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「配偶者控除申告書って何?」
「年末調整で配偶者控除をするにはどうしたらいいの?」
このような悩みを抱えていませんか?
2017税制改正で要件や申告方法が変更になった配偶者控除と配偶者特別控除。これまでとは異なる申告方法に戸惑っている人も多いでしょう。
この記事では、配偶者控除申告書の概要や書類の書き方について詳しく解説します。この記事を読めば、スムーズに配偶者控除・配偶者特別控除の申告ができるようになるでしょう。
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配偶者控除申告書とは、配偶者に関する控除を受ける際に年末調整で提出が必要な書類です。正確には「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」と呼ばれます。
基本的には、勤め先で年末調整の時期に渡される書類に、必要事項を記入して提出すれば配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる流れです。
この章では、配偶者控除申告書がどのような書類か、扶養控除等申告書との違いについて解説します。配偶者控除と配偶者特別控除の違いについても解説するので、それぞれ詳しくみていきましょう。
配偶者控除申告書は、年末調整で配偶者控除・配偶者特別控除を申告する際に提出する書類です。配偶者がいる人が必要事項を記入して提出することで、要件に当てはまれば配偶者控除や配偶者特別控除が受けられます。
控除が適用されるにはいくつかの要件があり、申告をする本人の1年間の合計所得金額が1,000万円以下であることが前提です。それに加えて、配偶者の所得がある一定以下の場合に控除が受けられます。
記入した申告書の提出期限は、「その年最後の給与・賞与を受け取る前日まで」ですが、会社ごとの提出期限は別に設定されます。それぞれの期限を確認し、確実に勤め先に提出しましょう。
参考:国税庁「[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告」
配偶者控除は、1年の所得金額の合計が48万円以下の配偶者がいる場合に納税者自身が受けられる所得控除のことです。配偶者にアルバイトやパートなどの給与収入しかない場合、55万円の給与所得控除を差し引いて給与所得を算出します。
そのため、配偶者の1年の給与が103万円(48万円+給与所得控除額55万円)までであれば配偶者控除が受けられます。ただし、配偶者控除が適用になるのは、申告をする本人が1年間で得られる所得が1,000万円以下の場合のみです。
収入が一定以下の配偶者がいる世帯主の税負担を軽くする目的で作られました。会社に勤めている場合は、年末調整で「配偶者控除申告書」を勤め先に提出しましょう。
※令和2年分以後の「給与所得者の配偶者控除等申告書」は、「給与所得者の基礎控除申告書」および「所得金額調整控除申告書」との兼用様式
個人事業主は確定申告で申告する必要があります。
配偶者特別控除は、配偶者の所得金額の合計が48万円を超え133万円以下の場合に、納税者自身が受けられる所得控除のことです。配偶者の収入が給与収入のみの場合、給与所得控除を加味して所得金額を算出します。
そのため、適用される配偶者の給与収入は103万円(48万円+給与所得控除額55万円)を超え201万6,000円(133万円+給与所得控除額68万6,000円)までになります。こちらも申告をする本人が1年間で得られる所得が1,000万円以下であることが前提です。
配偶者控除の対象外の人が扶養から外れて納税者となった場合、税負担が増して給与が増えるはずです。それにもかかわらず手取りが減ってしまう現象が起こるケースがあります。この現象に対応するために作られた制度です。
「扶養控除等(異動)申告書」は、配偶者控除申告書と同じように配偶者に関して控除を受けるために提出する書類です。しかし、配偶者控除申告書とは目的が異なります。扶養控除等(異動)申告書は、毎月の給与から扶養控除などの諸控除を受けるために行う書類です。
その年の最初に給与の支払を受ける日の前日までに提出します。配偶者に加えて、子どもや扶養家族についての情報まで詳しく記入する仕様です。年末調整の時期に配偶者控除申告書と一緒に書類を渡されることが多いので誤解しやすいですが、その年の年末調整には関係しません。
一方で、配偶者控除申告書は、その年の年末調整に必要な配偶者の所得を主とした情報のみを記載します。子どもや扶養家族の情報は記載しません。
年末に勤め先で用紙を渡されて、書き方に戸惑ったことはありませんか?年に一度しか記入する機会がないので、前年にどのように記入したか覚えていないこともあるでしょう。
配偶者控除申告書について分かったところで、この章では、実際の書き方について解説します。あなた自身と配偶者の合計給与収入・所得を計算する必要があるので、給与明細などの書類を用意しておくとスムーズです。
国税庁によると、配偶者控除申告書は、2020年から他の用紙と統一されています。以前は「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」に分かれていました。現在は3つの申告書の兼用様式です。同じ用紙に含まれる申告書は以下の3つです。
各項目の書き方を詳しくみていきましょう。
基礎控除は、一定の所得以下のすべての納税者を対象に、無条件で差し引く所得控除のことです。基礎控除が適用になるのは、その年の合計所得の見積額が2,500万円以下の人のみ。すべての所得の合計が2,500万円を超えない限り、年末調整を受ける人の大部分が対象です。
給与所得者の基礎控除申告書は、書類の左側に位置します。配偶者控除等や所得金額調整控除が適用外になる人もいるでしょう。その場合も、基礎控除申告書の部分だけは記入して提出してください。
まずはあなたが1年間で得られる予定の給与収入とそれ以外の所得の見積額を記入します。いくつかの勤務先から給与を受け取っている人は、合計金額を計算して記入してください。
給与以外に事業所得・雑所得・配当所得・不動産所得・退職所得などがあれば併せて申告書に記入します。
申告書を記入するタイミングでは、その年の収入は確定していないことがほとんどです。収入金額と所得金額の箇所には、見積額を計算して記入しましょう。
所得金額とは、給与収入の金額から給与所得控除の額を差し引いた金額です。合計額を記入したら、控除額の計算表を確認すれば該当する控除額を求められます。
配偶者控除等申告書は、書類の右側に位置します。控除額を算出するには「基礎控除申告書」で算出される控除額による「区分」が必要です。
配偶者控除・配偶者特別控除の要件を満たしていない場合は、配偶者控除申告書の部分は記入しなくても問題ありません。条件を満たしている場合、配偶者の個人情報・所得の記入が必要です。それでは詳しく手順を確認していきましょう。
あなたの配偶者の氏名・フリガナ・生年月日・マイナンバー(個人番号)・住所を記入します。配偶者と別居している場合、別居先の住所が必要です。
配偶者が日本以外に住んでいる場合は「非居住である配偶者」の箇所に○を記入し、「生計を一にする事実」の箇所にその年に渡した金額の合計を記入します。
「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額の計算」の箇所に、配偶者の年間の給与収入と所得の合計金額を計算して記入します。基礎控除申告と同じで、その年の所得額が確定する前のタイミングで書類を作成することになるので、見積額を記入しましょう。
所得金額は基礎控除申告と同じく、給与収入の金額から給与所得控除の額を差し引いた金額を記入してください。配偶者に給与以外の所得がある場合はそれらの合計額を、ない場合には「0」を記入しましょう。先ほど算出した合計額と配偶者の年齢から「判定」の箇所の区分Ⅱを求めます。
「控除額の計算表」で、基礎控除申告書でわかった区分Ⅰと、配偶者控除等申告書でわかった区分Ⅱが交わるところを確認して控除額を算出します。控除額の下にある「摘要」にて、配偶者控除と配偶者特別控除のどちらが適用になるか確認しましょう。
「配偶者控除の額」の箇所か「配偶者特別控除の額」の箇所に算出した控除額を記入すれば、配偶者控除申告書の部分は完了です。
「所得金額調整控除申告書」には、所得金額調整控除(子ども・特別障害者等)の適用を受ける旨等を記載します。所得金額調整控除は、給与所得控除額の改正により、令和2年分の所得税から新しくできた制度です。給与所得控除額や公的年金等控除額の引き下げの影響を受けて負担が増えないようにするために制定されました。(参照元:国税庁)
所得金額調整控除申告書の「要件」の箇所に4つの項目が記されています。該当するものにチェクを入れ「☆扶養親族等」の箇所や「★特別障害者」の箇所に必要事項があれば記入しましょう。
年収850万円を超える人のうち、次の要件のいずれかに該当する場合に、税負担が軽減されます。
前章まで、配偶者控除申告書の書き方について詳しく解説しました。複雑な点もありますが、必要な情報を用意して用紙に従って記載していけば問題ありません。
続いて、配偶者控除申告書に関して、よくある疑問について紹介します。よくある疑問は以下の2つです。
どちらもよくあることなので、事前に確認しておくのがおすすめです。それぞれ詳しくみていきましょう。
年末調整で配偶者控除の申告を忘れてしまった場合、2月〜3月に実施される確定申告にて申告しましょう。配偶者控除の申告を忘れると、課税所得額が多くなり、本来納めるべき所得税よりも高い税金を請求されます。確定申告は原則該当する年の翌年3月15日が期限なので、覚えておいてください。
配偶者控除の申告を忘れていると気づいた時に確定申告の期間も過ぎてしまっていたら、還付申告制度を利用しましょう。還付申告制度は、本来は確定申告が不要な人が収め過ぎた税金の還付を受けるために申告する制度です。
確定申告のように決まった提出期限はなく、該当する年の翌年1月1日から5年間は申告できます。
ここまで解説したとおり、配偶者控除申告書を記入するのは1年間の所得が確定するよりも前のタイミングです。書類には実際の額ではなく予想される見積額を記入することになるため、実際の金額と異なってしまうこともあるでしょう。場合によっては、適用を受ける配偶者特別控除額が変わる可能性もあります。
事業者がその年分の源泉徴収票を作成するまでに差異があったことを申し出れば、年末調整の再計算によって税額の還付が可能です。年末調整の再調整以外では、納税者自身が確定申告をすることで還付を受けられます。
参考:国税庁「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しに関するFAQ」
この記事では、配偶者控除申告書の概要や書き方について解説しました。配偶者控除申告書は、配偶者控除や配偶者特別控除を受けようとする人に必要な書類です。年末調整の際に、必要事項をすべて記入して勤め先に提出しましょう。
給与収入や所得の計算など、一見複雑に感じるかもしれません。解説した書き方を参考にして、必要な箇所を全て埋めてください。きちんと手続きをして受けられる控除は漏れなく受けましょう。
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高柳政道
CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。
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