吸引分娩の費用は保険適用でいくら?給付金や使える制度を解説

監修者

TFPグループ 代表取締役 田中壮
田中壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

吸引分娩は、通常の出産費用に加えて追加の費用が発生しますが、公的医療保険が適用されるため自己負担額を抑えることが可能です。
この記事では、吸引分娩で保険適用となる範囲や自己負担額の目安、民間の医療保険から受け取れる給付金、さらに高額療養費制度などの公的制度の活用法について解説します。

費用に関する不安を解消し、安心して出産に臨むための情報をまとめました。

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目次

吸引分娩の費用は公的医療保険の適用対象になる

自然分娩は病気やケガではないため公的医療保険の適用対象外ですが、吸引分娩は「異常分娩」に分類される医療行為です。
そのため、吸引分娩にかかる手術料や処置料、入院費などには健康保険や国民健康保険といった公的医療保険が適用されます。
これにより、窓口で支払う医療費の自己負担を抑えることができます。

吸引分娩は「異常分娩」のため3割負担が適用される

吸引分娩は、母体や胎児の状態から医療介入が必要と判断された「異常分娩」に該当します。
そのため、吸引分娩の手術や関連する検査、投薬、入院料などの費用には公的医療保険が適用され、自己負担額は原則として3割になります。
ただし、正常分娩と同様に差額ベッド代や食事代などは保険適用外となり、全額自己負担となるため注意が必要です。

【費用目安】正常分娩に加えて自己負担額はいくら増える?

吸引分娩になった場合、正常分娩(自然分娩)の費用に加えて、保険適用(3割負担)後の追加費用が発生します。
この追加負担額は、病院や分娩の時間帯によって異なりますが、一般的には数万円から10万円程度が目安です。

費用の内訳には、吸引分娩の手術料、追加の入院費、麻酔や薬剤の費用などが含まれ、これらが分娩費用の総額に上乗せされます。
平均的な出産費用にこの金額が加わると考えておきましょう。

加入中の民間医療保険から給付金はもらえる?

公的医療保険の適用に加えて、自身で加入している民間の医療保険からも給付金を受け取れる可能性があります。
吸引分娩は「手術」として扱われることが多く、契約内容によっては手術給付金や入院給付金の支払い対象となる場合があります。
まずはご自身の保険契約内容を確認してみることが重要です。

吸引分娩は手術給付金や入院給付金の対象になるケースが多い

吸引分娩は、多くの民間医療保険において手術給付金の支払い対象となる「手術」に該当します。
また、吸引分娩に伴い入院日数が延長された場合は、その日数分の入院給付金も受け取れることが一般的です。

これにより、保険適用後の自己負担額や、保険適用外の入院費(差額ベッド代など)をカバーできる可能性があります。
ただし、保険商品や契約時期によって保障内容が異なるため、必ずご自身の保険証券や約款を確認しましょう。

保険会社への給付金請求から入金までの具体的な流れ

給付金を請求する際の一般的な流れは、まず保険会社のコールセンターへ連絡し、吸引分娩を受けた旨を伝えることから始まります。
その後、保険会社から送付される請求書類に必要事項を記入し、医師が作成した診断書などの必要書類を添えて返送します。
書類に不備がなければ、保険会社の審査を経て、指定した口座に給付金が振り込まれるという段取りです。

スムーズな手続きのためにも、退院後早めに連絡することをおすすめします。

【要注意】給付金が支払われない場合も確認しておこう

吸引分娩が給付金の支払い対象外となるケースも存在します。
例えば、医療保険の保障が開始される前に妊娠が判明していた場合や、加入時の告知義務に違反があった場合などが該当します。

また、保険契約に「異常妊娠・異常分娩は保障の対象外」といった特約が付いている場合も支払われません。
請求してから対象外と判明することがないよう、事前に契約内容や約款をしっかり確認しておくことが大切です。

保険適用以外で出産費用を抑えるための公的制度

吸引分娩にかかる費用は、公的医療保険の適用だけでなく、国のさまざまな制度を利用することでさらに負担を軽減できます。
高額な医療費の支払いを助ける制度や、出産そのものを支援する給付金など、活用できる制度は複数あります。

これらの制度を正しく理解し、忘れずに申請することが大切です。

高額療養費制度で月の自己負担額を軽減できる

高額療養費制度は、1か月の医療費の自己負担額が上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される制度です。
吸引分娩で保険適用となった医療費もこの制度の対象となります。
自己負担の上限額は年齢や所得によって定められており、事前申請による「限度額適用認定証」を提示すれば、窓口での支払いを上限額までに抑えることも可能です。

入院が長引いた場合など、医療費が高額になった際に役立ちます。

出産育児一時金で分娩・入院費用を直接カバーする

出産育児一時金は、健康保険の被保険者やその被扶養者が出産した際に、子ども一人につき原則50万円が支給される制度です。
これは正常分娩・異常分娩を問わず全ての出産が対象となります。
直接支払制度を利用すれば、医療機関の窓口で出産費用から一時金の額を直接差し引いてもらえるため、高額な費用を立て替える必要がありません。

確定申告の医療費控除で税金の還付を受ける

医療費控除は、1年間の医療費の自己負担額が一定額(原則10万円)を超えた場合に、確定申告を行うことで所得税や住民税の還付・軽減が受けられる制度です。
吸引分娩にかかった保険適用の自己負担額はもちろん、定期健診の費用や通院のための交通費なども合算できます。
領収書は必ず保管しておき、翌年の確定申告期間に忘れずに手続きを行いましょう。

産休中の収入を支える出産手当金も忘れずに申請

出産手当金は、会社員や公務員などが加入する健康保険から、産休中に給与が支払われない場合に支給される手当です。
出産日以前42日から出産日後56日までの範囲で、仕事を休んだ日数を対象に、給与のおおよそ3分の2が支給されます。

吸引分娩になったかどうかに関わらず申請できる制度ですが、産休中の生活を支える重要な収入源となるため、勤務先の担当部署に確認して忘れずに申請しましょう。

そもそも吸引分娩とは?費用以外の不安も解消

吸引分娩は、赤ちゃんが産道で止まってしまったり、心拍が低下したりするなど、速やかに出産を終える必要があると医師が判断した場合に行われる医療処置です。
費用や料金だけでなく、なぜこの処置が必要だったのか、母体や赤ちゃんへの影響について不安を感じる方も少なくありません。
ここでは、吸引分娩そのものへの理解を深め、そうした不安を解消します。

吸引分娩が必要と判断される代表的なケース

吸引分娩は、分娩が長引いて母体の疲労が著しい場合や、微弱陣痛で赤ちゃんを押し出す力が弱い場合に行われます。
また、胎児の心拍が低下するなど、赤ちゃんが苦しい状態(胎児機能不全)にあり、早く娩出させる必要があると判断された場合も適用されます。
いずれも、母体と赤ちゃんの安全を最優先するために選択される医療処置です。

吸引分娩による赤ちゃんや母親へのリスクや影響

吸引分娩では、金属製またはシリコン製のカップを赤ちゃんの頭に装着して吸引するため、赤ちゃんの頭に一時的なこぶ(頭血腫)や内出血ができることがあります。
ほとんどは自然に治癒しますが、まれに頭蓋内に出血が起こるリスクも報告されています。
母親側では、器具を挿入することで会陰部が傷つきやすくなり、会陰切開が必要になったり、裂傷が大きくなったりする可能性があります。

吸引分娩の費用に関するよくある質問

ここでは、吸引分娩の費用や給付金に関して、多くの方が抱く疑問について回答します。

給付金申請に必要な診断書の費用はいくらですか?

診断書の費用は医療機関によって異なりますが、一般的に3,000円から10,000円程度が相場です。
この費用は自己負担となります。
保険会社によっては所定のフォーマットがあるため、書類を取り寄せる前に保険会社に確認するとスムーズです。

帝王切開と吸引分娩では、どちらの費用が高くなりますか?

一般的に、帝王切開の方が費用は高くなる傾向があります。
帝王切開は開腹手術であり、手術自体の費用や入院日数が吸引分娩よりも多くなるためです。
ただし、どちらも公的医療保険が適用され、高額療養費制度なども利用できる点は共通しています。

吸引分娩で受け取れる給付金の金額相場を教えてください。

給付金額は加入している保険契約の内容によって大きく異なります。
一般的には、手術給付金として5万円から20万円、入院給付金は入院1日あたり5,000円から10,000円が目安です。
正確な金額は、ご自身の保険証券や保険会社の担当者にご確認ください。

まとめ

吸引分娩は「異常分娩」として扱われるため、手術や入院にかかる費用に公的医療保険が適用され、自己負担は3割となります。

正常分娩に比べて数万円から10万円程度の追加費用が目安ですが、民間の医療保険に加入していれば手術給付金や入院給付金を受け取れる可能性があります。

さらに、高額療養費制度や出産育児一時金、医療費控除といった公的制度も活用することで、最終的な自己負担額を大きく軽減できます。

執筆者

田中 壮のアバター 田中 壮 株式会社TFPグループ代表取締役

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

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