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「副業禁止の企業は違法なの?」
「会社が副業を禁止するにはどうすればいい?」
「副業を許可する際に気を付けるべきことはある?」
このような悩みを抱えていませんか?
政府と民間企業は働き方改革を推進しているため、副業解禁の流れが加速しています。しかし、副業は社員の長時間労働を助長する恐れがあるだけでなく、会社へ不利益を与える場合もあります。副業が自社へ悪影響をもたらす場合には、会社が就業規則で副業を禁止、またはルールを明確化しなければなりません。
そこで今回は「副業禁止が違法になるかの法的根拠」・「会社が副業を就業規則で禁止できるケース」についてご紹介。副業禁止の就業規則を撤廃する際の注意点も併せて解説するので、この記事を読めば自社での副業の取り扱い方がわかるでしょう。
目次
就業規則で副業禁止にしている企業は違法になるのでしょうか。そもそも副業をすること自体は違法ではありません。副業禁止が違法になるかについて、公務員・会社員・政府それぞれの法的根拠は、以下のとおりです。
副業禁止が違法になるかの法的根拠
それぞれ詳しくみていきましょう。
公務員は法律で基本的に副業が禁止されています。内閣官房内閣人事局は国家公務員の兼業について、以下のように明記しています。
職員が報酬を得て、営利企業の役員等との兼業以外の兼業を行う場合には、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を要する。
国家公務員は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、職務の遂行に全力を挙げて専念しなければなりません。国家公務員法第103条・第104条には、国家公務員の兼業についての服務規律が定められています。
兼業について許可が得られる場合は稀であり、報酬の有無を問わず基本的に副業は禁止されていると認識しておきましょう。
会社員の副業は憲法で認められています。日本国憲法第22条第1項には、以下のように職業選択の自由について明記されています。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
日本国民は憲法によって職業選択の自由が認められています。そのため、会社員が副業を行うことは憲法上、問題ありません。
憲法においては、本業の就業時間外に副業に従事することは個人の自由である点を理解しておきましょう。
政府は副業・兼業を促進しています。平成30年に厚生労働省は、副業・兼業の促進に関するガイドラインを作成しました。
厚生労働省では、「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日 働き方改革実現会議決定) を踏まえ、企業も働く方も安心して副業・兼業に取り組むことができるよう、環境整備を行っています。
引用元:厚生労働省「副業・兼業」
副業・兼業の促進に関するガイドラインのモデル就業規則から、副業を禁止する規定を削除したため副業解禁の流れになっています。モデル就業規則として就業規則のひな形を厚生労働省が提示することで、副業・兼業促進の環境整備をしています。
副業自体は違法ではないため、副業を行うのは個人の自由です。それでは、会社が副業を就業規則で禁止できるのはどのようなケースなのでしょうか。会社が副業を就業規則で禁止できるケースは、以下の4つです。
副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各企業においてそれを制限することが許されるのは、例えば、
① 労務提供上の支障がある場合
② 業務上の秘密が漏洩する場合
③ 競業により自社の利益が害される場合
④ 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
に該当する場合と解されている。
副業は個人の自由とはいえ、本業の会社に迷惑をかけるような副業は認められません。就業規則は会社と会社員との契約であることから、就業規則においては副業を禁止できます。
そのため、禁止されている副業を行えば、会社に対する契約違反行為にあたり、懲戒処分や解雇の対象となります。
それぞれのケースについて詳しくみていきましょう。
1つ目は、本業の業務に支障をきたす場合です。労働契約を締結することで、公務員も民間企業の社員も職務専念義務が生じます。就業中は業務に集中し、私的な行為は慎む必要があります。
しかし、本業中の副業行為や副業による睡眠不足から遅刻・欠勤を繰り返すといった状況は業務に専念しているとはいえません。職務専念義務違反となれば、懲戒処分の対象となる可能性があります。
そのため、本業の業務に支障をきたす原因となる副業を就業規則で禁止する対処は正当化されます。
2つ目は、業務上の情報を漏洩した場合です。業務上の情報とは、秘密情報や機密情報などが該当します。具体的には、事業計画・予算や売上情報・融資情報・合弁計画・プロジェクト仕様書・給与情報・顧客情報・取引先情報などです。
社員の副業を通じて重大な情報が外部に漏れれば、会社への損失は甚大です。社員は就業規則で守秘義務や機密情報保持を定められていることが多く、違反した場合は懲戒処分の対象になる可能性があります。
3つ目は、同業のライバル会社で副業をした場合です。同業のライバル会社で副業を行えば、先に述べた情報漏洩だけでなく、本業の会社の売上にも影響を及ぼします。
会社員は競業避止義務を負っているため、同業のライバル会社への所属や自ら同業会社を設立するといった行為は禁止されています。会社に不利益をもたらす行為は許されず、退職金支給制限・損害賠償請求・副業行為差止め請求の処罰に発展するかもしれません。
4つ目は、副業が要因で会社の信用を損ねた場合です。会社の社会的信用は非常に重要です。社会的信用が損なわれれば、ブランドイメージの低下や資金調達・優秀な人材の確保が困難になるかもしれません。
犯罪行為にあたるような副業はもちろん、水商売なども会社へのイメージに影響を与えます。企業によって、どのような副業が社会的信用や企業イメージを低下させるかは異なります。
解雇などの処分を設けて、会社の信用を低下させることのないよう対処しなければなりません。
令和元年以降、副業・兼業を認める企業は急増しています。令和4年に日本経済団体連合会が副業・兼業に関するアンケート調査を行いました。
自社の社員が社外で副業・兼業することを「認めている」または「認める予定」と回答した企業は70.6%。企業規模5,000人以上では、83.9%にのぼります。(参照元:一般社団法人 日本経済団体連合会「副業・兼業に関するアンケ―ト調査結果」)
それでは、自社において副業禁止の就業規則を撤廃する際、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
副業を許可する際の注意点
副業を許可する際の2つの注意点について、それぞれ詳しくみていきましょう。
副業を許可する際の注意点1つ目は、就業規則で副業についてのルールを明確化することです。厚生労働省が作成したモデル就業規則では、以下のように副業を禁止する内容が削除されました。
平成30年1月、モデル就業規則を改定し、労働者の遵守事項の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という規定を削除し、副業・兼業について規定を新設しました。
引用元:厚生労働省「副業・兼業」
就業規則に副業についてのルールを新設することで、副業解禁に伴うリスクを回避しなければなりません。就業規則で定めるべき項目は、以下のとおりです。
就業規則で定めるべき項目
ルールを明確にすることで企業秩序を保てます。また、社員にとっても、副業の許可範囲を把握できれば、不安なく副業できるはずです。
副業を許可する際の注意点2つ目は、労働時間を本業・副業を通算して管理することです。本業での就業時間外に行う副業は、時間外労働に該当します。
本業での時間外労働と副業の労働時間を通算して、時間外労働の上限規制を遵守するよう労働時間を管理しなければなりません。
労働者が雇用される形で副業・兼業を行う場合、原則として、自社と副業・兼業先の労働時間を通算して管理する必要があります。労働時間の通算は、自社での労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社での労働時間とを通算することで行います。
令和2年4月より、大企業だけでなく中小企業においても、時間外労働の上限規制が適用されました。時間外労働の上限は原則、月45時間・年360時間です。
副業を行っている社員からの申告により、本業・副業の労働時間を通算して管理するようにしましょう。
政府は副業・兼業を促進しており、副業すること自体は違法行為ではありません。しかし、公務員と会社員で副業に関する取り扱いが異なります。
副業によって社員の知識やスキルが向上し、事業拡大の機会が得られるかもしれません。一方で、会社に不利益を及ぼすケースもあるため、就業規則でルールを明確化する必要があります。
さらに、副業を行う社員の労働時間の把握も欠かせません。貴重な人材の労働意欲を削ぐことなく、副業行為が自社へのさらなる利益へとつながるよう対策を講じていきましょう。
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