予防接種は確定申告で医療費控除の対象なる?セルフメディケーション税制・申告方法まで徹底解説!

インフルエンザの予防接種は医療費控除の対象?セルフメディケーション税制・確定申告の方法も徹底解説!

監修者

監修者
田中壮

TFPグループ 代表取締役 田中 壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

予防接種の費用が、医療費控除の対象になるのか迷う方は多いと思います。インフルエンザワクチンや子どもの予防接種など、毎年の負担も大きく感じやすい支出です。どうにか税金の負担を軽くできないかと考えるのは自然なことかもしれません。

この記事では、予防接種と医療費控除の関係を整理しつつ、セルフメディケーション税制との違いも分かりやすく説明します。確定申告書の書き方や必要書類の扱いも紹介しますので、最後まで読めば、自分や家族のケースでどこまで控除が受けられる可能性があるか、全体像をつかみやすくなるはずです。

目次

予防接種は医療費控除の対象になる?

まずは、医療費控除の基本的な仕組みと、どのような費用が控除の対象になるのかを整理します。予防接種が控除できるかどうかは、この原則を理解しておくと判断しやすくなります。

ここでは、医療費控除の対象範囲と、対象外になりやすい費用の考え方を解説します。控除額の計算方法や、領収書や医療費明細書の保管ルールもあわせて確認しながら、後の章で扱う予防接種ごとの違いにつなげていきます。

医療費控除の仕組みと対象範囲

医療費控除とは、年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、所得からその一部を差し引ける制度です。所得税や住民税の負担を軽くする目的で設けられており、確定申告を通じて適用を受けます。ここでいう医療費は、単に病院で支払った金額だけを指すわけではありません。

一般的には、治療や療養のために必要と認められる費用が控除の対象になります。診療代や入院費だけでなく、処方された医薬品の代金、通院のための公共交通機関の運賃なども含まれる場合があります。家族分も合算でき、本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族の医療費もまとめて申告できる仕組みです。

一方で、病気の予防や健康増進を目的とした支出は、原則として医療費控除の対象外とされています。健康診断や人間ドック、予防接種などは、病気になってからの治療ではないためです。ただし、結果として病気が見つかり、そのまま治療に移行した場合などは、一定の条件で扱いが変わることもあります。

予防接種が控除できるかどうかを考えるときも、この「治療のためか」「予防や増進のためか」という視点が重要になります。制度の運用は税務署や国税庁の見解に基づきますので、迷うケースでは、最新の情報を確認したうえで判断することが大切です。

医療費の原則と対象外になる費用の具体例

医療費控除の原則をもう少し具体的に見ていきましょう。控除の対象となるのは、病気やけがの治療のために「必要」と認められる医療費です。この必要性の判断は、医師の診療や処方に基づいているかどうかが、一つの目安になります。医療機関での診療や処方薬の購入などは、基本的に治療目的と考えられやすいです。

一方で、健康を維持したり、体力を増進したりするための支出は、通常は控除の対象外です。たとえば、サプリメントや健康食品、スポーツジムの会費などは、健康に良さそうでも、医療費としては認められません。人間ドックや健康診断の費用も、病気の早期発見には役立ちますが、予防的な性格が強いため、原則として医療費控除の対象外とされています。

予防接種の費用も、この考え方に沿うと、病気になる前の予防を目的とした支出です。そのため、インフルエンザワクチンや帯状疱疹ワクチンなど、多くの予防接種は、医療費控除の対象外とされるのが一般的な扱いです。ただし、特定の事情があり、医師の指示に基づく場合など、個別の判断が必要になるケースもあります。

たとえば、健康診断や人間ドックで重大な疾病が見つかり、その後の精密検査や治療に直接つながった場合には、検査費用の一部が控除の対象となる可能性があります。このように、似たような支出でも、目的や経緯によって扱いが変わることがありますので、国税庁のホームページや税務署の案内を一度ご覧になり、最新の取扱いを確認しておくと安心です。

控除額の計算方法

医療費控除の控除額は、支払った医療費の合計から、保険金などで補てんされた金額を差し引き、さらに一定の金額を引いた残りが対象になります。ここでいう医療費には、自分だけでなく、生計を一にする家族や親族の分も含めることができます。年間の医療費を合算して考える点が、大きな特徴といえるでしょう。

具体的には、まず一年間に支払った医療費をすべて集計します。そこから、健康保険の給付金や生命保険の入院給付金など、医療費に対して受け取った保険金を差し引きます。そのうえで、原則として十万円、または所得の五パーセントのいずれか少ない方を引いた金額が、医療費控除の対象となる仕組みです。

たとえば、年間の医療費が三十万円で、保険金の受け取りが五万円だった場合、差し引き二十五万円となります。そこから十万円を引いた十五万円が、医療費控除の控除額となるイメージです。所得が少ない方は、五パーセントの金額が十万円より小さくなることもあり、その場合はさらに控除額が大きくなります。

ただし、予防接種の費用が医療費控除に含められるかどうかは、先ほど触れたとおり原則として対象外とされることが多いです。控除額を計算するときは、まずどの費用が対象かを整理し、対象外の支出を除いたうえで計算する必要があります。細かな条件や計算のルールは、税制改正などで変わることもありますので、確定申告の前に国税庁の最新の情報を確認しておくと安心です。

領収書・医療費明細書の作成・保管ルール

医療費控除を受けるには、支払った医療費を証明する書類の管理が欠かせません。以前は、医療費の領収書を確定申告書に添付して提出する方法が一般的でした。現在は、医療費控除の明細書を作成して提出し、領収書自体は自宅で保管する形に変わっています。制度の変更点を押さえておくと、申告の準備がスムーズになります。

医療費明細書には、医療機関の名称や医師の診療内容、支払った金額などを記載します。家族ごと、医療機関ごとにまとめて記入することが多く、細かい日付まですべて書き出す必要はありません。健康保険組合などから届く医療費通知があれば、それを利用して簡略化できる場合もあります。国税庁のホームページには、明細書の様式や記載例が掲載されています。

領収書や請求書は、確定申告書と一緒に提出する必要はなくなりましたが、一定期間の保管が求められます。税務署から問い合わせがあったときに、提示を求められる可能性があるためです。自宅で五年間程度は保管しておくことが推奨されており、ファイルや封筒にまとめておくと、後から確認しやすくなります。

予防接種の費用についても、医療費控除の対象外となることが多いものの、セルフメディケーション税制など別の制度で必要になるケースも考えられます。領収書に接種の名称や金額がきちんと記載されているかを確認し、他の医療費とあわせて整理しておくと良いでしょう。書類の扱いは税務のルールに関わるため、必ず最新の保管期間や提出方法を確認したうえで対応することが大切です。

予防接種ごとの扱い

ここからは、予防接種の種類ごとに、医療費控除でどのように扱われるかを見ていきます。定期接種と任意接種の違いや、インフルエンザワクチンなど身近な接種の扱いを知ることで、自分のケースがどこに当てはまるのか判断しやすくなります。

コロナワクチンや帯状疱疹ワクチンなど、最近注目される接種についても、実務上どのように考えられているかを整理します。子どもの予防接種を親が負担している場合の申告方法も含めて、家族全体の医療費との関係をイメージしながら読み進めてみてください。

定期接種と任意接種の線引き

予防接種には、大きく分けて「定期接種」と「任意接種」があります。定期接種とは、予防接種法に基づいて、市町村などが実施を勧めている接種です。ヒブ、小児用肺炎球菌、BCG、麻しん風しんなど、子どものうちに受けることが多いワクチンが代表例といえます。多くの場合、自治体が費用を負担するため、自己負担はゼロか、あってもごく一部にとどまることが多いです。

一方、任意接種は、法律上の義務や公的な勧奨がないものの、医師の判断や本人の希望に応じて受ける予防接種です。インフルエンザワクチンやおたふくかぜワクチン、帯状疱疹ワクチンなどがよく知られています。これらは、原則として全額自己負担となり、医療機関ごとに費用も異なります。健康保険の対象外となることが多く、自由診療として扱われるのが一般的です。

医療費控除の観点から見ると、定期接種も任意接種も、多くの場合は「疾病の予防」や「健康の維持増進」を目的とした支出と判断されます。そのため、原則として控除の対象外とされているのが現状です。自己負担が少ない定期接種はもちろん、費用が高額になりがちな任意接種も、医療費控除で税金の負担を軽くするのは難しいケースが多いと考えられます。

ただし、業務上の理由で特定の予防接種を受ける必要がある場合などは、別の扱いが生じることもあります。会社が従業員のために一括で接種費用を負担する場合は、企業側では福利厚生費として経費計上することがありますが、従業員個人の医療費控除とは考え方が異なります。個人として確定申告をする際には、定期接種と任意接種の違いを理解しつつも、基本的には医療費控除の対象外という前提で検討するのが無難でしょう。

インフルエンザワクチンは医療費控除の対象か

インフルエンザワクチンは、毎年接種する方も多く、家族全員で受けるとそれなりの金額になります。そのため、この費用が医療費控除の対象になるかどうかは、関心が高いポイントです。結論からいうと、一般的な扱いとしては、インフルエンザワクチンの接種費用は医療費控除の対象外とされることが多いです。理由は、病気の治療ではなく、予防を目的とした支出と考えられるためです。

医療費控除では、「疾病の予防」や「健康の増進」を目的とする支出は、原則として控除の対象外とされています。インフルエンザワクチンは、インフルエンザにかかるリスクを減らすための接種であり、すでに発症している病気を治すものではありません。そのため、国税庁の見解でも、通常は医療費控除の対象外として取り扱われていると理解されています。

高齢者や持病のある方が、医師の勧めでインフルエンザワクチンを受ける場合もありますが、それでも基本的な考え方は変わりません。医師の指示があったとしても、あくまで予防目的である以上、医療費控除の対象とは認められにくいのが現状です。接種費用が高額であっても、控除の計算に含めることは難しいと考えた方がよいでしょう。

ただし、税務の解釈は細かな条件や時期によって変わる可能性もあります。自治体が一部を助成しているケースや、職場で集団接種を行っている場合など、状況によっては別の論点が出てくることも想定されます。最終的な判断に迷うときは、税務署に相談したり、国税庁のホームページに掲載されている「よくある質問」を確認したりして、最新の情報をもとに検討することが大切です。

コロナ・帯状疱疹・おたふくワクチンの実務上の判断例

新型コロナウイルスワクチンや帯状疱疹ワクチン、おたふくかぜワクチンなども、ここ数年で関心が高まっている予防接種です。これらの費用が医療費控除の対象になるかどうかも、基本的な考え方はインフルエンザワクチンと同じと理解されることが多いです。つまり、病気の予防を目的とした支出である以上、原則として医療費控除の対象外という位置づけになります。

新型コロナウイルスワクチンについては、多くの場合、公費負担や自治体の制度により、接種自体が無料で行われてきました。このような場合、そもそも自己負担の医療費が発生していないため、医療費控除の対象に含める余地はありません。有料の任意接種となるケースがあっても、性質としては予防接種であり、控除の対象外と考えられるのが一般的です。

帯状疱疹ワクチンやおたふくかぜワクチンは、多くの自治体で任意接種として扱われています。費用は一回あたり一万円から数万円になることもあり、家計への負担を重く感じる方も少なくありません。それでも、医療費控除の観点では、病気の治療ではなく、発症を防ぐための接種と整理されるため、原則として控除の対象外と理解されることが多いです。

実務上は、これらの予防接種の費用を医療費控除の明細書に含めず、その他の治療費や処方薬の費用のみを集計するケースが一般的です。一方で、企業が従業員の健康維持のためにワクチン接種を実施し、費用を負担する場合は、企業側の経費処理や福利厚生費としての扱いが問題になります。個人の医療費控除とは別の論点になるため、事業者としての判断が必要です。いずれにしても、税務の取扱いは変わる可能性がありますので、国税庁の最新の情報や税務署の案内を確認しながら対応することが重要です。

子どもの予防接種を親が申告する場合の取扱い

子どもの予防接種は、多くの家庭で定期的に行われるものです。ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチン、麻しん風しん混合ワクチンなど、母子手帳に接種の記録が残るものが多く、自治体からの案内も届きます。これらの費用を親が負担している場合、医療費控除の対象として申告できるのか、気になる方もいるでしょう。結論としては、子どもの予防接種も、医療費控除の原則に照らすと、通常は対象外とされることが多いです。

理由は、大人の場合と同様で、予防接種が「疾病の予防」を目的とした支出であるためです。たとえ親が自己負担していても、医療費控除の対象となるのは、病気やけがの治療や療養のために必要な医療費に限られます。定期接種で自己負担がない場合は、そもそも医療費が発生していないので、申告の余地はありません。有料の任意接種であっても、性格上は予防目的と判断されるのが一般的です。

一方で、子どもの医療費全体を考えると、予防接種以外にも、診察や入院、処方薬など、控除の対象になり得る支出は多くあります。親と子が同じ家計で暮らしている場合、これらの費用は親の医療費控除として合算して申告できます。確定申告書では、生計を一にする家族の医療費をまとめて記載し、控除額を計算することになります。

子どもの予防接種の領収書も、念のため保管しておくと、後でセルフメディケーション税制など別の制度を検討する際に役立つかもしれません。とはいえ、現時点では、医療費控除に直接つながるケースは限られると考えられます。最終的な判断にあたっては、国税庁のホームページや税務署の窓口で、最新の取扱いを確認したうえで対応することが安心につながります。

セルフメディケーション税制と予防接種の関係

医療費控除とは別に、「セルフメディケーション税制」という特例もあります。これは、一定の条件を満たした人が、対象となるOTC医薬品を購入した場合に、所得控除を受けられる制度です。予防接種が医療費控除の対象外となることが多い中で、この制度とどう関係するのか、気になる方もいるでしょう。

ここでは、セルフメディケーション税制の要件や、対象となる医薬品の範囲を整理しつつ、予防接種との関わりを確認します。医療費控除との選択制である点や、どちらを使う方がよいか考える際のポイントも紹介しますので、自分のケースに当てはめながら読み進めてみてください。

セルフメディケーション税制の要件とは

セルフメディケーション税制は、平成二十九年から始まった所得控除の特例です。目的は、日ごろから自分や家族の健康管理に取り組み、軽い病気であれば市販薬を上手に使って治療する人を応援することにあります。この制度を利用すると、一定のOTC医薬品の購入額が、所得から差し引かれる仕組みになっています。

適用を受けるには、まず本人が健康の維持増進や疾病の予防に取り組んでいることが条件です。具体的には、定期健康診断や人間ドック、がん検診、予防接種などを受けている必要があります。会社員であれば、勤務先の定期健康診断を受けていれば要件を満たすことが多いです。自営業者やフリーランスの方は、市町村や健康保険組合が実施する健診を受けておくとよいでしょう。

次に、対象となるOTC医薬品の購入額が、年間で一万二千円を超えていることも必要です。OTC医薬品とは、薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品のうち、もともと医療用だった成分を含む「スイッチOTC医薬品」などを指します。対象となる商品には、パッケージに「セルフメディケーション税制対象」などの表示があることが多く、レシートにも印字されるようになっています。

控除の対象となる金額は、購入額の合計から一万二千円を引いた部分で、上限は八万八千円です。従来の医療費控除との併用はできず、どちらか一方を選択する必要があります。どちらを選ぶ方が有利かは、年間の医療費やOTC医薬品の購入額によって変わりますので、両方のパターンを試算してみると判断しやすいでしょう。制度の細かな要件や対象商品は変更される可能性がありますので、国税庁のホームページで最新情報を確認しておくことが重要です。

予防接種はセルフメディケーション税制の対象になるか?

セルフメディケーション税制の説明を読むと、「疾病の予防」や「健康の維持増進」という言葉が出てきます。そのため、予防接種の費用自体も、この制度の控除対象になるのではと考える方もいるかもしれません。しかし、セルフメディケーション税制で所得控除の対象となるのは、あくまでOTC医薬品の購入額です。予防接種の費用は、この控除の対象には含まれません。

制度の要件として、定期健康診断やがん検診、予防接種などを受けていることが求められますが、これは「適用を受けるための条件」に過ぎません。つまり、健康診断や予防接種を受けている人だけが、OTC医薬品の購入額について所得控除を受けられる、という仕組みになっています。接種費用そのものが控除されるわけではない点に、注意が必要です。

たとえば、インフルエンザワクチンを受けていても、その費用はセルフメディケーション税制の控除額の計算には含まれません。一方で、風邪薬や鎮痛剤、胃腸薬など、対象となるスイッチOTC医薬品を年間で一万二千円以上購入していれば、その超えた部分について所得控除を受けられる可能性があります。このとき、予防接種を受けていることが、制度の要件を満たす一つの証拠になるイメージです。

予防接種の領収書は、セルフメディケーション税制の適用要件を証明する書類として、一定期間保管しておくと安心です。確定申告の際に提出を求められることは多くありませんが、税務署から確認を受けたときに提示できるようにしておくと良いでしょう。制度の詳細や対象となる医薬品の一覧は、国税庁のホームページで公表されていますので、申告前に一度ご覧になり、最新の情報を確認しておくことをおすすめします。

医療費控除とセルフメディケーション税制の使い分け方

医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらも所得控除の制度ですが、同じ年に両方を使うことはできません。どちらか一方を選択する必要があります。選び方の基本としては、控除できる金額が大きくなりそうな方を選ぶのが一般的です。ただし、予防接種の費用がどちらの制度でも控除の対象外となることを踏まえると、判断の軸は「治療の医療費」と「OTC医薬品の購入額」のどちらが大きいかになります。

年間を通じて病院にかかることが多く、入院費や手術費、処方薬の自己負担額が高い場合は、従来の医療費控除を選んだ方が有利になることが多いです。医療費控除では、通院の交通費や歯科治療の費用なども対象に含められるため、合計額が十万円を超えやすくなります。一方で、病院にかかることは少ないものの、ドラッグストアでスイッチOTC医薬品をよく購入する方は、セルフメディケーション税制が向いている可能性があります。

予防接種は、どちらの制度でも控除額の計算には含まれないのが一般的ですが、セルフメディケーション税制の要件を満たすための「健康への取組」として意味を持つ場合があります。定期健康診断やがん検診とあわせて、予防接種を受けていることで、制度の適用要件をクリアしやすくなると考えることもできるでしょう。とはいえ、最終的な損得は、人それぞれの医療費の状況によって変わります。

どちらを選ぶか迷う場合は、まず一年間の医療費と、対象となるOTC医薬品の購入額を整理し、それぞれの制度を使った場合の控除額を試算してみるとよいです。国税庁のホームページには、医療費控除やセルフメディケーション税制の計算方法が掲載されており、確定申告書等作成コーナーを使えば、シミュレーションもしやすくなっています。制度は変更されることもあるため、必ず最新の情報を確認したうえで判断することが大切です。

OTC医薬品・スイッチ薬の購入額の扱いと適用手続き

セルフメディケーション税制を利用するには、対象となるOTC医薬品やスイッチOTC医薬品の購入額を正しく把握することが重要です。対象商品は、もともと医療用だった成分を含む一般用医薬品などに限られます。すべての市販薬が対象になるわけではないため、購入時にレシートやパッケージを確認しておくと安心です。多くの場合、「セルフメディケーション税制対象」といった表示があり、レシートにも対象額がまとめて印字されます。

一年間の購入額を集計するときは、ドラッグストアや薬局ごとにレシートを保管し、後から対象商品だけを抜き出して合計します。サプリメントや健康食品、化粧品などは対象外ですし、同じ店で買った日用品も含めないよう注意が必要です。家族分のOTC医薬品も合算できますが、生計を一にしている親族に限られます。誰のために購入した薬なのかを、レシートのメモなどで分かるようにしておくと、後で整理しやすくなります。

確定申告時には、セルフメディケーション税制用の明細書を作成し、対象となるOTC医薬品の購入額を記載します。従来の医療費控除と同様に、領収書やレシート自体は提出せず、自宅で保管しておく形が一般的です。税務署から問い合わせがあった場合に提示できるよう、五年間程度は保管しておくとよいでしょう。申告書には、定期健康診断や予防接種など、健康の維持増進に取り組んでいることを示す項目もあります。

セルフメディケーション税制を選択すると、その年は従来の医療費控除を使うことができません。医療費全体の状況を踏まえたうえで、どちらの制度を使うかを決める必要があります。国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、セルフメディケーション税制に対応した入力画面が用意されており、案内に沿って金額や要件を入力していけば、自動的に控除額が計算されます。対象商品や手続きの詳細は変更されることがありますので、申告前に必ず最新の情報を確認しておくことが大切です。

申告方法・記載例・必要書類

ここでは、実際に医療費控除やセルフメディケーション税制を申告する際の手順を整理します。確定申告書のどこに記載するのか、どのような書類を用意しておくべきかを知っておくと、申告時に慌てずに済みます。

医療費控除の明細書の作成方法や、医療費通知の活用方法、保険金がある場合の差引計算などもあわせて確認しておくと安心です。予防接種の費用については、控除の対象外となることが多いものの、関連する書類の保管や記載の際の注意点を押さえておきましょう。

確定申告書への記載箇所と医療費控除の書き方

医療費控除やセルフメディケーション税制を利用するには、確定申告書に所定の項目を記載する必要があります。会社員の方でも、年末調整だけではこれらの控除は反映されないため、自分で確定申告書を作成し、税務署に提出することになります。最近は、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使って、インターネット上で申告書を作る方法が一般的になりつつあります。

医療費控除を選ぶ場合は、まず「医療費控除に関する明細書」を作成します。この明細書には、医療機関ごとの支払金額や、保険金などで補てんされた額を記載します。作成コーナーを利用すると、画面の案内に従って金額を入力するだけで、明細書と申告書の医療費控除の欄に自動的に反映されます。紙で提出する場合も、国税庁のホームページから様式をダウンロードして記入できます。

確定申告書本体では、「所得から差し引かれる金額」の欄にある「医療費控除」の項目に、計算された控除額を記載します。セルフメディケーション税制を利用する場合は、「医療費控除」ではなく、「セルフメディケーション税制の適用を受ける方」の項目に金額を記入します。どちらか一方しか選べないため、両方に金額を入れないよう注意が必要です。

予防接種の費用については、原則として医療費控除の対象外となることが多いため、明細書に記載しないのが一般的です。ただし、セルフメディケーション税制の要件を満たすために受けた予防接種であれば、健康への取組として申告書にチェックを入れる場面があります。制度の細かな書き方は、年によって様式が変わることもあるため、国税庁の最新の記載例を確認しながら作成すると安心です。

領収書・請求書・明細書の保管・提出の実務

医療費控除やセルフメディケーション税制を適用する際、領収書や請求書、医療費通知などの書類の扱いはとても重要です。以前は、医療費の領収書をすべて確定申告書に添付して提出する必要がありましたが、現在は制度が変わり、医療費控除の明細書を提出し、領収書自体は自宅で保管する形になっています。セルフメディケーション税制についても、基本的な考え方は同じです。

医療機関や薬局から受け取った領収書は、日付や金額、支払先の名称が分かるように整理しておきます。後から医療費控除の明細書を作成する際に、どの支出が控除の対象になるかを判断しやすくなります。健康保険組合などから送られてくる医療費通知も、医療費の確認に役立つ資料です。明細書の記載に医療費通知を利用する場合は、その通知書を確定申告書と一緒に提出することが求められることがあります。

領収書やレシートは、税務署から問い合わせがあった場合に提示する必要があるため、原則として五年間は保管しておくことが推奨されています。ファイルや封筒に年ごと、医療機関ごとにまとめておくと、後から確認する際にも便利です。予防接種の領収書も、医療費控除の対象外であっても、セルフメディケーション税制の要件を確認するうえで役立つ場合がありますので、あわせて保管しておくと安心でしょう。

提出の方法については、紙で税務署に持参するほか、郵送やe-Taxを利用した電子申告も選べます。e-Taxを利用する場合は、マイナンバーカードやID・パスワード方式など、事前の準備が必要になることがあります。どの方法を選ぶにしても、申告期限までに余裕を持って書類の整理と入力を進めておくことが大切です。書類の扱いに不安がある場合は、税務署の窓口で相談したり、国税庁のホームページにある「よくある質問」を参考にしたりしながら進めると良いでしょう。

医療費通知や保険金がある場合の計算・差引処理

医療費控除を計算する際には、健康保険組合などから届く医療費通知や、保険会社から支払われる給付金の扱いにも注意が必要です。医療費控除の対象となるのは、あくまで自分が実際に負担した医療費です。健康保険からの給付や、生命保険の入院給付金などで補てんされた部分は、控除額の計算から差し引く必要があります。この差引処理を正しく行わないと、控除額が多くなりすぎてしまう可能性があります。

医療費通知は、健康保険を使って受診した医療機関ごとの自己負担額が一覧になっている書類です。国税庁が定める一定の要件を満たす医療費通知であれば、その内容をそのまま医療費控除の明細書として利用できる場合があります。具体的には、通知に記載された金額を明細書に転記し、通知書自体を確定申告書に添付する形です。この方法を使うと、個別の領収書を一枚ずつ確認する手間を減らせます。

一方で、生命保険や共済、医療保険から支払われる入院給付金や手術給付金などは、医療費控除の計算において「補てんされる金額」として扱います。年間の医療費の合計から、これらの保険金の合計額を差し引き、その残りに対して控除額を計算することになります。保険金が医療費を上回る場合、その部分については医療費控除の対象とはなりません。

予防接種の費用については、健康保険の対象外となることが多く、医療費通知に記載されないケースが一般的です。医療費控除の対象外となる場合は、そもそも控除の計算に含めないため、保険金との差引処理も不要です。ただし、がん検診や人間ドックなどで病気が見つかり、その後の治療につながった場合には、検診費用の一部が医療費控除の対象となることもあります。こうしたケースでは、検診費用と保険金の関係も含めて整理する必要がありますので、国税庁のホームページや税務署の案内を参考にしながら慎重に判断すると良いでしょう。

まとめ

予防接種と医療費控除の関係は、制度の目的を理解すると整理しやすくなります。医療費控除の対象となるのは、基本的に病気やけがの治療や療養のために必要な医療費です。一方で、予防接種は疾病の予防や健康の維持増進を目的とした支出と考えられるため、原則として控除の対象外とされることが多いです。インフルエンザワクチンや帯状疱疹ワクチン、子どもの定期接種なども、同様の扱いになるのが一般的です。

ただし、セルフメディケーション税制では、予防接種が「健康への取組」の一つとして要件に含まれる場合があります。この場合も、控除の対象となるのはOTC医薬品の購入額であり、予防接種の費用そのものではありません。どの制度を使うかは、年間の医療費やOTC医薬品の購入額、家族構成などによって変わります。医療費控除とセルフメディケーション税制は選択制のため、両方を比較しながら、自分にとってどちらが適しているか検討することが大切です。

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2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

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