一棟アパートの売却相場は?査定のポイントと高く売るコツ【2026年版】

1. 一棟アパート売却市場の現状

2026年の一棟アパート売却市場は、金利上昇の影響を受けて調整局面に入っています。日本銀行の利上げにより投資用ローンの金利が上昇し、レバレッジを効かせた投資が以前より難しくなったことで、特に地方の一棟アパートでは買い手が減少しています。

不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」の「収益物件市場動向」(2025年)によると、一棟アパートの平均表面利回りは7.56%で、前年比+0.3%上昇しています。利回りの上昇は、物件価格の下落を意味します。

出典: 健美家「収益物件市場動向 四半期レポート」(2025年)

一方で、都市部の好立地アパートは依然として需要が底堅く、築浅・満室・駅近の物件は高値で取引されています。売却を検討する際は、自分の物件がどのセグメントに属するかを正確に把握することが重要です。

2. エリア別・築年数別の売却相場

エリア別の利回り水準と売却相場

一棟アパートの売却価格は、「年間家賃収入÷利回り」で概算できます。エリアごとの利回り水準は以下の通りです。

エリア表面利回り目安年間家賃600万円の場合の売却価格
東京23区5.0〜6.5%9,230万〜1.2億円
東京郊外・神奈川・千葉・埼玉6.5〜8.0%7,500万〜9,230万円
大阪市・名古屋市・福岡市7.0〜8.5%7,060万〜8,570万円
地方中核都市8.0〜10.0%6,000万〜7,500万円
地方都市・郊外10.0〜14.0%4,290万〜6,000万円

出典: 日本不動産研究所「不動産投資家調査」(2025年)をもとに作成

築年数別の価格補正

木造アパートの法定耐用年数は22年です。築年数が進むにつれて建物の評価は下がりますが、土地の価値は維持されます。

築年数建物評価価格への影響主な買主層
〜5年新築に近いプレミアム価格長期保有の個人投資家
6〜10年良好標準的な相場安定収益狙いの投資家
11〜15年やや劣化相場の80〜90%利回り重視の投資家
16〜22年耐用年数内だが劣化進行相場の60〜80%高利回り狙い・建て替え検討
23年〜ほぼゼロ(土地値)土地値ベース建て替え・土地活用目的

3. 一棟アパートの査定方法と重視されるポイント

収益還元法による査定

一棟アパートの査定では、収益還元法(直接還元法)が最も重視されます。

📊 収益還元法の計算式

査定価格 = 年間NOI(純営業収益)÷ キャップレート

NOI = 年間家賃収入 ×(1 − 空室率)− 運営費用(管理費・修繕費・固定資産税等)

査定で重視される5つのポイント

  1. 年間家賃収入(NOI): 最も重要な要素。満室想定ではなく、実際の稼働状況が重視される
  2. エリアのキャップレート: エリアの需給バランスや将来性で決まる。都心部は低く、地方は高い
  3. 築年数と建物の状態: 木造22年の耐用年数が目安。修繕履歴が良好な物件は評価が高い
  4. 稼働率(空室率): 満室稼働の物件は高評価。空室が多いと大幅に減額される
  5. 土地の価値: 築古物件ほど土地値の比重が大きくなる。接道条件・用途地域・容積率も重要

積算法(原価法)による査定

金融機関の融資審査では、積算法(土地の路線価評価+建物の再調達原価×残存率)も重視されます。積算価格が収益価格を大きく下回る場合、融資が付きにくく売却が困難になることがあります。

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4. 木造アパートの法定耐用年数と売却への影響

木造アパートの法定耐用年数は22年です(国税庁「耐用年数表」)。この耐用年数は、減価償却の計算期間であると同時に、融資審査にも大きく影響します。

出典: 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」(令和7年4月1日現在法令等)

融資への影響

多くの金融機関は、投資用ローンの融資期間を「法定耐用年数−築年数」以内に設定します。つまり、築15年の木造アパートの場合、融資期間は最長7年程度となり、毎月の返済額が大きくなります。融資期間が短いと買主のキャッシュフローが悪化するため、売却価格にも影響します。

デッドクロスとの関係

木造アパートは耐用年数が短いため、デッドクロス(ローン元金返済>減価償却費)に早期に到達します。中古で取得した場合の耐用年数は「(22年−経過年数)+経過年数×20%」で計算されるため、築10年で取得した場合は14年で減価償却が終了します。

5. 一棟アパートを高く売る5つのコツ

コツ① 満室にしてから売る

空室がある状態で売ると、買主は空室リスクを織り込んで低い価格を提示します。売却前に空室を埋めることで、査定額が5〜15%向上するケースがあります。一時的にフリーレント(1〜2ヶ月の家賃無料)を提供してでも満室にする価値はあります。

コツ② 修繕履歴・レントロールを整備する

買主(投資家)は、物件の収益性とリスクを詳細に分析します。以下の資料を整備しておくことで、買主の安心感が高まり、価格交渉で有利になります。

コツ③ 複数の不動産会社から査定を取る

一棟アパートの査定額は不動産会社によって10〜20%の差が出ることがあります。最低3社から査定を取り、査定額の根拠(利回り・キャップレート・比較事例)を確認しましょう。

コツ④ 投資家向けポータルサイトに掲載する

一棟アパートの買主は投資家です。楽待・健美家・不動産投資連合隊などの投資家向けポータルサイトへの掲載を不動産会社に依頼しましょう。

コツ⑤ 売り出し時期を繁忙期に合わせる

投資用不動産の取引が活発な時期は1〜3月(確定申告・決算対策)9〜11月(年末に向けた投資判断)です。この時期に合わせて売り出すことで、買い手が見つかりやすくなります。

6. 売却にかかる費用・税金の一覧

費用項目金額の目安備考
仲介手数料売却価格×3%+6万円(税別)400万円超の場合
譲渡所得税利益×20.315%(長期)or 39.63%(短期)所有期間5年超/以下で異なる
印紙税1万〜6万円売買契約書に貼付
抵当権抹消費用1〜3万円ローンがある場合
ローン一括返済手数料0〜5万円金融機関による
測量費用30〜80万円確定測量が必要な場合
建物解体費用100〜300万円更地渡しの場合のみ

出典: 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」(令和7年4月1日現在法令等)

7. 築古アパートの売却戦略(土地値売却)

土地値売却とは

築22年を超えた木造アパートは、建物の残存価値がほぼゼロとなるため、「土地値」ベースでの売却が現実的な選択肢になります。土地値売却とは、建物の価値を考慮せず、土地の価値のみで売却する方法です。

土地値売却が有利なケース

売却方法の選択肢

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よくある質問

一棟アパートの売却相場はどのくらい?

エリア・築年数・利回りによって大きく異なります。東京23区の築10年・8室・満室の木造アパートの場合、表面利回り5〜6%で取引されることが多く、年間家賃収入600万円なら売却価格は1億〜1.2億円程度が目安です。地方都市では利回り8〜10%が求められるため、同条件でも6,000〜7,500万円程度になります。

一棟アパートの査定で最も重視される要素は?

最も重視されるのは①年間家賃収入(NOI)②エリアのキャップレート③築年数と建物の状態④稼働率⑤土地の価値の5つです。特に収益還元法による査定が主流で、NOI÷キャップレートで算出される理論価格が基準になります。

築古の一棟アパートでも売れますか?

はい、築古でも売却可能です。ただし、築20年以上の木造アパートは建物の残存価値がほぼゼロとなるため、土地値がベースの売却価格になります。土地の価値が高いエリアであれば、建て替え需要のある買主に売却できます。

一棟アパートを高く売るコツは?

①満室にしてから売る②修繕履歴・レントロールを整備する③複数の不動産会社から査定を取る④投資家向けポータルサイトに掲載する⑤売り出し時期を繁忙期に合わせる、の5つです。特に満室稼働は査定額に大きく影響します。

一棟アパートの売却にかかる期間は?

平均売却期間は6〜12ヶ月程度です。区分マンションより取引の母数が少なく、買主が限られるため時間がかかる傾向があります。価格設定が適正であれば3〜6ヶ月で売却できるケースもあります。