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副業をしていると年末調整はどうすればいい?確定申告が必要な金額や注意点を徹底解説

2023.06.30
副業をしていると年末調整はどうすればいい?確定申告が必要な金額や注意点を徹底解説

※この記事は商品プロモーションを含むことがあります。

「副業をしているけど年末調整はどうしたらいいの?」
「副業はいくらから税金がかかるの?」
このような悩みを抱えていませんか?

2018年に厚生労働省により「副業・兼業の推進に向けたガイドライン」が発表され、副業を解禁する企業が増えました。スマホやパソコン1つでできる仕事も多いので、解禁を機に副業を始めて年末調整や確定申告で悩むこともあるでしょう。

この記事では、副業で年末調整や確定申告が必要な金額や申告方法について解説します。副業をしている人の注意点もご紹介。この記事を読めば、税金関係で失敗せずに副業を続けられるでしょう

副業をしている場合は年末調整はどこですればいい?

副業をしている場合は年末調整はどこですればいい?

そもそも、年末調整とは何なのでしょうか。国税庁では以下のように説明しています。

年末調整とは、源泉徴収された税額の年間の合計額と、年税額を一致させる精算の手続です。

引用:国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

毎月の給与から差し引かれている所得税と、年間の最終的な所得税に差異がないかを確認して調整します。年末調整の対象となるのは1月1日~12月31日の間に確定した給与です。

12月に勤務した分の給与を翌年1月に支給する場合、その給与は本年の年末調整の対象には含まれません。翌年の年末調整の対象となります。

年末調整は給与を多く貰っている本業の勤務先で行う

会社に勤めて給与収入を得ている人は、必ずどこか1ヶ所で年末調整をすることになっています。副業をしている人の場合、通常は収入の多い方の会社で年末調整が行われます。

原則として従たる給与については年末調整できませんので、所得者本人が確定申告することにより所得税および復興特別所得税の精算を行う必要があります。

引用:国税庁「No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収」

上記のように、本業以外の勤め先では年末調整を行わないので、副業の分は年末調整ができないことになります。

副業で得た所得は確定申告を行う

本業の所得は年末調整で納税額が確定できますが、副業で得た所得は何もしないと正しい納付額が確定できません。副業の所得はあなた自身で確定申告をする必要があります。本業で年末調整をして手元に届いた源泉徴収票をもとに確定申告を行いましょう

確定申告は手続きできる期間が決まっています。期間内に申告しなかった場合「無申告加算税」というペナルティが課せられてしまう可能性もあります。所得が発生した翌年の2月16日〜3月15日までの期間に申告手続きをしましょう。

両方で年末調整をしてしまった場合は確定申告で修正する

年末調整は1ヶ所ですることを知らず、本業の勤め先と副業の勤め先の両方で書類を提出してしまった人もいるでしょう。複数箇所で年末調整をした場合は、確定申告で修正する必要があります。

本業の勤め先以外の年末調整で重複している各控除があれば、申請を取り消さなければなりません。

まずは、複数の勤め先で年末調整をしたことに気づいた時点で、本業以外の勤め先に事情を伝えて扶養控除申告書の取り下げを依頼しましょう。その後、各勤め先から受け取った源泉徴収票をもとに、本業以外の給与の確定申告を行います。

副業の収入がいくら以上なら確定申告が必要なの?

副業の収入がいくら以上なら確定申告が必要なの?

副業で収入を得ていても、金額によっては確定申告が必要ない場合があります。確定申告が必要な金額は以下の2つのケースで異なります。

  1. 副業の収入が給与以外の場合
  2. 副業の収入に給与を含む場合

副業の収入が給与所得にあたるのか、それ以外に当たるのかを知る必要があります。副業の給与所得はアルバイトやパート、契約社員として勤め先で受け取った給与が該当。

それ以外の所得には事業所得・不動産所得・雑所得などがあります。それぞれのケースについて詳しくみていきましょう。

①副業の収入が給与以外の場合

副収入が給与以外の場合、確定申告が必要な金額は以下のように定められています。

年末調整を受けた給与所得以外の所得が20万円以下の方は、確定申告は不要です。
医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)などの適用を受ける場合は、20万円以下の所得も含めて確定申告を行います。

引用:国税庁「副収入などがある方の確定申告」

収入と所得は異なります。収入から必要経費を差し引いた金額が所得です。例えば、売上が25万円だった場合でも、諸経費に6万円かかっている場合、所得は19万円となります。

この場合は確定申告が必要ありません。経費として計上可能なのは、事業を進める上でかかった費用です。パソコンの通信費や商品の送料などが該当します。

②副業の収入に給与を含む場合

副業の収入に給与を含む場合、確定申告が必要なのは以下のような人です。

3 2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人
(注)給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。

引用:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」

給与所得は経費がかからないため、収入金額で判断されます。副業でパートやアルバイトとそれ以外の事業など両方をしている人もいるでしょう。その場合、給与の収入とそれ以外の所得の合計が20万円以下なら確定申告は不要です。

しかし、パートやアルバイトで得る給与は、すでに源泉徴収されているので、所得税を多く支払っている可能性があります。その場合は20万円に満たない場合でも確定申告をすることで還付を受けられるかもしれません。

副業をしている人は住民税に注意が必要!その理由とは?

副業をしている人は住民税に注意が必要!その理由とは?

副業をしている人は、住民税に注意する必要があります。理由は以下の2つです。

注意すべき理由

  1. 副業の所得が20万円以下でも住民税は発生する場合があるから
  2. 住民税の特別徴収で勤務先に副業を知られるケースがあるから

注意点と対処法をご紹介します。特に本業の職場に副業をしていることを隠している人は、しっかり対策しないと知られてしまうかもしれません。それぞれ詳しくみていきましょう。

①副業の所得が20万円以下でも住民税は発生する場合があるから

解説したとおり、副業の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です。しかし、20万円以下だったとしても住民税はかかります。

そもそも確定申告は、所得税を確定させるための手続きです。しかし、住民税は所得に応じて課せられるため、確定申告の情報をベースに課税されます。(参照元:総務省

20万円以下だったとしても、副業で所得が発生している場合は、あなたが住む自治体に申告するために確定申告を行いましょう。本業の所得額と副業の所得額の合計に応じて、住民税が課せられます。

申告漏れがあった場合は、延滞金などのペナルティが課される可能性があるので注意してください。

②住民税の特別徴収で勤務先に副業を知られるケースがあるから

住民税の特別徴収で、本業の勤め先に副業をしていることを知られてしまうかもしれません。特別徴収とは、事業主が納税者に代わり、毎月の給与から住民税を天引きして支払う制度です。

確定申告によって本業と副業の合計所得が自治体に確認されます。その金額をもとに、本業の勤め先に住民税徴収額が通知されることで「給与に対して住民税が高い」となり、副業が知られてしまう流れです。

実は、副業の所得が給与所得でない場合は、本業の勤め先に知られてしまうことを回避できます。確定申告をする際に、住民税に関する項目で「自分で納付」にチェックをすれば特別徴収されません。

本業の給与に対する住民税の徴収額は勤め先に通知され、副業の所得に対する納付書はあなた自身に届くようになります。

ただし普通徴収できない自治体もあるので確認が必要

ただし、2ヶ所以上から給与所得がある場合、普通徴収を選択できない自治体もあるため注意が必要です。

例えば足立区であれば、令和5年度以降の副業の所得にかかる住民税も本業の勤務先からの特別徴収になってしまいます。(出典:足立区「給与所得が複数ある場合の住民税の徴収方法の変更(令和5年度(令和4年分の所得)以降)」

一方、鉾田市では「給与所得に係る徴収方法変更申出書」を提出すると特別徴収と普通徴収に分けられます。つまり、副業の所得にかかる住民税のみを自分で納付できるのです。(出典:鉾田市「■複数の事業所から給与を受給されているかたへ■」

このように、自治体によっては普通徴収を選択できる可能性があるので問い合わせてみるとよいでしょう

副業の収入を確定申告しなければどうなるの?

副業の収入を確定申告しなければどうなるの?

副業の収入があるにもかかわらず、確定申告をしなかった場合「無申告加算税」というペナルティを課せられます。「確定申告が必要な認識がなかった」「本業の勤め先にバレたくない」という場合も、無申告は脱税行為に当たるからです。

国税庁によると、原則として、本来納税すべき金額に加え、50万円までなら15%、50万円を超える部分は20%の割合でペナルティが計上されます。ただし、税務署から指摘される前に自主的に申告した場合は5%に軽減してもらえます。気づいた時点でなるべく早く申告しましょう。

「確定申告をしていなければ、税務署にバレることはない」と思っているあなたも危険です。支払い元の企業は、支払い調書を税務署へ提出する義務があります。

支払い調書とは、企業がフリーランスの人に業務を発注して報酬を支払った場合に年間の報酬額や源泉徴収額を記した書類です。納税者には発行されない場合も多いため、知らないうちに税務署に認識されている可能性があります。

副業で収入が発生している人は、金額にかかわらず確定申告をしておくのが安心です

まとめ

まとめ

この記事では、副業で年末調整や確定申告が必要な金額と申告方法について解説しました。副業の所得が20万円以下の場合、所得税のための確定申告は原則不要です。

しかし、注意点として解説したとおり、住民税の申告のためには金額に関わらず確定申告をする必要があります。ペナルティで本来支払う必要がないお金が発生しないよう、忘れずに確定申告をしましょう

副業で収入がある人は。解説した申告方法を参考に、決まった期間に申告手続きをしてください。

関連記事:年末調整が間に合わないときはどうなる?間に合わなかったときの対処法も解説

高柳政道

高柳政道

CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。

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