【2026年版】エリア別キャップレート一覧と不動産投資市場の動向
📋 目次
1. キャップレートとは?基本の仕組み
キャップレート(Cap Rate / Capitalization Rate / 還元利回り)は、不動産の収益性を示す最も基本的な指標です。計算式は以下の通りです。
キャップレート = NOI(純営業収益) ÷ 不動産価格 × 100
例えば、年間NOIが100万円の物件が2,500万円で取引されている場合、キャップレートは100÷2,500×100=4.0%となります。
キャップレートは「投資家がその物件に期待する利回り」を表しており、エリア・物件タイプ・築年数・市場環境によって大きく変動します。
キャップレートと物件価格の関係
- キャップレートが低い → 物件価格が高い(投資家の需要が高い=リスクが低いと評価されている)
- キャップレートが高い → 物件価格が安い(リスクが高いと評価されている=高利回りで投資できる)
東京都心のキャップレートが3〜4%と低いのは、安定した賃貸需要・人口集中・再開発による将来価値の上昇期待が反映されているためです。
2. エリア別キャップレート一覧【2026年版】
以下は、日本不動産研究所「不動産投資家調査」(2025年10月)および各社公開データを参考に作成したエリア別キャップレートの一覧です。
ワンルームマンション(区分)
| エリア | キャップレート | 前年比 | トレンド |
|---|---|---|---|
| 東京 城南(目黒・世田谷等) | 3.8% | ▲0.1pt | 📈 低下(価格上昇) |
| 東京 城東(墨田・江東等) | 4.0% | ▲0.1pt | 📈 低下 |
| 横浜 | 4.5% | ±0 | → 横ばい |
| 大阪 | 4.6% | ▲0.1pt | 📈 低下 |
| 名古屋 | 4.8% | ±0 | → 横ばい |
| 福岡 | 4.7% | ▲0.2pt | 📈 低下 |
| 札幌 | 5.3% | ±0 | → 横ばい |
| 仙台 | 5.3% | +0.1pt | 📉 上昇(価格下落) |
| 広島 | 5.5% | ±0 | → 横ばい |
出典: 日本不動産研究所「不動産投資家調査」(2025年10月)を参考に作成
一棟アパート
| エリア | キャップレート | 前年比 | トレンド |
|---|---|---|---|
| 東京 城南 | 4.2% | ▲0.1pt | 📈 低下 |
| 東京 城東 | 4.5% | ±0 | → 横ばい |
| 横浜 | 4.9% | ±0 | → 横ばい |
| 大阪 | 5.0% | ▲0.1pt | 📈 低下 |
| 名古屋 | 5.2% | ±0 | → 横ばい |
| 福岡 | 5.1% | ▲0.1pt | 📈 低下 |
一棟マンション(RC造)
| エリア | キャップレート | 前年比 | トレンド |
|---|---|---|---|
| 東京 城南 | 3.8% | ▲0.1pt | 📈 低下 |
| 東京 城東 | 4.0% | ±0 | → 横ばい |
| 大阪 | 4.5% | ▲0.1pt | 📈 低下 |
| 名古屋 | 4.8% | ±0 | → 横ばい |
| 福岡 | 4.7% | ▲0.2pt | 📈 低下 |
3. 東京エリアの詳細分析
東京23区は日本の不動産投資市場の中心であり、国内外の投資家から最も需要が高いエリアです。
都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)
都心5区のキャップレートは3.5〜4.0%と全国最低水準です。これは、①安定した賃貸需要 ②人口・企業の集中 ③再開発プロジェクトの進行 ④海外投資家の旺盛な需要 が背景にあります。
特に、虎ノ門・麻布台ヒルズの開業(2023年)、渋谷駅周辺の再開発、品川駅周辺のリニア関連開発など、大型プロジェクトが相次いでおり、エリアの魅力度は向上し続けています。
城東エリア(墨田・江東・台東・荒川等)
城東エリアは都心5区と比べてキャップレートがやや高く(4.0〜4.5%)、利回りと資産価値のバランスが良いエリアとして注目されています。東京スカイツリー周辺の開発や、豊洲・有明エリアのマンション需要が牽引しています。
出典: 国土交通省「不動産価格指数」(2025年12月)
4. 大阪エリアの詳細分析
大阪市中心部のキャップレートは4.5〜5.0%で、東京に次ぐ低水準です。2025年の大阪・関西万博、IR(統合型リゾート)計画の進行が投資需要を押し上げています。
特に、梅田(グランフロント大阪・うめきた2期)、難波・心斎橋エリアのインバウンド需要回復、天王寺・阿倍野エリアの再開発が注目ポイントです。
5. 名古屋・福岡・地方都市の動向
名古屋
名古屋市中心部のキャップレートは5.0〜5.5%。リニア中央新幹線の開業(2027年予定→延期中)を見据えた名古屋駅周辺の再開発が進行中ですが、開業時期の不透明感からキャップレートは横ばいで推移しています。
福岡
福岡市中心部のキャップレートは4.8〜5.3%で、地方都市の中では最も低い水準です。天神ビッグバン(2024年〜2026年)、博多コネクティッド(2028年まで)の大型再開発プロジェクトにより、オフィス・商業・住宅すべての需要が増加しています。
福岡市は全国の政令指定都市の中で人口増加率が最も高く(2020年国勢調査比+4.6%)、賃貸需要の底堅さが投資家に評価されています。
出典: 総務省「国勢調査」(2020年)、福岡市「天神ビッグバン進捗状況」(2025年)
地方都市・郊外
地方都市(県庁所在地クラス)のキャップレートは6.5〜8.0%、地方郊外は8.0〜10.0%です。表面利回りは高いものの、空室リスク・人口減少リスク・流動性リスクが高く、出口戦略の慎重な検討が必要です。
6. 物件タイプ別キャップレートの違い
同じエリアでも、物件タイプによってキャップレートは異なります。これは、各物件タイプ固有のリスク特性が反映されているためです。
| 物件タイプ | キャップレート傾向 | 理由 |
|---|---|---|
| 一棟マンション(RC造) | 最も低い(有利) | スケールメリット・耐用年数が長い・流動性が高い |
| 区分マンション(ファミリー) | やや低い | 実需(自己居住)の買い手もいるため流動性が高い |
| 区分マンション(ワンルーム) | やや高い | 単身者向けで入退去が頻繁・管理費負担が大きい |
| 一棟アパート(木造) | 高い | 耐用年数が短い(22年)・修繕リスク |
| 戸建賃貸 | 最も高い | 流動性が低い・買い手が限定される |
7. キャップレートに影響する5つの要因
① 金利環境
金利とキャップレートには正の相関があります。金利が上昇すると、投資家が求めるリターン(キャップレート)も上昇し、物件価格は下落圧力を受けます。日銀の金融政策は不動産市場に直接的な影響を与えます。
② 人口動態
人口が増加しているエリアは賃貸需要が安定しており、キャップレートは低く抑えられます。逆に、人口減少が進むエリアではキャップレートが上昇(=物件価格が下落)する傾向があります。
出典: 総務省「住民基本台帳人口移動報告」(2025年)
③ 再開発・インフラ整備
新駅の開業、大型商業施設の進出、再開発計画の発表は、エリアのキャップレートを低下させる(=物件価格を上昇させる)要因になります。
④ 賃貸市場の需給バランス
新築供給が過剰なエリアでは空室率が上昇し、キャップレートも上昇します。逆に、供給が限られているエリアでは稼働率が高く、キャップレートは低く維持されます。
⑤ 海外投資家の動向
円安局面では海外投資家にとって日本の不動産が割安に映り、投資需要が増加します。これはキャップレートの低下(=物件価格の上昇)要因となります。
8. キャップレートの活用法
活用法1: 物件の査定価格を算出する
収益還元法(直接還元法)では、NOI÷キャップレートで物件の査定価格を算出します。エリアの適正キャップレートを把握していれば、物件が割高か割安かを判断できます。
例えば、東京23区城東エリアで年間NOI 120万円のワンルームマンションの場合、キャップレート4.0%を適用すると査定価格は120万÷4.0%=3,000万円となります。同じ物件を地方都市のキャップレート7.0%で計算すると120万÷7.0%=約1,714万円です。このように、キャップレートの設定が査定価格に大きく影響することがわかります。
物件の購入を検討する際は、そのエリアの適正キャップレートで逆算した価格と、売り出し価格を比較することで、割高・割安の判断材料になります。
活用法2: エリア間の投資効率を比較する
キャップレートの高低を比較することで、どのエリアがリスク対比で効率的な投資先かを判断できます。ただし、キャップレートが高い=良い投資先とは限りません。リスクとリターンのバランスを総合的に評価することが重要です。
具体的には、東京都心(キャップレート3.8%)と地方都市(キャップレート7.0%)を比較した場合、地方都市の方がインカムゲイン(家賃収入による利回り)は高くなります。しかし、東京都心は空室リスクが低く、キャピタルゲイン(売却益)も期待できるため、トータルリターンでは都心が上回るケースも少なくありません。
投資判断では、キャップレートだけでなく、空室率・人口動態・再開発計画・流動性(売却のしやすさ)を総合的に考慮することが重要です。
活用法3: 売却タイミングを判断する
エリアのキャップレートが低下傾向(=物件価格が上昇傾向)にある時は、含み益が拡大している可能性があります。定期的にキャップレートの推移を確認し、売却のタイミングを見極めましょう。
例えば、5年前にキャップレート5.0%の時期に購入した物件が、現在のキャップレート4.0%で評価されるようになっていた場合、NOIが同じでも物件価格は25%上昇していることになります(NOI÷5.0% vs NOI÷4.0%)。このような含み益の把握は、定期的な査定によって初めて可能になります。
逆に、キャップレートが上昇傾向(=物件価格が下落傾向)にあるエリアでは、早めの売却判断が損失の拡大を防ぐ鍵になります。日本不動産研究所の「不動産投資家調査」は年2回発行されるため、半年ごとにキャップレートの推移をチェックする習慣をつけましょう。
よくある質問
キャップレートとは何ですか?
キャップレート(Capitalization Rate)は、不動産の収益性を示す指標で、NOI(純営業収益)÷不動産価格で算出されます。投資家がその物件に期待する利回りを表します。
キャップレートが低いとどういう意味?
キャップレートが低い=物件価格が高いことを意味します。安定した賃貸需要と将来の資産価値上昇への期待が反映されています。
キャップレートのデータはどこで調べられる?
日本不動産研究所の「不動産投資家調査」(年2回発行)が最も信頼性の高いデータです。
2026年のキャップレートのトレンドは?
東京・大阪・福岡の都市部では低下傾向(=物件価格は上昇傾向)が続いています。一方、金利上昇の影響で今後は調整が起こる可能性もあります。
投資判断にキャップレートをどう活用すべき?
①物件の査定価格の算出 ②エリア間の投資効率比較 ③売却タイミングの判断 に活用できます。