不動産投資の減価償却を完全解説|計算方法・節税効果・売却時の注意【2026年版】
📋 目次
1. 減価償却の基本と仕組み
減価償却とは、建物などの固定資産の取得費を、その資産の法定耐用年数にわたって分割して経費化する仕組みです。不動産投資では、建物の取得費を毎年の不動産所得から差し引くことで、所得税・住民税を節税できます。
重要なポイントは、土地は減価償却できないということです。不動産の購入価格のうち、建物部分のみが減価償却の対象になります。建物と土地の按分は、売買契約書の記載や固定資産税評価額の比率で決定します。
出典: 国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」(令和7年4月1日現在法令等)
2. 構造別の法定耐用年数と償却率
| 構造 | 法定耐用年数 | 定額法の償却率 | 建物2,000万円の年間償却費 |
|---|---|---|---|
| RC造(鉄筋コンクリート) | 47年 | 0.022 | 44万円 |
| SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート) | 47年 | 0.022 | 44万円 |
| 重量鉄骨造(4mm超) | 34年 | 0.030 | 60万円 |
| 軽量鉄骨造(3〜4mm) | 27年 | 0.038 | 76万円 |
| 木造 | 22年 | 0.046 | 92万円 |
出典: 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」「減価償却資産の償却率表」(令和7年4月1日現在法令等)
木造は耐用年数が短い分、年間の償却費が大きく、短期間での節税効果が高いです。一方、RC造は耐用年数が長く、長期にわたって安定した節税効果が得られます。
3. 中古物件の耐用年数の計算方法
中古物件の耐用年数は、新築の法定耐用年数とは異なる計算式で求めます。
📊 中古物件の耐用年数の計算式
法定耐用年数をすべて経過している場合: 法定耐用年数 × 20%
法定耐用年数の一部を経過している場合: (法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%
※ 1年未満の端数は切り捨て。計算結果が2年未満の場合は2年
計算例
| 構造 | 築年数 | 中古の耐用年数 | 償却率 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 築10年 | (22-10)+10×20% = 14年 | 0.072 |
| 木造 | 築25年(全経過) | 22×20% = 4年 | 0.250 |
| RC造 | 築20年 | (47-20)+20×20% = 31年 | 0.033 |
| RC造 | 築50年(全経過) | 47×20% = 9年 | 0.112 |
出典: 国税庁「No.5404 中古資産の耐用年数」(令和7年4月1日現在法令等)
4. 減価償却費の計算シミュレーション
📊 モデルケース: 築10年の木造アパート
- 購入価格: 5,000万円(建物3,000万円・土地2,000万円)
- 中古の耐用年数: 14年(償却率: 0.072)
- 年間減価償却費: 3,000万円 × 0.072 = 216万円
年間216万円の減価償却費を14年間にわたって経費化できます。所得税率が30%(課税所得695万〜900万円)の場合、年間の節税効果は216万円 × 30% = 約64.8万円です。
5. 節税効果のシミュレーション
| 所得税率 | 年間減価償却費216万円の節税額 | 14年間の累計節税額 |
|---|---|---|
| 20%(課税所得330〜695万円) | 43.2万円 | 604.8万円 |
| 30%(課税所得695〜900万円) | 64.8万円 | 907.2万円 |
| 33%(課税所得900〜1,800万円) | 71.3万円 | 998.2万円 |
| 40%(課税所得1,800〜4,000万円) | 86.4万円 | 1,209.6万円 |
高所得者ほど減価償却による節税効果が大きくなります。ただし、売却時には減価償却分が譲渡所得に上乗せされるため、「節税の先送り」という側面もあります。
6. 売却時の減価償却の影響(取得費の減少)
売却時の譲渡所得は以下の式で計算されます。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 − 減価償却累計額)− 譲渡費用
減価償却を多く計上するほど取得費が小さくなり、譲渡所得(=税金)が大きくなります。
📊 売却時の税金シミュレーション
- 売却価格: 4,500万円
- 購入価格: 5,000万円(建物3,000万円・土地2,000万円)
- 減価償却累計額: 216万円×10年 = 2,160万円
- 取得費: 5,000万円 − 2,160万円 = 2,840万円
- 譲渡費用: 150万円
- 譲渡所得: 4,500万円 − 2,840万円 − 150万円 = 1,510万円
- 譲渡所得税(長期): 1,510万円 × 20.315% = 約306.8万円
7. デッドクロスの仕組みと回避策
デッドクロスとは、ローンの元金返済額が減価償却費を上回る状態です。帳簿上は利益が出ているのに、手元のキャッシュフローが悪化する現象が起こります。
回避策
- 繰上返済で元金を減らす: デッドクロスの到来を遅らせる
- デッドクロス前に売却する: 所有期間5年超のタイミングで計画的に売却
- 新たな物件を購入する: 新たな減価償却費を確保して税負担を軽減
- RC造など耐用年数の長い物件を選ぶ: デッドクロスまでの期間が長くなる
よくある質問
不動産の減価償却とは?
建物の取得費を法定耐用年数にわたって分割して経費化する仕組みです。土地は減価償却できません。
構造別の法定耐用年数は?
RC造: 47年、SRC造: 47年、重量鉄骨造: 34年、軽量鉄骨造: 27年、木造: 22年です。
減価償却が終わるとどうなる?
経費計上できる金額が減少し、帳簿上の利益が増加。所得税・住民税の負担が増加する「デッドクロス」に陥る可能性があります。
売却時に減価償却はどう影響する?
減価償却累計額の分だけ取得費が減少し、譲渡所得(税金)が増加します。保有中の節税の一部は売却時に課税されます。
減価償却の計算方法は?
定額法で計算。年間減価償却費=建物取得価格×償却率。RC造47年の償却率は0.022です。