対象配偶者です。

親族を経済的に支えている場合に受けられる「扶養控除」

扶養控除は、納税者が配偶者以外の親族(子、親、兄弟姉妹など)で、生計を同一にし、年間の合計所得金額が48万円以下の人を経済的に扶養している場合に適用される所得控除です。
扶養親族の年齢や同居の有無によって控除額が変わります。
住民税における控除額は、一般の扶養親族で33万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族で45万円、70歳以上で同居している父母などの場合は45万円です。

納税者本人に適用される「基礎控除」

基礎控除は、一定の所得があるすべての納税者本人に適用される基本的な所得控除です。
納税者の合計所得金額に応じて控除額が変動する仕組みになっており、合計所得金額が2,400万円以下の場合、住民税の基礎控除額は43万円です。

所得が2,400万円を超えると控除額は段階的に減少し、2,500万円を超えると基礎控除は適用されなくなります。

災害や盗難で損害を受けた場合の「雑損控除」

雑損控除は、自然災害、火災、盗難、横領などによって、納税者本人または生計を同一にする総所得金額48万円以下の親族が所有する資産に損害を受けた場合に適用できる所得控除です。
控除額は「(損害金額-保険金等による補填額)-総所得金額等の10%」または「(災害関連支出の金額-保険金等による補填額)-5万円」のうち、いずれか多い方の金額です。
損害が1円でもあれば対象となり得ますが、詐欺や恐喝による被害は対象外です。

ひとり親や寡婦、障害者、勤労学生が対象の各種控除

納税者が特定の状況にある場合、追加の所得控除が適用されます。
例えば、事実婚状態になく、生計を同一にする子がいる単身者は「ひとり親控除(住民税30万円)」、夫と死別または離別し扶養親族がいるなどの要件を満たす女性は「寡婦控除(住民税26万円)」の対象です。

また、本人や控除対象配偶者、扶養親族が障害者の場合は「障害者控除」、働きながら学校に通う学生は「勤労学生控除」が受けられます。
これらの控除により、住民税が非課税になるケースもあります。

【税額控除】住民税額から直接差し引かれる控除

税額控除は、所得控除のように所得金額から差し引くのではなく、計算された税額そのものから直接差し引くことができる制度です。
税額から直接引かれるため、所得控除よりも節税効果が大きくなる特徴があります。
住民税の税額控除には、住宅ローン控除や配当控除などがあり、所得税から控除しきれなかった分を住民税から差し引く形で適用されるものが多いです。

所得税で引ききれなかった分が対象になる「住宅ローン控除」

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用してマイホームの新築、取得、増改築などをした場合に、年末のローン残高に応じて一定期間、税額が控除される制度です。
この控除はまず所得税から差し引かれますが、所得税額が控除額より少なく引ききれない場合があります。
その場合、控除しきれなかった金額を、翌年度の住民税から一定の上限額の範囲内で差し引くことが可能です。

株式の配当金を受け取った場合に適用される「配当控除」

上場株式の配当金などを受け取った際、確定申告で総合課税を選択して申告すると配当控除が適用できます。
配当金は、企業が法人税を納めた後の利益から支払われますが、受け取った個人も所得税・住民税を納めるため、二重課税の状態になります。
この二重課税を調整するために設けられているのが配当控除です。

住民税では、課税総所得金額のうち1,000万円以下の部分について配当所得の1.6%が税額から控除されます。

知っておきたい!所得税と住民税で金額が異なる控除

確定申告で適用する所得控除の中には、所得税と住民税で控除される金額が異なるものが多くあります。
一般的に、住民税の控除額は所得税よりも低く設定されています。
この差が、所得税の計算では課税所得が0円になったとしても、住民税では課税対象となる所得が残り、税金が発生する理由の一つです。

控除額の違いを理解しておくことは、自身の税負担を正確に把握する上で重要です。

基礎控除や扶養控除などは住民税の方が控除額が低い

基礎控除、配偶者控除、扶養控除といった、人を対象とする「人的控除」の多くは、住民税における控除額が所得税よりも低く設定されています。
例えば、合計所得2,400万円以下の納税者の場合、所得税の基礎控除は48万円ですが、住民税では43万円です。
同様に、一般の扶養控除も所得税38万円に対し住民税は33万円となります。

このように控除額が低く設定されているため、所得税では課税されない場合でも住民税では課税されることがあります。

生命保険料控除は所得税と住民税で上限額が異なる

生命保険料控除も、所得税と住民税で控除の上限額が異なります。
所得税では「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つの区分でそれぞれ最大4万円、合計で最大12万円の控除が受けられます。

一方、住民税では各区分の控除上限が最大2.8万円(新制度)、合計での上限額は最大7万円です。
そのため、所得税の計算で上限まで控除を適用できたとしても、住民税の計算ではそれより低い金額しか控除できないことになります。

確定申告で住民税の控除を受ける際の注意点

確定申告を通じて住民税の控除を受ける際には、いくつか知っておくべき注意点があります。
例えば、納付した住民税そのものは控除の対象外であることや、会社員の場合は年末調整で多くの控除が完了していることなどです。

また、所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が別途必要になるケースもあります。
控除の追加漏れなどがないよう、これらの点を事前に確認しておくことが大切です。

納付した住民税そのものは経費や控除の対象にならない

個人事業主が事業のために支払った税金(事業税や固定資産税など)は経費として計上できますが、納付した住民税や所得税は経費にできません。
また、社会保険料控除の対象となるのは国民健康保険料や国民年金保険料などで、住民税は含まれません。
確定申告書の書き方としても、支払った住民税を所得控除の欄に記入することはないため、誤解しないよう注意が必要です。

住民税は、あくまで算出された所得に対して課される税金という位置づけです。

会社員は年末調整で大部分の控除手続きが完了している

会社員の場合、生命保険料控除や地震保険料控除、扶養控除といった多くの所得控除は、勤務先で行われる年末調整によって手続きが完了しています。
そのため、これらの控除を受けるために改めて確定申告をする必要は基本的にありません。
ただし、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税でワンストップ特例を利用しない場合)、1年目の住宅ローン控除などは年末調整の対象外であるため、これらの控除を適用したい場合は確定申告が必要です。

所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要なケース

所得税においては、給与所得者で給与以外の所得(副業など)の合計が年間20万円以下の場合、確定申告は不要とされています。
しかし、住民税にはこの「20万円ルール」が存在しないため、所得が1円でもあれば原則として住民税の申告が必要です。

所得税の確定申告が不要な人でも、住民税の申告をしなければ、控除が適用されず税額が高くなる可能性があるため、市区町村の窓口で手続きを行う必要があります。

確定申告による住民税控除に関するよくある質問

ここでは、確定申告と住民税の控除に関して多くの方が抱く疑問について解説します。

Q1. 確定申告をすれば、住民税の控除手続きは自動で適用されますか?

はい、自動で適用されます。
税務署に確定申告書を提出すれば、その情報が住んでいる市区町村に連携され、住民税額が計算されます。

そのため、確定申告で所得控除などを適用した場合、別途住民税の申告手続きを行う必要は原則としてありません。

Q2. 住民税はいつの所得に対して、いつから課税されるのですか?

住民税は、前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して課税されます。
そして、その税額を翌年の6月から翌々年の5月にかけて納付します。
税額の内訳は、所得に応じた「所得割」と定額の「均等割」から成り立っています。

通知書には都民税(道府県民税)と市区町村民税のそれぞれの額が記載されています。

Q3. パート収入が103万円以下なら住民税はかからないのでしょうか?

年収103万円以下でも住民税がかかる場合があります。
所得税は給与収入103万円までなら基礎控除と給与所得控除により0円になります。
しかし、住民税の非課税限度額は所得税より低く、自治体によりますが年収93万~100万円を超えると課税対象となるのが一般的です。

まとめ

確定申告で適用できる所得控除や税額控除を漏れなく申告することが、翌年度の住民税額を抑えるための重要な節税策となります。
住民税の計算の基になるのは確定申告で申告された所得金額であるため、医療費控除やiDeCo、ふるさと納税などを活用し、課税対象となる所得を圧縮することが直接的な負担軽減につながります。
所得税と住民税では基礎控除や生命保険料控除などの控除額が異なる点を理解し、自身の税負担がどのように決まるかを把握しておくことも大切です。

執筆者

田中 壮のアバター 田中 壮 株式会社TFPグループ代表取締役

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

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