不動産投資が赤字の場合の確定申告|損益通算と節税の仕組み【2026年版】

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不動産投資を行っていると、経費が家賃収入を上回り、不動産所得が赤字になることがあります。「赤字なのに確定申告する意味があるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、不動産所得が赤字の場合こそ確定申告をすべきです。なぜなら、損益通算という制度を活用することで、給与所得などの他の所得から赤字分を差し引き、所得税・住民税の還付を受けられる可能性があるからです。本記事では、損益通算の仕組みを国税庁の規定に基づいて正確に解説するとともに、青色申告のメリット、減価償却費を活用した「帳簿上の赤字」の仕組み、そして節税目的の不動産投資に潜むリスクまで、詳しく解説します。

1. 不動産所得の赤字と損益通算の仕組み

まず、不動産所得と損益通算の基本的な仕組みを理解しましょう。

不動産所得とは

不動産所得とは、不動産の貸付けによって得られる所得のことです。具体的には以下の計算式で算出します。

📐 不動産所得の計算式

不動産所得 = 総収入金額 − 必要経費

総収入金額に含まれるもの

必要経費に含まれるもの

出典: 国税庁「耐用年数表」(RC造47年、鉄骨造(重量)34年、木造22年)

損益通算の仕組み

不動産所得が赤字(マイナス)の場合、その赤字を他の黒字の所得から差し引くことができます。これを「損益通算」といいます。

損益通算が認められている所得は、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4種類です。不動産所得の赤字は、給与所得や事業所得などの黒字と相殺することができます。

出典: 国税庁「No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」(令和7年4月1日現在法令等)

💡 損益通算の具体例

給与所得: 600万円、不動産所得: −100万円の場合

→ 課税所得 = 600万円 − 100万円 = 500万円

課税所得が100万円減少することで、所得税・住民税が軽減されます。所得税率20%・住民税率10%の場合、約30万円の税金が軽減される計算です。

2. 土地取得の借入金利子は損益通算の対象外

損益通算には重要な例外規定があります。不動産所得の赤字のうち、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額は、損益通算の対象外です。

なぜ土地の借入金利子は損益通算できないのか

国税庁No.1391によると、不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、土地等を取得するために要した負債の利子の額に相当する部分の金額は、損益通算の対象とならないと定められています。これは、土地の取得を目的とした借入金の利子を利用して意図的に赤字を作り出し、節税を図ることを防止するための規定です。

出典: 国税庁「No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算」(令和7年4月1日現在法令等)

具体的な計算方法

投資マンションのローンは、通常、土地と建物を一括で購入するために借り入れます。そのため、借入金の利子を土地部分と建物部分に按分する必要があります。

📐 借入金利子の按分計算

土地部分の借入金利子 = 借入金利子の総額 × 土地の取得価額 ÷(土地の取得価額 + 建物の取得価額)

計算例

項目金額
物件購入価格3,000万円(土地1,200万円+建物1,800万円)
借入額2,700万円
年間借入金利子54万円
不動産所得の赤字−80万円

計算

① 土地部分の借入金利子 = 54万円 × 1,200万円 ÷ 3,000万円 = 21.6万円

② 損益通算できない金額 = 21.6万円(土地の借入金利子相当額)

③ 損益通算できる赤字 = 80万円 − 21.6万円 = 58.4万円

この例では、不動産所得の赤字80万円のうち、損益通算できるのは58.4万円のみです。残りの21.6万円は損益通算の対象外となります。

⚠️ 重要な注意点

損益通算できない金額は、不動産所得の赤字の金額と土地の借入金利子の金額のうち、いずれか少ない方です。不動産所得の赤字が土地の借入金利子より小さい場合は、赤字の全額が損益通算の対象外となります。つまり、赤字の原因が土地の借入金利子だけである場合は、損益通算は一切できません。

3. 青色申告のメリット(65万円控除・純損失3年繰越)

不動産投資の確定申告では、「青色申告」を選択することで大きなメリットが得られます。

青色申告特別控除

青色申告を行うと、不動産所得から一定額を控除できます。控除額は記帳方法と申告方法によって異なります。

条件控除額
正規の簿記の原則(複式簿記)による記帳 + e-Tax申告最高65万円
正規の簿記の原則による記帳 + 書面申告最高55万円
上記以外(簡易簿記など)最高10万円

出典: 国税庁「No.2070 青色申告制度」(令和7年4月1日現在法令等)

区分マンション1室の場合、事業的規模(5棟10室基準)に該当しないため、青色申告特別控除は最高10万円となるのが一般的です。ただし、5棟以上または10室以上を保有している場合は事業的規模と認められ、最高65万円の控除が適用されます。

純損失の繰越控除(3年間)

青色申告者は、損益通算してもなお控除しきれない赤字(純損失)がある場合、その赤字を翌年以後3年間にわたって繰り越すことができます。

出典: 国税庁「No.2070 青色申告制度」(令和7年4月1日現在法令等)

💡 純損失の繰越控除の具体例

2026年: 不動産所得 −200万円、給与所得 150万円 → 損益通算後の純損失 50万円

2027年: 不動産所得 30万円、給与所得 150万円 → 繰越した純損失50万円を控除 → 課税所得 130万円

繰越控除がなければ2027年の課税所得は180万円ですが、繰越控除により130万円に減額されます。

その他の青色申告のメリット

青色申告の届出方法

青色申告を行うためには、事前に税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。提出期限は以下の通りです。

4. 減価償却費による「帳簿上の赤字」の活用法

不動産投資における節税の核心は「減価償却費」にあります。減価償却費は実際の現金支出を伴わない帳簿上の経費であるため、キャッシュフローはプラスでも帳簿上は赤字にすることが可能です。

減価償却の基本

減価償却とは、建物の取得価額を法定耐用年数にわたって少しずつ経費として計上していく会計処理です。土地は減価償却の対象外で、建物部分のみが対象となります。

構造法定耐用年数償却率(定額法)
RC造(鉄筋コンクリート造)47年0.022
鉄骨造(重量鉄骨)34年0.030
木造22年0.046

出典: 国税庁「耐用年数表」

「帳簿上の赤字」の仕組み

具体例で見てみましょう。

項目金額
物件RC造マンション(築10年)、建物価格1,800万円
年間家賃収入108万円
経費(減価償却費以外)40万円(管理費・修繕積立金・固定資産税等)
借入金利子30万円
減価償却費1,800万円 × 0.027(中古の償却率)= 48.6万円

帳簿上の計算

不動産所得 = 108万円 −(40万円 + 30万円 + 48.6万円)= −10.6万円(赤字)

実際のキャッシュフロー

キャッシュフロー = 108万円 − 40万円 − 30万円 = +38万円(黒字)

※減価償却費48.6万円は実際の現金支出を伴わないため、キャッシュフローの計算には含めない

このように、実際の手元には年間38万円のプラスがありながら、帳簿上は10.6万円の赤字となります。この赤字を給与所得と損益通算することで、所得税・住民税の還付を受けることができます。

減価償却費の注意点

減価償却費による節税には以下の注意点があります。

5. 赤字申告の具体的な手順

不動産所得が赤字の場合の確定申告の手順を、ステップごとに解説します。

ステップ1: 収支を集計する

1年間(1月1日〜12月31日)の不動産に関する収入と経費をすべて集計します。領収書、通帳のコピー、管理会社からの報告書などを整理しましょう。

ステップ2: 不動産所得の金額を計算する

収入から経費を差し引いて不動産所得を計算します。赤字の場合はマイナスの金額になります。

ステップ3: 土地の借入金利子を計算する

赤字の場合、損益通算できない金額(土地取得の借入金利子相当額)を計算します。借入金の利子を土地と建物の取得価額の比率で按分します。

ステップ4: 損益通算の計算

不動産所得の赤字から、損益通算できない金額(土地の借入金利子相当額)を差し引いた金額が、実際に損益通算できる金額です。この金額を給与所得などから差し引きます。

ステップ5: 確定申告書を作成・提出する

以下の書類を作成し、税務署に提出します。

e-Tax(電子申告)を利用すれば、自宅からオンラインで申告できます。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って入力するだけで申告書が作成できるため、初めての方にもおすすめです。

確定申告の期限

確定申告の期限は、所得が発生した翌年の2月16日〜3月15日です。還付申告(税金が戻ってくる場合)は、翌年の1月1日から5年間いつでも提出可能です。

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6. 損益通算の具体的な計算シミュレーション

実際の数値を使って、損益通算による節税効果をシミュレーションしてみましょう。

シミュレーション条件

項目金額
給与所得650万円(年収約850万円のサラリーマン)
物件RC造マンション(築12年)、物件価格2,500万円(土地1,000万円+建物1,500万円)
年間家賃収入120万円
経費(減価償却費・利子以外)38万円
年間借入金利子35万円
減価償却費1,500万円 × 0.029 = 43.5万円

計算過程

① 不動産所得の計算

不動産所得 = 120万円 −(38万円 + 35万円 + 43.5万円)= +3.5万円(黒字)

この場合、不動産所得は黒字のため損益通算は発生しません。しかし、青色申告特別控除(10万円)を適用すると…

② 青色申告特別控除の適用

不動産所得 = 3.5万円 − 10万円(青色申告特別控除)= −6.5万円(赤字)

※青色申告特別控除により不動産所得が赤字になった場合、この赤字は損益通算の対象となります。

では、もう少し経費が多いケースを見てみましょう。

経費が多いケースのシミュレーション

項目金額
給与所得650万円
年間家賃収入120万円
経費(減価償却費・利子以外)42万円
年間借入金利子40万円
減価償却費60万円(木造アパートの場合など)

① 不動産所得の計算

不動産所得 = 120万円 −(42万円 + 40万円 + 60万円)= −22万円(赤字)

② 土地の借入金利子の計算

土地の借入金利子 = 40万円 × 1,000万円 ÷ 2,500万円 = 16万円

③ 損益通算できる赤字

損益通算できる赤字 = 22万円 − 16万円 = 6万円

④ 損益通算後の課税所得

課税所得 = 650万円 − 6万円 = 644万円

⑤ 節税効果(所得税率20%+住民税率10%の場合)

節税額 = 6万円 × 30% = 約1.8万円

この例では、土地の借入金利子の制限があるため、損益通算できる金額は6万円にとどまり、節税効果は約1.8万円です。土地の借入金利子の制限は節税効果を大きく制限する要因であることがわかります。

7. 注意すべき「節税目的の不動産投資」のリスク

「不動産投資で節税できる」というセールストークは、不動産投資の営業でよく使われます。しかし、節税だけを目的とした不動産投資には大きなリスクが潜んでいます。

リスク①: 節税効果は永続しない

減価償却費による節税効果は、法定耐用年数の期間中に限られます。耐用年数を超えると減価償却費がゼロになり、節税効果はなくなります。特に中古物件は残存耐用年数が短いため、数年で節税効果が消失する可能性があります。節税効果がなくなった後も、ローン返済や管理費の支払いは続きます。

リスク②: 売却時に「ツケ」が回ってくる

減価償却費を計上した分だけ、売却時の取得費が減少します。つまり、保有中に節税した分は、売却時の譲渡所得税として「ツケ」が回ってきます。

📐 売却時の取得費の計算

取得費 = 購入価格 + 取得時の諸費用 − 減価償却費累計額

例えば、建物価格1,500万円で10年間の減価償却費累計額が435万円の場合、売却時の建物の取得費は1,065万円に減少します。その分、譲渡所得が増加し、譲渡所得税(長期譲渡所得の場合、約20.315%)が課税されます。

出典: 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」(令和7年4月1日現在法令等)

リスク③: 物件の収益性が低い場合のトータル損失

節税目的で販売される物件は、物件そのものの収益性が低いケースが多くあります。新築ワンルームマンションなどは表面利回りが3〜4%程度と低く、実質利回りはさらに低くなります。節税効果を加味しても、物件の値下がりやキャッシュフローのマイナスを考慮すると、トータルでは損失になるリスクがあります。

リスク④: 税務調査のリスク

不動産所得の赤字が毎年続いている場合、税務署から「事業として成り立っていないのではないか」と疑われ、税務調査の対象になる可能性があります。特に、経費の計上が不適切な場合(私的な支出を経費に含めているなど)は、追徴課税や加算税のリスクがあります。経費は適正に計上し、証拠書類(領収書・通帳のコピーなど)を保管しておくことが重要です。

リスク⑤: 「節税」と「脱税」の境界線

適法な節税と違法な脱税の境界線を理解しておくことが重要です。減価償却費や借入金利子の計上は適法な節税ですが、架空の経費を計上したり、収入を過少に申告したりすることは脱税です。節税対策は必ず税理士に相談し、適法な範囲で行いましょう。

⚠️ 「節税目的の不動産投資」の見極めポイント

  • 「節税できるから赤字でも大丈夫」というセールストークは要注意
  • 節税効果がなくなった後のキャッシュフローをシミュレーションする
  • 物件そのものの収益性(実質利回り)を重視する
  • 売却時の譲渡所得税も含めたトータルリターンで判断する
  • 不動産投資は「投資」であり、物件の価値と収益性が最も重要

不動産投資・売却に関するお悩みは、専門家への無料相談でスッキリ解決しましょう。

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よくある質問

不動産投資が赤字でも確定申告は必要?

不動産所得が赤字の場合、確定申告は義務ではありませんが、確定申告をすることで損益通算により給与所得などから赤字分を差し引き、所得税・住民税の還付を受けられる可能性があります。赤字の場合こそ確定申告をすべきです。

損益通算とは何ですか?

損益通算とは、不動産所得の赤字を給与所得などの他の黒字の所得から差し引くことができる制度です(国税庁No.1391)。ただし、土地取得のための借入金の利子に相当する部分は損益通算の対象外です。

土地取得の借入金利子が損益通算できないとはどういうこと?

不動産所得の赤字のうち、土地を取得するために要した借入金の利子に相当する金額は損益通算の対象外です。ローンの借入額を土地と建物に按分して計算する必要があります。建物部分の借入金利子は損益通算できます。

青色申告のメリットは?

主なメリットは、最高65万円の青色申告特別控除(正規の簿記+e-Tax。それ以外は最高10万円)、純損失の3年間繰越控除、30万円未満の少額減価償却資産の一括経費計上などです。

減価償却費で赤字を作る節税は有効?

減価償却費は実際の現金支出を伴わないため、キャッシュフローはプラスでも帳簿上は赤字にできます。ただし、減価償却費の計上は将来の売却時の譲渡所得を増加させます。また、節税だけを目的とした不動産投資は、物件の収益性が低い場合にトータルで損失になるリスクがあります。