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「iDeCoってどうやって受け取るの?」
「iDeCoは受け取り方法によって税金が違うって本当?」
このような悩みはありませんか?
老後の資産を自分で形成する年金制度の1つであるiDeCo。受け取り方によってかかる税金が異なるなら、なるべく課税される金額を少なくしたいと思う人が多いでしょう。
この記事では、iDeCoの3種類の受け取り方法とかかる税金・受け取る際の注意点を解説します。この記事を読めば、あなたに合ったiDeCoの老齢給付金の受け取り方がわかるでしょう。
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iDeCoとは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度で、より豊かな老後を送るための資産形成方法の1つです。自分が拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成します。確定拠出年金法に基づいて平成14年1月より制度運用がスタート。公的年金とは異なり、加入は任意です。
掛金とその運用益との合計額を給付金として受け取れます。基本的に20歳以上65歳未満の全ての人が加入可能。受取額は、拠出した掛金の合計額や運用成績によって一人ひとり異なります。この章では、iDeCoについて以下の2つのポイントについて解説します。
iDeCo(個人型確定拠出年金)について
それぞれ詳しくみていきましょう。
iDeCoで積み立てた老齢給付金が受け取れる年齢は、以下のように決められています。
iDeCoの年金資産は、老齢給付金として原則、60歳から受け取ることができます。受給を開始する時期は、75歳になるまでの間で選ぶことができます。
ただし、60歳で受け取りたい場合、加入から通算10年が経過していないと老齢給付金を受け取れません。60歳の時点での加入期間に応じて受け取り可能な年齢が定められています。例えば55歳でiDeCoに加入した場合は60歳時点で5年経過した計算になり、63歳から老齢給付金を受け取れることに。iDeCoへの加入を検討しているなら、あなたがいつから老齢給付金を受け取りたいかも考えて加入しましょう。
iDeCoは早ければ60歳で老齢給付金を受け取れます。そして、受け取る際には受け取り方法を選ばなければなりません。iDeCoの受け取り方法は以下の3つです。
3種類の受け取り方法
選択した受取時期が近付いたら、上記の3つから受け取り方法を指定できます。それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてあなたに合った受け取り方法を選択してください。
「一時金受け取り」は、受給権が発生する60歳から75歳までの間に、一時金として一括で受け取る方法です。一括で受け取れるため、大きな金額が手に入ります。住宅ローンの繰上げ返済やリフォームなど、まとまったお金が必要な人に向いているでしょう。
「年金受け取り」は、分割で受け取る方法です。有期年金として、5年〜20年の期間で受け取ります。受給開始の時期は75歳までの間で選択可能。受給権が発生する年齢になったら、5年〜20年の期間で運営管理機関が定める方法で支給されます。
「併給」は、一時金受け取りと年金受け取りを組み合わせて受給する方法です。一部は受給権が発生する年齢に到達した時点で一時金としてまとまった金額を受給。残りは指定した年数で年金として分割で受け取ります。住宅ローンの繰り上げ返済に必要な金額のみを先に受け取り、残りは運用を続けることもできます。
iDeCoは掛け金の全額が所得控除の対象になるうえに、運用益も非課税であることがメリットです。ただし、受け取り時には税金が発生します。受け取り方法により対象となる所得控除が異なるため、税金の計算方法も変わります。各受け取り方法で、対象となる所得控除は以下の通りです。
iDeCoに係る所得控除
それぞれ詳しく解説します。
一時金受け取りをした場合、iDeCoの老齢給付金は税制上「退職所得控除」の対象になります。退職所得は、他の所得とは分けて所得税を計算する分離課税方式です。退職所得の控除額は以下のように計算します。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円 × 勤続年数(80万円未満なら80万円) |
20年超 | 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年) |
勤続年数はiDeCoの加入年数に置き換えて計算。そして、計算した退職所得控除をもとに、課税退職所得金額を算出します。
課税退職所得金額 =(収入金額の金額 – 退職所得控除額)× 1/2
上記のように、受け取った金額の総額には課税されません。退職所得控除や1/2課税によって算出した額に課税されるため、支払う税金が抑えられます。加入年数に応じて控除額が大きくなる仕組みなので、資産運用が長期間になるほど節税のメリットが大きくなるのが特徴です。
年金受け取りをする場合、iDeCoの老齢給付金は公的年金と同じように「公的年金に係る雑所得」に分類されて「公的年金等控除」の対象になります。そして雑所得は総合課税なので、公的年金等の収入金額にはiDeCoの老齢給付金だけでなく公的年金も加算しなければなりません。収入金額から控除額を引いた額が課税対象です。
【65歳未満の方】
公的年金等の収入金額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 |
---|---|
60万円以下 | 0円 |
60万円超130万円未満 | 収入金額 – 60万円 |
130万円以上410万円未満 | 収入金額 × 0.75 – 27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額 × 0.85 – 68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額 × 0.95 – 145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額 – 195万5千円 |
【65歳以上の方】
公的年金等の収入金額 | 公的年金等に係る雑所得の金額 |
---|---|
110万円以下 | 0円 |
110万円超330万円未満 | 収入金額 – 110万円 |
330万円以上410万円未満 | 収入金額 × 0.75 – 27万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額 × 0.85 – 68万5千円 |
770万円以上1,000万円未満 | 収入金額 × 0.95 – 145万5千円 |
1,000万円以上 | 収入金額 – 195万5千円 |
上記は「公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額」が1,000万円以下の場合の計算方法です。1,000万円超〜2,000万円以下、2,000万円超の金額幅では計算方法が異なります。iDeCo以外に公的年金の受給や、他の所得があれば所得税は増えることも念頭に置いておきましょう。
年金受け取りは、一時金受け取りに比べると税金面での優遇は少なくなります。ただし、受け取りが終了するまで資産運用が継続するため、運用成績によっては今後の受取額が増える可能性も。また、お金の管理が苦手な人にとっては、一括で受け取るよりも老後の資金を確保しやすいでしょう。
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iDeCoの一時金受け取りは、解説した通り高い節税効果が得られます。しかし、会社から退職金を受け取る場合には注意しないと高い税金を支払うことになりかねません。注意点は以下の2つです。
iDeCoの一時金と退職金を受け取る際の注意点
iDeCoと退職金を定年の60歳の同じ年に受給すると、退職所得控除の枠を超えてしまうため課税対象額が高額になってしまいます。回避するには受け取り時期をずらす必要があり、各ケースで条件が異なるため注意が必要です。それぞれ詳しく解説します。
iDeCoの一時金を先に受け取り、退職金を後に受け取る場合、5年以上期間を空けましょう。国税庁によると、前年4年内に他の支払者から受給したiDeCoを含む退職金を計算した時の勤続年数は除いて計算すると定義されています。
つまり、iDeCoを受け取ってから5年経過していれば、もう一度退職所得控除を利用できるということです。例えば、60歳で定年退職の所を5年延長して、60歳でiDeCoの老齢給付金を一時金で受け取るとします。この場合は、5年以上経っているので、iDeCoの一時金受け取りと退職金の両方に退職所得控除が適用可能です。課税額に大きな差がでるため、受け取るタイミングには注意しましょう。
退職金を先に受け取り、iDeCoの老齢給付金を一時金として後に受け取る場合は15年期間を空けましょう。iDeCoの老齢給付金を受け取る前年以前14年内に退職金を受け取った場合、退職金を計算した勤続年数は計算から除く必要が。
つまり、退職金を受け取ってから15年が経過していれば、もう一度退職所得控除を利用できるということです。iDeCoを最長の75歳で受け取るとすると、60歳で退職金を受け取らなければ課税される所得は高くなります。
この記事では、iDeCoの受け取り方法やかかる税金・注意点についてご紹介しました。iDeCoは全拠出額が所得控除の対象で運用益も非課税と税制上のメリットがあるため、加入を検討している人も多いでしょう。しかし、受け取り時には税金がかかります。受け取り方をしっかり考えておかないと、予想以上に税金がかかってしまうこともあるので注意しましょう。
この記事で解説した受け取り方による税金の違いや注意点を踏まえて、早い段階から受け取り方法を検討しておくのがおすすめです。ぜひ参考にして、あなたに合った受け取り方法を選択してください。
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高柳政道
CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。
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