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個人年収1000万円と世帯年収1000万円の違いとは?パターン別かかる税金の金額や税金対策について解説

2023.08.02
個人年収1000万円と世帯年収1000万円の違いとは?パターン別かかる税金の金額や税金対策について解説

※この記事は商品プロモーションを含むことがあります。

仕事をしている上でひとつの目標になることも多い、年収1000万円ですが、個人で稼ぐのと夫婦合計で年収1000万円を稼ぐのではどのような違いがあるのか気になる方もいるでしょう。

そこで、この記事では個人年収1000万円と世帯年収1000万円の違いについてご紹介します。

かかってくる税金の金額の計算方法や税金対策をする方法まで解説するので、ぜひご覧ください。

個人年収1000万円と世帯年収1000万円の違いとは?

大金

個人年収1000万円と世帯年収1000万円は、稼ぐ金額が同じでもかかる税率が異なります。

日本の所得税の制度は、個人に対して計算をするものであり、世帯に対して計算されるものではありません。

また、所得が増えることによって、かかる税金が多くなる累進課税を採用しています。

そのため、個人年収1000万円の方が世帯年収1000万円よりも多くの税金を支払う必要があります。

収入にかかる税金の計算方法

計算

所得税を計算するためには、課税所得 × 税率 – 税額控除額という計算式が用いられます。

この計算式を活用して、税金を算出する方法を3つに分けてご紹介します。

  • 課税所得を算出する
  • 税率と課税所得をかける
  • 税額控除の金額を差し引く

課税所得を算出する

課税所得を算出するための計算式は、「給与の総支給額(基本給 + 残業代 + 各種手当)- 非課税の手当金額 – 所得控除の金額」です。

非課税の手当には条件を満たした通勤手当や宿直・日直手当、出張の際の旅費や交通費などがあります。

また、所得控除には下記のようなものがあります。

  • 基礎控除(合計所得2,400万円以下なら48万円)
  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 各種保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 寄付金控除
  • 扶養控除
  • 配偶者控除・配偶者特別控除
  • 給与所得控除
  • 障害者控除
  • 寡婦(夫)控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除

(参照元:国税庁

それぞれの控除金額を差し引いて課税所得を算出しましょう。

税率と課税所得をかける

日本の税金は所得金額に応じて税率が変動する、累進課税方式です。

そのため、課税所得が算出できたら、所得金額に対応する税率を確認して、支払うべき税金の金額を出していきます。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

引用:国税庁|No.2260 所得税の税率

表を見るとわかる通り、40,000,000円以上稼ぐと45%の税金がかかるので、おおよそ半分が税金となってしまいます。

税額控除の金額を差し引く

先ほどの表にも記載がありましたが、課税される所得金額に応じて控除額が定められています。

その金額を差し引いて、支払う税額を算出しましょう。

また、配当控除や住宅借入金等特別控除というような税額控除が受けられる制度があります。

もし、こちらの控除を受けることができる方は、この金額も算出して差し引くようにしましょう。

個人年収1000万円の場合の税金

税金

個人年収1000万円の場合の税金を確認していきましょう。家族構成は夫、妻、子供が1人だと仮定します。

社会保険料を所得の10%と仮定して100万円、基礎控除額が48万円、給与所得控除が上限の195万円、配偶者控除が38万円の場合は下記のような計算になります。

課税所得金額:1000万円 – 100万円 – 48万円 – 195万円 – 38万円 = 619万円

所得金額が「3,300,000円 から 6,949,000円まで」に該当するので、税率は20%です。そこから控除額を差し引いて税金を算出します。

所得税:619万円 × 20% – 42万7,500円 = 81万500円

今回の条件で個人年収1000万円を稼いだ場合には、支払う税金は81万500円です。

夫婦でお互いに500万円稼いで、世帯年収1000万円の場合の税金

税金

夫婦で500万円を稼いで世帯年収1000万円の場合で、先ほどと同様に夫、妻、子供が1人の世帯の場合にはどのようになるのかを計算します。

社会保険料は先ほど同様所得の10%として50万円、基礎控除額は48万円、給与所得控除が144万円の場合は下記の通りです。

課税所得金額:500万円 – 50万円 – 48万円 – 144万円 = 258万円

こうして算出された所得金額から、「1,950,000円 から 3,299,000円まで」に該当することがわかるので、税率は10%になります。また、控除額は97,500円なので、これを考慮して税額を算出しましょう。

258万円 × 10% – 97,500円 = 16万500円

世帯年収1000万円の場合は、それぞれが16万500円の所得税となり、合計で32万1000円です。

ここからも分かる通り、個人年収1000万円よりも世帯年収1000万円の方が所得税が安くおさまります。

年収1000万円を超えるデメリット

デメリット

年収が1000万円を超えると所得税が高くなるというデメリットがありましたが、他にも下記のような2つのデメリットがあります。

  • 児童手当の支給額が下がる
  • 無償化等の就学支援が受けられない

児童手当の支給額が下がる

子供がいる家庭では子供の年齢によって、下記の金額の児童手当を受給することができます。

児童の年齢 児童手当の額(一人あたり月額)
3歳未満 一律15,000円
3歳以上

小学校修了前

10,000円

(第3子以降は15,000円)

中学生 一律10,000円

引用:内閣府

しかし、児童手当の受給には下記の表の通り、制限額と上限額が設けられています。

扶養親族等の数 所得制限限度額 所得上限限度額
所得制限限度額

(万円)

収入額の目安

(万円)

所得上限限度額

(万円)

収入額の目安

(万円)

0人

(前年末に児童が生まれていない場合 等)

622 833.3 858 1071
1人

(児童1人の場合 等)

660 875.6 896 1124
2人

(児童1人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等)

698 917.8 934 1162
3人

(児童2人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等)

736 960 972 1200
4人

(児童3人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等)

774 1002 1010 1238
5人

(児童4人 + 年収103万円以下の配偶者の場合 等)

812 1040 1048 1276

引用:内閣府

「所得制限限度額」の方を超えてしまった場合には、「法律の附則に基づく特例給付」の対象となり、児童1人につき5000円に減額されます。

もし、「所得上限限度額」の方を超えてしまうと、特例給付も受け取ることができなくなるので注意が必要です。

無償化等の就学支援が受けられない

高等学校に通う子供がいる場合には、就学支援を受けることができますが、年収が1000万円を超えてしまうと、この制度を利用することができません。

就学支援を受けるためには、世帯で年収約910万円未満になっていないといけないので、共働きの方も注意が必要です。

もし、就学支援を受けたいという場合には、共働きでも収入の調整を上手くするようにしましょう。

税金対策におすすめの5つの方法

五つ

収入が多くなってしまうと、支払う税金が多くなります。

そのため、支払う税金を下げるために税金対策をしようと考える方もいるでしょう。

そこで、税金対策におすすめの5つの方法をご紹介します。

  • iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する
  • ふるさと納税をして、控除を受ける
  • つみたてNISAを利用して非課税の運用益を作る
  • 結婚をしていたり、子供がいる場合は配偶者控除、扶養控除を受ける
  • 生命保険、地震保険に加入している場合は控除を受ける

iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用する

個人型確定拠出年金である、iDeCoは自分で資金を積み立てながら、運用を行って年金を用意するというものです。

iDeCoの利用に必要な掛け金は所得控除を受けることができ、運用して出た収益は非課税となります。

受け取る際には課税されてしまいますが、こちらも控除を受けることができるため、税負担を抑えることができます。

ふるさと納税をして、控除を受ける

ふるさと納税を行うと、納税先からお礼を受け取ることができるものですが、こちらを利用した際にも所得控除が受けられます。

控除金額は所得金額の40%と定められているので、規定の範囲を超えないように注意しましょう。

つみたてNISAを利用して非課税の運用益を作る

将来の資金のために、つみたてNISAを利用するということもあるでしょう。

つみたてNISAで得た利益が非課税となるため、所得税・住民税の負担を抑えながら老後資金対策をしたいという方にはおすすめです。

非課税枠は​​年間40万円までで、非課税期間は最長で20年です。

結婚をしていたり、子供がいる場合は配偶者控除、扶養控除を受ける

配偶者の給与所得が103万円以下(それ以外の所得がある場合は48万円以下)であれば、配偶者控除を受けることができます。

また、子供がいる場合や親に仕送りをしている場合は、扶養控除を受けることができるため、ぜひ確認してみてください。

生命保険、地震保険に加入している場合は控除を受ける

生命保険や地震保険に加入している場合には、保険料の分を所得から控除することができます。

加入している保険の会社から証明書を受け取ることで、控除が受けられるため、忘れないように書類を取得するようにしましょう。

まとめ:個人年収1000万円と世帯年収1000万円では税金が大きく変わるので、うまく節税をしよう

貯金

年収1000万円と世帯年収1000万円ではかかる税額が大きく異なりました。

また、児童手当が受けられなくなったり、就学支援が受けられなくなったりと大きなデメリットもあります。

そのため、今回ご紹介した税金対策方法を駆使して、上手に節税をしていくようにしてみてください。

高柳政道

高柳政道

CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。

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