築古の投資マンションは売却すべき?築20年・30年の判断基準【2026年版】

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1. 築古投資マンションの売却判断基準

投資マンションの築年数が20年、30年と経過すると、「そろそろ売却すべきか」と悩むオーナーが増えてきます。しかし、築古だからといって必ずしも売却すべきとは限りません。重要なのは築年数そのものではなく、物件の収益性と将来の見通しです。

東日本不動産流通機構(レインズ)のデータによると、2025年の首都圏中古マンション成約件数のうち、築21年以上の物件が全体の約45%を占めています。築古マンションの取引は活発であり、適切な条件であれば十分に売却可能です。

出典: 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向」(2025年)

売却を検討すべき5つのシグナル

以下のシグナルに複数当てはまる場合は、売却を真剣に検討すべきです。

  1. 減価償却が終了した: 税務メリットがなくなり、帳簿上の利益が増加して税負担が重くなる
  2. 大規模修繕が迫っている: 多額の修繕費負担が見込まれる
  3. 空室率が上昇傾向: 築年数の経過により入居者確保が難しくなっている
  4. 旧耐震基準の物件: 1981年5月以前の建築で、融資が付きにくく売却が困難になるリスク
  5. 修繕積立金が大幅に値上がりした: キャッシュフローを圧迫している

保有継続が有利なケース

一方で、以下のケースでは築古でも保有を続けるメリットがあります。

2. 築年数別の市場評価と価格推移

築年数の経過に伴う投資マンションの市場評価を、築年数別に詳しく見ていきましょう。

築10〜15年:最も売却しやすい時期

築10〜15年のマンションは、新築プレミアムが剥落した後も一定の価値を維持しており、投資家からの需要が最も高い築年数帯です。新築時の75〜85%程度の価格で取引される傾向にあります。

この時期は1回目の大規模修繕の前後にあたるため、修繕前に売却して費用負担を回避するか、修繕後に「修繕済み」をアピールして売却するか、戦略的な判断が必要です。

築15〜20年:設備更新の分岐点

築15〜20年は、給湯器・エアコン・水回りなどの設備が更新時期を迎えるタイミングです。新築時の60〜75%程度の価格が目安ですが、設備の更新状況によって大きく変動します。

設備を更新済みの物件は「あと10年は大きな出費なし」というアピールポイントになり、未更新の物件と比べて5〜10%高い価格で売却できるケースがあります。

築20〜25年:融資条件の変化に注意

築20年を超えると、金融機関の融資条件が厳しくなる傾向があります。特に、融資期間が「法定耐用年数 − 築年数」で制限されるケースが多く、築20年のRC造マンション(法定耐用年数47年)の場合、融資期間は最長27年程度となります。

築年数新築時比の価格目安融資期間の目安(RC造)特徴
築10年75〜85%最長35年最も売却しやすい
築15年65〜75%最長32年設備更新時期
築20年55〜65%最長27年融資条件が変化
築25年45〜55%最長22年2回目の大規模修繕
築30年35〜50%最長17年建替え議論の開始
築35年以上30〜45%最長12年融資が厳しくなる

出典: 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」(2025年)を参考に作成

融資期間が短くなると、買い手の毎月のローン返済額が増加するため、購入可能な層が限られ、売却価格に下落圧力がかかります。

築25〜30年:旧耐震基準の壁

1981年5月以前に建築確認を受けた物件は「旧耐震基準」に該当します。2026年現在、旧耐震基準の物件は築45年以上となりますが、築30年前後の物件でも、耐震性への不安から敬遠されるケースがあります。

一方、1981年6月以降の「新耐震基準」の物件であれば、築30年でも融資が付きやすく、売却しやすい傾向にあります。

築30年以上:立地が全てを決める

築30年以上の物件は、建物の価値はほぼ減価償却済みで、価格の大部分は土地の価値で構成されます。都心部の好立地物件は築30年以上でも新築時の50〜60%の価格を維持するケースがある一方、郊外の物件は新築時の20〜30%まで下落することもあります。

3. 大規模修繕と売却タイミングの関係

築古マンションの売却を検討する際に、最も重要な判断材料の一つが大規模修繕です。大規模修繕の時期と売却タイミングの関係を整理しましょう。

大規模修繕の周期と費用

マンションの大規模修繕は、一般的に12〜15年周期で実施されます。国土交通省の調査によると、1回あたりの工事費は以下の通りです。

修繕回数築年数の目安1戸あたりの費用目安主な工事内容
1回目築12〜15年100〜120万円外壁塗装、屋上防水、共用部改修
2回目築24〜30年120〜150万円1回目の内容+給排水管更新、エレベーター改修
3回目築36〜45年150〜200万円2回目の内容+大規模な設備更新

出典: 国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」(2023年)

修繕前に売却するメリット・デメリット

メリット: 多額の修繕費負担を回避できる。修繕積立金の一時金徴収を避けられる。

デメリット: 「修繕前の物件」として買い手に修繕費を織り込まれ、査定価格が下がる可能性がある。

修繕後に売却するメリット・デメリット

メリット: 「修繕済み」として物件の価値が維持・向上。買い手に安心感を与えられる。

デメリット: 修繕費の負担が発生する。修繕積立金の値上げが行われる可能性がある。

💡 修繕積立金の状況を確認しよう

売却を検討する際は、管理組合の修繕積立金の残高長期修繕計画を確認しましょう。修繕積立金が十分に積み立てられている場合は、一時金の徴収なしに大規模修繕を実施できるため、売却価格への影響は小さくなります。逆に、修繕積立金が不足している場合は、一時金徴収や大幅な値上げのリスクがあり、売却前に対処を検討すべきです。

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4. 築古マンションでも高く売る5つのコツ

築古だからといって諦める必要はありません。以下の5つのコツを実践することで、築古マンションでもより高い価格で売却できる可能性があります。

コツ① 満室稼働の状態で売却する

投資マンションの売却で最も重要なのは稼働率です。築古物件は空室リスクが高いと見なされがちですが、満室稼働中であれば「築古でも入居需要がある」ことの証明になります。売却活動を始める前に、空室がある場合は全力で入居者を確保しましょう。

コツ② 大規模修繕の実施履歴をアピールする

過去の大規模修繕の実施履歴は、築古物件の大きなアピールポイントです。「いつ、何を、いくらで修繕したか」を時系列で整理し、買い手に提示しましょう。特に、直近5年以内に大規模修繕を実施済みの場合は、「当面の大きな出費なし」としてプラス評価されます。

コツ③ 管理組合の健全性を示す資料を準備する

築古マンションの買い手が最も不安に感じるのは「管理状態」です。以下の資料を準備しておくことで、管理の健全性をアピールできます。

コツ④ 投資用不動産専門の不動産会社を選ぶ

築古物件の売却は、投資用不動産の売却実績が豊富な不動産会社に依頼することが重要です。築古物件の買い手は投資家が中心であり、投資家向けの販売チャネルを持つ会社を選ぶことで、より多くの購入候補者にアプローチできます。

コツ⑤ 適正な売出価格を設定する

築古物件は売却に時間がかかるケースがあるため、最初の売出価格の設定が重要です。高すぎる価格で売り出すと長期間売れ残り、「売れ残り物件」のイメージが付いてさらに売りにくくなります。AI査定と複数社の訪問査定を参考に、適正な価格を設定しましょう。

5. リノベーション vs 売却の判断基準

築古マンションのオーナーが悩むのが、「リノベーションして賃料を上げるか、そのまま売却するか」という選択です。以下の判断基準で検討しましょう。

リノベーションが有利なケース

条件理由
リノベ費用が物件価格の15%以下投資対効果が高い
リノベ後に賃料10%以上アップが見込める収益性の改善効果が大きい
エリアの賃貸需要が旺盛リノベ後の空室リスクが低い
建物の構造が健全リノベの効果が長期間持続する
長期保有を予定しているリノベ費用を家賃収入で回収できる

売却が有利なケース

条件理由
リノベ費用が物件価格の15%以上投資対効果が低い
エリアの賃貸需要が低下傾向リノベしても空室リスクが高い
建物の構造に問題があるリノベしても根本的な問題が解決しない
含み益が出ている利益確定のチャンス
資金を他の投資に振り向けたい資産の組み替えが合理的

リノベーション費用の目安

リノベ内容費用目安(ワンルーム)賃料アップ効果
壁紙張り替え+クリーニング15〜30万円+2,000〜5,000円/月
水回りリフォーム(キッチン・浴室)80〜150万円+5,000〜10,000円/月
フルリノベーション200〜400万円+10,000〜20,000円/月

💡 リノベーションの投資回収期間

リノベ費用 ÷ 賃料アップ額(月額) = 投資回収期間(月数)

(例)リノベ費用100万円 ÷ 賃料アップ8,000円/月 = 125ヶ月(約10年5ヶ月)

投資回収期間が5年以内であればリノベーションは有利、10年以上かかる場合は売却を検討すべきです。

6. 築古マンション売却の税務ポイント

築古マンションの売却には、税務上の特有のポイントがあります。

減価償却の「取り戻し」に注意

長期間保有した築古マンションは、減価償却累計額が大きくなっています。売却時の譲渡所得は「売却価格 −(購入価格 − 減価償却累計額)− 諸費用」で計算されるため、減価償却累計額が大きいほど譲渡所得も大きくなります。

例えば、RC造マンションを築20年で購入し、10年間保有した場合(購入時の建物価格1,200万円)の減価償却累計額は約387万円です。購入価格と同じ金額で売却しても、387万円の譲渡所得が発生します。

出典: 国税庁「耐用年数表」(2024年版)

長期譲渡所得の税率を活用する

築古マンションは長期間保有しているケースが多いため、ほとんどの場合長期譲渡所得(約20.315%)が適用されます。短期譲渡所得(約39.63%)と比べて税率が約半分であるため、税務上は有利です。

出典: 国税庁「譲渡所得の税額の計算」(2025年版)

取得費が不明な場合の対処

築古物件の場合、購入時の売買契約書を紛失しているケースがあります。取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費とみなす「概算取得費」が適用されますが、これは実際の取得費よりも大幅に低くなることが多く、譲渡所得税が高額になるリスクがあります。

購入時の資料は必ず保管しておきましょう。紛失した場合は、不動産会社や金融機関に記録が残っていないか確認することをおすすめします。

7. ケーススタディ:築古マンションの売却判断

ケース1: 築22年・都心部・売却を決断

項目数値
物件概要東京都中央区・築22年・RC造・25㎡
購入価格(2012年)1,800万円
現在の査定価格2,200万円
減価償却累計額約446万円
含み益約846万円
2回目の大規模修繕2年後に予定(一時金50万円の徴収見込み)
判断✅ 売却(含み益確定+大規模修繕前+金利上昇リスク回避)

ケース2: 築28年・好立地・保有継続

項目数値
物件概要東京都港区・築28年・RC造・30㎡・駅徒歩3分
ローン完済済み
月額賃料10.5万円
管理費+修繕積立金月額2.0万円
月間キャッシュフロー+7.5万円(年間90万円)
実質利回り約6.0%(査定価格1,500万円ベース)
判断⏸️ 保有継続(ローン完済済みで高い実質利回り。好立地で賃貸需要安定)

ケース3: 築32年・郊外・売却を決断

項目数値
物件概要千葉県市川市・築32年・RC造・18㎡
月額賃料4.8万円
空室期間(直近)4ヶ月
修繕積立金月額1.8万円(値上げ予定あり)
月間キャッシュフロー+0.5万円(空室時はマイナス)
査定価格約380万円
判断✅ 売却(空室リスク増大+修繕積立金値上げ+キャッシュフロー悪化傾向)

築古の投資マンション、売却か保有か迷ったら、まずは現在の査定価格を確認しましょう。

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よくある質問

築古の投資マンションは売却すべき?

築年数だけでなく、立地・稼働率・キャッシュフロー・大規模修繕の時期を総合的に判断しましょう。減価償却終了・空室率上昇・大規模修繕前は売却を検討すべきタイミングです。

築20年の投資マンションの市場評価は?

RC造の場合、新築時の55〜65%程度が目安です。都心部の好立地物件は70〜80%の価値を維持するケースもあります。新耐震基準の物件であれば融資も付きやすく、需要は一定あります。

築古マンションでも高く売るコツは?

満室稼働での売却、大規模修繕履歴のアピール、管理組合の健全性を示す資料の準備、投資用不動産専門の会社選び、適正な売出価格の設定が重要です。

リノベーションと売却、どちらがよい?

リノベ費用が物件価格の15%以下で、賃料10%以上アップが見込める場合はリノベが有利。それ以上の費用やエリアの需要低下がある場合は売却が合理的です。