一棟マンション売却の注意点|失敗しないための完全ガイド【2026年版】

1. 一棟マンション売却の特徴と区分マンションとの違い

一棟マンションの売却は、区分マンション(1室単位)の売却とは大きく異なります。取引金額が数千万〜数十億円と高額になるため、買主は個人投資家・法人投資家・不動産ファンドなどに限られ、売却には専門的な知識と戦略が必要です。

項目一棟マンション区分マンション
取引価格5,000万〜数十億円500万〜5,000万円
買主層投資家・法人・ファンド個人投資家・実需
売却期間6〜18ヶ月1〜6ヶ月
査定方法収益還元法が主流取引事例比較法+収益還元法
融資事業性融資(審査厳格)アパートローン(比較的容易)
管理責任建物全体の管理責任管理組合が管理

2. 売却前に確認すべき7つの注意点

注意点① 適正価格の設定

一棟マンションは取引事例が少ないため、適正価格の把握が難しいです。収益還元法(NOI÷キャップレート)を基本に、積算法(土地+建物の原価)も参考にして、複数の視点から価格を決定しましょう。

注意点② 入居者への対応

オーナーチェンジ(入居者付き売却)の場合、賃貸借契約はそのまま新オーナーに引き継がれます(借地借家法第31条)。入居者に対する事前通知は法律上必須ではありませんが、管理会社の変更がある場合は丁寧な説明が必要です。

出典: e-Gov法令検索「借地借家法」第31条(建物賃貸借の対抗力等)

注意点③ 契約不適合責任の範囲

2020年4月の民法改正で「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に変更されました。売買契約書で責任の範囲と期間を明確に定めることが重要です。投資用物件の場合、「契約不適合責任を免責とする」特約を付けるケースもあります。

注意点④ ローン残債の処理

売却価格がローン残債を下回る場合(オーバーローン状態)、差額を自己資金で補填する必要があります。事前にローン残債と売却見込み価格を比較し、資金計画を立てましょう。

注意点⑤ 大規模修繕の履歴と予定

RC造マンションは12〜15年周期で大規模修繕が必要です。直近の修繕履歴と今後の修繕予定は、買主の判断に大きく影響します。修繕積立金の残高と長期修繕計画を整備しておきましょう。

出典: 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和5年改定版)

注意点⑥ 建築基準法の既存不適格

築古マンションの場合、建築当時は合法でも現行の建築基準法に適合しない「既存不適格」の状態になっていることがあります。容積率オーバーや接道義務の不備がある場合、買主の融資が付きにくくなります。

注意点⑦ テナント(店舗・事務所)がある場合

1階に店舗や事務所が入っている複合用途の一棟マンションは、住居部分と事業用部分で異なる扱いが必要です。事業用テナントの契約条件(定期借家か普通借家か)を確認しましょう。

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3. 一棟マンションの査定方法と価格の決め方

収益還元法(メイン手法)

一棟マンションの査定では収益還元法が最も重視されます。直接還元法とDCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)の2種類があります。

直接還元法: 査定価格 = 年間NOI ÷ キャップレート

DCF法: 査定価格 = 将来のキャッシュフローの現在価値の合計 + 売却時の価値の現在価値

DCF法は保有期間中の収益変動や売却時の価格を考慮するため、より精緻な査定が可能ですが、前提条件の設定が複雑です。実務では直接還元法をベースに、DCF法で検証するケースが多いです。

積算法(融資審査で重要)

積算価格 = 土地の価格(路線価×面積)+ 建物の価格(再調達原価×延床面積×残存率)

RC造の再調達原価は1㎡あたり25〜30万円が目安です。残存率は(法定耐用年数−経過年数)÷法定耐用年数で計算します。

4. RC造・SRC造の耐用年数と融資への影響

構造法定耐用年数融資期間の目安特徴
RC造(鉄筋コンクリート)47年最長35〜40年最も一般的。耐久性が高い
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)47年最長35〜40年大規模物件に多い。耐震性が高い
S造(鉄骨造)34年最長25〜30年中規模物件に多い
木造22年最長15〜20年アパートに多い。融資期間が短い

出典: 国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」(令和7年4月1日現在法令等)

RC造は耐用年数が47年と長いため、築20年でも残り27年の融資期間が取れます。これは木造アパートと比べて大きなアドバンテージであり、築古でも売却しやすい理由の一つです。

5. 売却の流れと必要書類

売却の流れ(6ステップ)

  1. 査定・価格決定(1〜2週間): AI査定→複数社の訪問査定→価格決定
  2. 媒介契約の締結(1日): 専任媒介or一般媒介を選択
  3. 販売活動(1〜12ヶ月): ポータルサイト掲載・投資家への紹介
  4. 買付申込・条件交渉(1〜2週間): 価格・引渡し条件・融資条件の交渉
  5. 売買契約の締結(1日): 重要事項説明→契約書署名→手付金受領
  6. 決済・引渡し(契約から1〜3ヶ月後): 残金受領→所有権移転登記→鍵の引渡し

必要書類一覧

6. 売却時の税金と節税対策

譲渡所得税の計算

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

取得費には購入価格から減価償却累計額を差し引いた金額を使います。RC造マンションは減価償却期間が長いため、木造アパートほど取得費が小さくなりにくいメリットがあります。

所有期間区分税率
5年以下短期譲渡所得39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
5年超長期譲渡所得20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

出典: 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」(令和7年4月1日現在法令等)

節税対策

7. よくある失敗パターンと回避策

失敗① 高値で売り出して長期化

「高く売りたい」気持ちから相場より10%以上高い価格で売り出し、1年以上売れないケースが多くあります。長期化すると「売れ残り物件」のイメージがつき、さらに売りにくくなる悪循環に陥ります。

失敗② 不動産会社選びの失敗

一棟マンションの売却には専門的な知識とネットワークが必要です。居住用物件が主力の不動産会社に依頼すると、投資家への訴求が弱く、売却に時間がかかります。

失敗③ 税金の計算ミス

高額取引のため、税金の計算ミスは数百万〜数千万円の損失につながります。必ず税理士に相談し、売却前に手取り額をシミュレーションしましょう。

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よくある質問

一棟マンションの売却にはどのくらいの期間がかかる?

一棟マンションの売却期間は6〜18ヶ月が一般的です。取引金額が大きいため買主が限られ、融資の審査にも時間がかかります。1億円以下の小規模物件は比較的早く(3〜6ヶ月)、5億円以上の大型物件は1年以上かかることもあります。

一棟マンションの売却で最も注意すべきことは?

最も注意すべきは①適正価格の設定②入居者への影響の最小化③契約不適合責任の範囲の明確化④税金対策⑤ローン残債の処理の5点です。特に高額取引のため、価格設定を誤ると数千万円単位の損失につながります。

RC造マンションの法定耐用年数は何年?

RC造の法定耐用年数は47年です。SRC造も同じく47年です。木造アパートの22年と比べて大幅に長いため、築古でも融資が付きやすく、売却しやすい傾向があります。

一棟マンションの売却で仲介手数料はいくら?

400万円超の取引の場合「売却価格×3%+6万円(税別)」です。例えば2億円の一棟マンションの場合、仲介手数料は606万円(税別)になります。

入居者がいる状態で一棟マンションを売却できる?

はい、オーナーチェンジで売却できます。投資用物件の場合、入居者がいる方が即座に家賃収入が得られるため、買主にとってメリットがあります。賃貸借契約はそのまま新オーナーに引き継がれます。