投資マンションはいくらで売れる?売却価格の調べ方と高く売るポイント【2026年版】
📋 目次
1. 投資マンションの売却価格はどう決まるのか
投資マンションの売却を検討する際、最初に気になるのは「今いくらで売れるのか?」という点でしょう。投資用不動産の売却価格は、自己居住用のマンションとは異なる基準で決まります。
自己居住用マンションの場合、立地・広さ・間取り・築年数といった「住みやすさ」が価格の主な決定要因です。一方、投資マンションの場合は、物件が生み出す収益(家賃収入)が最も重要な価格決定要因となります。
具体的には、投資マンションの売却価格は主に以下の3つの要素で決まります。
- 年間家賃収入(NOI: 営業純利益):家賃収入から管理費・修繕積立金・固定資産税などの経費を差し引いた純収益
- キャップレート(還元利回り):エリアや物件タイプごとの期待利回り。キャップレートが低いほど物件価格は高くなる
- 市場の需給バランス:売り出し物件の数と購入希望者の数のバランス
国土交通省の「不動産価格指数」(2025年12月公表)によると、投資用マンションの価格指数は2010年を100として約195.7に達しており、過去15年で約2倍に上昇しています。しかし、個別の物件がこの通りに値上がりしているとは限りません。
出典: 国土交通省「不動産価格指数」(2025年12月公表)
正確な売却価格を知るためには、複数の方法で査定を行い、相場観を養うことが重要です。以下では、売却価格を調べる3つの方法を詳しく解説します。
2. 売却価格を調べる3つの方法
投資マンションの売却価格を調べるには、大きく分けて3つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、複数の方法を組み合わせて活用するのがおすすめです。
方法① AI簡易査定(最も手軽)
AI簡易査定は、物件情報を入力するだけで、AIが自動的に売却価格の概算を算出するサービスです。近年、不動産テック企業が提供するAI査定の精度は大幅に向上しており、数分で概算価格がわかる手軽さが最大のメリットです。
AI査定の仕組みは、過去の取引事例データベースと機械学習アルゴリズムを組み合わせたものです。物件の所在地・築年数・面積・階数・構造・最寄り駅からの距離などの情報をもとに、類似物件の成約価格から予測価格を算出します。
| 項目 | AI簡易査定 |
|---|---|
| 所要時間 | 数分 |
| 費用 | 無料 |
| 精度 | ±10〜15%程度 |
| メリット | 匿名で利用可能、営業電話なし |
| デメリット | 物件固有の事情は反映されにくい |
| 適している場面 | 売却検討の初期段階 |
AI査定は売却検討の「最初の一歩」として最適です。まずはAI査定で概算を把握し、売却の方向性を決めてから、より精度の高い査定に進むのが効率的です。
方法② 一括査定サイト(複数社を比較)
一括査定サイトは、1回の入力で複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスです。最低3社、できれば5社以上に査定を依頼することで、相場観を養うことができます。
一括査定のメリットは、不動産会社間の競争原理が働くため、より正確な査定価格が期待できる点です。ただし、一部の不動産会社は媒介契約を獲得するために意図的に高い査定額を提示する「高値つかみ」を行うケースもあるため、極端に高い査定額には注意が必要です。
不動産流通推進センターの調査によると、同一物件でも不動産会社によって査定額に最大20〜30%の差が出ることがあります。複数社の査定を比較し、根拠が明確な査定額を参考にしましょう。
出典: 不動産流通推進センター「不動産業統計集」(2025年)
方法③ 訪問査定(最も精度が高い)
訪問査定は、不動産会社の担当者が実際に物件を訪問し、室内の状態・日当たり・眺望・管理状態・周辺環境などを確認した上で査定価格を算出する方法です。
訪問査定の精度が高い理由は、物件固有の事情を反映できるからです。例えば、AI査定では反映しきれない「角部屋で日当たりが良い」「室内をリフォーム済み」「隣室が騒音トラブルを起こしている」といった要素を考慮できます。
訪問査定を依頼する際は、以下の書類を準備しておくとスムーズです。
- レントロール(賃貸借条件一覧表)
- 管理費・修繕積立金の明細
- 固定資産税の納税通知書
- 購入時の売買契約書・重要事項説明書
- 修繕履歴の記録
- ローン残高証明書
💡 3つの方法の使い分け
① まずAI簡易査定で概算を把握 → ② 一括査定で複数社の査定を比較 → ③ 信頼できる会社に訪問査定を依頼、という流れが最も効率的です。
3. 収益還元法と取引事例比較法の違い
投資マンションの査定では、主に「収益還元法」と「取引事例比較法」の2つの評価手法が使われます。それぞれの特徴と違いを理解しておくことで、査定額の妥当性を判断できるようになります。
収益還元法とは
収益還元法は、物件が将来生み出す収益(家賃収入)をベースに不動産の価値を算出する方法です。投資用不動産の査定では最も重視される手法で、「直接還元法」と「DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)」の2種類があります。
■ 直接還元法の計算式
物件価格 = 年間純収益(NOI) ÷ キャップレート
(例)年間純収益120万円 ÷ キャップレート4.5% = 約2,667万円
直接還元法はシンプルで分かりやすい反面、将来の収益変動(家賃の上下、空室率の変化など)を反映しにくいというデメリットがあります。
■ DCF法の特徴
DCF法は、保有期間中の毎年のキャッシュフローと、保有期間終了時の売却価格(復帰価格)を、現在価値に割り引いて合計する方法です。将来の収益変動を反映できるため、より精緻な評価が可能ですが、計算が複雑で、前提条件(割引率・将来の賃料予測・空室率予測など)によって結果が大きく変わります。
取引事例比較法とは
取引事例比較法は、周辺の類似物件の実際の成約事例から、対象物件の価格を算出する方法です。「近隣の似た物件がいくらで売れたか」をベースにするため、市場の実勢価格に近い査定額が得られます。
ただし、投資マンションの場合、同じ立地・築年数でも入居者の有無や賃料設定によって収益性が異なるため、取引事例比較法だけでは正確な査定が難しいケースがあります。
| 比較項目 | 収益還元法 | 取引事例比較法 |
|---|---|---|
| 評価の基準 | 将来の収益力 | 過去の取引実績 |
| 適している物件 | 投資用不動産 | 自己居住用・投資用両方 |
| メリット | 収益性を正確に反映 | 市場実勢に近い |
| デメリット | 前提条件で結果が変わる | 類似事例が少ないと精度低下 |
| 投資マンション査定での重要度 | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
投資マンションの売却では、収益還元法をメインに、取引事例比較法で妥当性を検証するのが一般的なアプローチです。不動産会社から査定書を受け取ったら、どの手法で算出されたかを必ず確認しましょう。
4. 投資マンションを高く売る5つのポイント
投資マンションの売却価格は、売主の工夫次第で数百万円単位で変わることがあります。以下の5つのポイントを押さえて、少しでも高い価格での売却を目指しましょう。
ポイント① 満室稼働の状態で売却する
投資マンションの買い手は収益性を最重視します。空室がある状態で売却すると、買い手は「空室リスク」を織り込んで低い価格を提示します。売却活動を始める前に、空室を埋める努力をすることが最も効果的な価格アップ策です。
具体的には、賃料の見直し(相場より高すぎないか確認)、リフォームによる物件の魅力向上、複数の仲介会社への客付け依頼などが有効です。たとえ短期間でも入居者がいる状態にすることで、査定価格は大きく変わります。
ポイント② レントロールを整備する
レントロール(賃貸借条件一覧表)は、投資家が物件の収益性を判断する最も重要な資料です。以下の情報を整理しておきましょう。
- 各部屋の賃料・共益費
- 契約開始日・契約期間・更新履歴
- 敷金・礼金の預かり状況
- 入居者の属性(法人契約・個人契約)
- 過去の賃料推移
レントロールが整備されていると、買い手は物件の収益性を正確に評価でき、安心して購入判断ができるため、値引き交渉が起きにくくなります。
ポイント③ 適正な賃料設定を確認する
現在の賃料が相場より低い場合、売却前に賃料の見直し(値上げ)を検討しましょう。収益還元法では賃料が直接的に査定価格に影響するため、月額賃料が5,000円上がるだけで、査定価格が100万円以上上がるケースもあります。
💡 賃料値上げの効果(キャップレート4.5%の場合)
月額賃料5,000円UP → 年間60,000円UP → 査定価格 +約133万円
月額賃料10,000円UP → 年間120,000円UP → 査定価格 +約267万円
ただし、入居者がいる状態での賃料値上げは借地借家法の制約があるため、更新のタイミングで交渉するか、退去後の新規募集時に見直すのが現実的です。
ポイント④ 投資用不動産の売却実績が豊富な会社を選ぶ
投資マンションの売却は、自己居住用マンションの売却とは全く異なるノウハウが必要です。投資家向けの販売チャネルを持ち、収益還元法での査定に精通した不動産会社を選ぶことが重要です。
具体的には、以下の点を確認しましょう。
- 投資用不動産の売却実績が年間50件以上あるか
- 投資家のネットワーク(顧客リスト)を持っているか
- 収益還元法での査定書を作成できるか
- 売却後の税務相談にも対応できるか
ポイント⑤ 売却のタイミングを見極める
不動産市場には「売り時」があります。2026年現在、都市部の投資マンション価格は高水準を維持していますが、日銀の段階的利上げにより金利上昇圧力が高まっています。金利が本格的に上昇すると物件価格は下落する可能性があるため、「売ろうかな」と思った時が売り時とも言えます。
また、所有期間が5年を超えているかどうかも重要です。譲渡所得税の税率は、所有期間5年以下で約39.63%、5年超で約20.315%と約2倍の差があります。
出典: 国税庁「譲渡所得の税額の計算」(2025年版)
5. 売却にかかる費用と手取り額の計算
投資マンションを売却する際には、さまざまな費用が発生します。「いくらで売れるか」だけでなく、「手取りがいくらになるか」を事前に計算しておくことが重要です。
売却時にかかる主な費用
| 費用項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格×3%+6万円+消費税 | 2,500万円の場合: 約89.1万円 |
| 譲渡所得税(長期) | 利益の約20.315% | 所有期間5年超の場合 |
| 譲渡所得税(短期) | 利益の約39.63% | 所有期間5年以下の場合 |
| 印紙税 | 1〜2万円 | 売買契約書に貼付 |
| ローン繰上返済手数料 | 1〜3万円 | 金融機関により異なる |
| 抵当権抹消費用 | 1〜2万円 | 司法書士報酬含む |
手取り額の計算式
手取り額 = 売却価格 − ローン残債 − 仲介手数料 − 譲渡所得税 − その他費用
なお、譲渡所得の計算では、購入価格から減価償却累計額を差し引いた「取得費」が基準となります。減価償却を多く計上していた場合、実際の利益以上に譲渡所得が大きくなるため注意が必要です。
譲渡所得の計算式
譲渡所得 = 売却価格 −(購入価格 − 減価償却累計額)− 売却諸費用 − 購入諸費用
例えば、2,000万円で購入した物件を2,500万円で売却し、減価償却累計額が300万円の場合:
譲渡所得 = 2,500万円 −(2,000万円 − 300万円)− 約170万円 = 約630万円
長期譲渡所得の場合、税額は 630万円 × 20.315% = 約128万円 となります。
6. ケーススタディ:実際の売却価格シミュレーション
具体的なケーススタディで、投資マンションの売却価格と手取り額をシミュレーションしてみましょう。
ケース1: 東京23区・区分ワンルームマンション
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 物件概要 | 東京都品川区・築12年・25㎡・駅徒歩5分 |
| 購入価格(2018年) | 2,100万円 |
| 現在の月額賃料 | 9.5万円(年間114万円) |
| 管理費・修繕積立金 | 月額1.2万円 |
| 年間NOI | 約96万円 |
| キャップレート | 4.0% |
| 収益還元法による査定価格 | 約2,400万円 |
| ローン残債 | 1,600万円 |
| 手取り額(税引後) | 約580万円 |
ケース2: 大阪市中心部・区分ワンルームマンション
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 物件概要 | 大阪市中央区・築8年・22㎡・駅徒歩3分 |
| 購入価格(2020年) | 1,500万円 |
| 現在の月額賃料 | 7.0万円(年間84万円) |
| 管理費・修繕積立金 | 月額1.0万円 |
| 年間NOI | 約70万円 |
| キャップレート | 5.0% |
| 収益還元法による査定価格 | 約1,400万円 |
| ローン残債 | 1,100万円 |
| 手取り額(税引後) | 約210万円 |
ケース2のように、購入価格を下回る査定結果になるケースもあります。この場合は、売却を急がず、賃料収入を積み上げながら市場の回復を待つ選択肢もあります。
ケース3: 一棟アパート(高利回り物件)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 物件概要 | 埼玉県さいたま市・築18年・木造・6戸 |
| 購入価格(2019年) | 3,800万円 |
| 年間家賃収入 | 336万円(満室時) |
| 現在の稼働率 | 83%(1戸空室) |
| 年間NOI(実績ベース) | 約230万円 |
| キャップレート | 7.0% |
| 収益還元法による査定価格 | 約3,286万円 |
| 満室想定時の査定価格 | 約3,840万円 |
このケースでは、空室を1戸埋めるだけで査定価格が約554万円もアップします。売却前に空室対策を行うことの重要性がよくわかる事例です。
7. 2026年の投資マンション市場動向
投資マンションの売却価格は、市場全体の動向にも大きく左右されます。2026年現在の市場環境を把握しておきましょう。
価格動向
国土交通省の「不動産価格指数」によると、2025年12月時点のマンション価格指数は前年比+11.2%と高い伸びを示しています。特に都市部の投資マンションは、海外投資家の旺盛な需要もあり、高値圏で推移しています。
出典: 国土交通省「不動産価格指数」(2025年12月公表)
金利環境
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後段階的に利上げを実施しています。金利上昇は不動産投資ローンの負担増につながり、買い手の購買力を低下させるため、中長期的には物件価格の下落圧力となります。
賃貸市場
総務省の「住民基本台帳人口移動報告」(2025年)によると、東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)への転入超過は依然として続いており、都市部の賃貸需要は堅調です。特に単身世帯の増加により、ワンルーム・1Kタイプの賃貸需要は底堅い状況が続いています。
出典: 総務省「住民基本台帳人口移動報告」(2025年)
売り時の判断
現在の市場環境を総合すると、「価格は高水準だが、金利上昇リスクが高まっている」という状況です。含み益が出ている物件は、利益確定を検討する好機と言えるでしょう。一方で、賃貸需要が堅調なエリアの物件は、保有を続けて家賃収入を得るという選択肢も有効です。
いずれにしても、まずは現在の売却価格を正確に把握することが、適切な判断の第一歩です。
よくある質問
投資マンションの売却価格を簡単に調べる方法は?
最も手軽なのはAI簡易査定です。物件情報を入力するだけで概算価格がすぐにわかります。その後、一括査定や訪問査定で精度を高めるのがおすすめです。
収益還元法と取引事例比較法の違いは?
収益還元法は物件の家賃収入から価格を算出する方法で、投資用不動産に適しています。取引事例比較法は周辺の成約事例から算出する方法です。投資マンションでは収益還元法が重視されます。
投資マンションを高く売るために最も重要なことは?
最も重要なのは「満室稼働の状態で売却すること」です。空室があると査定価格が下がります。また、複数社に査定を依頼し、投資用不動産専門の会社を選ぶことも重要です。
売却にかかる費用はどのくらい?
売却価格の5〜10%が目安です。仲介手数料(3%+6万円+消費税)、譲渡所得税(約20〜40%)、印紙税、ローン繰上返済手数料などが含まれます。