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「死亡保険金には税金がかかるの?」
「具体的な税額を計算したい」
「税額を抑えるには?」
と悩んでいませんか?
万が一の事態に備えて加入する死亡保険金ですが、場合によっては受け取りの際に税金がかかることがあります。しかし、納税には期限があり、相続発生後は手続きも多いことから時間的な余裕はありません。
そのため、どのくらいの税金がかかるのか、税額を抑える方法について事前に知っておきたいという人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、死亡保険金の受け取りに税金がかかる場合の計算方法など、実際の事例をもとにシミュレーションをしていきます。非課税の枠や受けられる控除も解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
万が一の事態に備えて加入する生命保険には、遺族への生活保障として死亡保険金が支払われることがあります。この死亡保険金は課税対象となり、一定の税金がかかることがあるので注意が必要です。
しかし、死亡保険金を受け取る全てのケースで税金が発生するわけではありません。また、以下のように死亡保険金の契約者や受取人によってかかる税金の種類も異なります。
契約のパターン | (例)保険料の負担者:被保険者:受取人 | 課税される税金 |
---|---|---|
保険料の負担者と被保険者が同じ | 夫:夫:妻 | 相続税 |
保険料の負担者と受取人が同じ | 夫:妻:夫 | 所得税および住民税 |
保険料の負担者・被保険者・受取人が異なる | 夫:妻:子 | 贈与税 |
参照元:国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
死亡保険金を受け取った場合、契約者や受取人によってかかる税金の種類は一律ではありません。税金の種類によって税率が異なるため、同じ額の死亡保険金を受け取っても税額に違いが出てきます。
また、支払い時期も税金の種類によって異なるため、注意しましょう。今回は、保険料の負担者と被保険者が同じパターンにかかる相続税について解説します。
死亡保険金に相続税がかかるのは、保険料の負担者と被保険者が同じケースです。しかし、保険料の負担者と被保険者が同じでも、必ずしも相続税が発生するわけではありません。
税額のシュミレーションを行う前に、相続税の基礎知識を頭に入れておきましょう。死亡保険金を受け取った場合に相続税が発生するかどうかは、以下の項目をふまえて判断されます。
死亡保険金の相続税について
それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。
死亡保険金にかかる税金が相続税の場合、非課税限度額を超えない限り課税されません。ただし、この非課税限度額は相続人の人数によって異なるため、注意しましょう。
死亡保険金にかかる相続税の非課税限度額の計算方法は、以下の通りです。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。
死亡保険金にかかる相続税には非課税枠が設けられており、その範囲であれば税金は発生しません。
しかし、非課税対象となるのは法定相続人が受取人となる場合に限られます。また、相続放棄の場合、計算上法定相続人の数に含まれますが非課税の適用はないため注意してください。
死亡保険金の受け取りに相続税が課税される場合、確定申告が必要です。この確定申告には期限があり、超過すると延滞税などのペナルティーが科せられるので注意しましょう。
相続税の確定申告期限は、以下の通りです。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内に行うことになっています。
例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内と定められています。この期間中に相続財産や相続人の確定をしなければなりません。
時間に余裕があるように感じられますが、死後の手続きは多岐に渡るため早期着手をおすすめします。
相続税は、1人1人が実際に取得した財産に対して計算されるものではありません。全ての遺産額から基礎控除額を差し引き、民法規定の相続分によりあん分した額に税率を乗じて算出します。
実際に受け取った死亡保険金の金額で税額が計算されるわけではないので注意しましょう。また、相続人のうち相続放棄を行っている人がいる場合でも相続税の算出は通常通り計算します。
相続税は状況によって、課税額が異なります。また、相続財産の総額や法定相続人の人数によって税額が変動するため、分かりづらいのが一般的です。
相続税の基礎知識を把握したところで、実際のケースをもとに、相続税額をシミュレーションしてみましょう。今回は以下のケースにおける相続税額を計算していきます。
各ステップに分けて、詳しい計算方法を解説していきましょう。
まずは、非課税となる財産の金額を計算します。死亡保険金は生活保障の意味合いが強いため、一部が非課税の対象です。
ただし、法定相続人の数によって限度額が異なるため注意しましょう。今回の法定相続人は妻と子2人の合計3人なので、死亡保険金の非課税限度額は以下の通りです。
今回のケースの場合、死亡保険金3,000万円のうち1,500万円が非課税対象となります。
続いて、相続税が課税される遺産の合計額の計算を行いましょう。課税対象となるのは、全ての遺産から非課税対象のものや債務・葬式費用などを差し引いたものです。
相続開始前3年以内に行われた贈与は総遺産額に含まれます。ただし令和6年には相続開始前3年から相続開始前7年以内に改正される予定なので注意してください。(参照元:相続会議「2023年度税制改正大綱を解説」)課税価格の合計額は、以下の式で求められます。
課税価格の合計額 = 総遺産額 – 非課税財産 – 債務 – 葬式費用 + 相続開始前3年以内の贈与財産
今回のケースでは、総遺産額は死亡保険金を含め1億3,000万円です。債務や葬式費用はありますが、相続開始前3年以内の贈与財産はありません。
手順①で求めた非課税財産1,500万円と合わせて先程の計算式に当てはめていきましょう。
各数字をそれぞれ当てはめて計算すると、課税価格の合計は1億円です。
相続税額は、課税遺産総額に基づいて計算します。課税価格の合計額が計算できたら、続いて課税遺産総額の計算をしていきましょう。計算式は以下の通りです。
課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)= 課税遺産総額
課税遺産総額は、手順②で算出した課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて求めます。基礎控除額は法定相続人の数によって異なります。相続放棄を行った場合でも人数に含まれる点に注意しましょう。
今回のケースは法定相続人が3人なので、基礎控除額は4,800万円です。手順②で求めた課税価格の合計額を先程の式に当てはめると、以下のようになります。
式に当てはめて計算すると、今回のケースの課税遺産総額は5,200万円です。このステップで課税遺産総額が0またはマイナスになれば相続税は発生しません。確定申告も不要です。
課税遺産総額が算出できたら、法定相続人の相続分相当額を計算していきましょう。このステップは各相続人の仮の税額を計算するために必要な作業であり、実際にどのように遺産を分けたかは考慮しません。民法で定められた法定相続分の割合で計算していきます。
今回のケースでは、以下のように法定相続分は妻が全体の1/2、子1人あたり1/4ずつです。
法定相続人 | 法定相続分 | 相当額 |
---|---|---|
妻 | 2分の1 | 5,200万円 × 1/2 = 2,600万円 |
子(19歳) | 4分の1 | 5,200万円 × 1/4 = 1,300万円 |
子(16歳) | 4分の1 | 5,200万円 × 1/4 = 1,300万円 |
手順③で求めた課税遺産総額を法定相続通りに相続したと仮定すると、相続分相当額は妻2,600万円、子1,300万円ずつです。
続いて、法定相続人ごとの税額を出して相続税の総額を計算しましょう。相続税にかかる税率は、法定相続分に応ずる取得金額によって変動するため一律ではありません。
また、税率だけでなく控除額も異なるので注意が必要です。法定相続分に応ずる取得金額ごとの税率や控除額は以下の表を参考にしてください。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000万円以下 | 10% | - |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
今回のケースでは、妻と子どもの法定相続分に応ずる取得金額が異なるため、それぞれ算出していきましょう。先程の表に当てはめると妻も子も相続税率が15%、控除額は50万円です。
法定相続人 | 法定相続分相当額 | 相続税率 | 控除額 | 相続税額 |
---|---|---|---|---|
妻 | 2,600万円 | 15% | 50万円 | 2,600万円 × 15% – 50万円 = 340万円 |
子(19歳) | 1,300万円 | 15% | 50万円 | 1,300万円 × 15% – 50万円 = 145万円 |
子(16歳) | 1,300万円 | 15% | 50万円 | 1,300万円 × 15% – 50万円 = 145万円 |
合計 | 5,200万円 | ー | ー | 630万円 |
それぞれの相続税額を計算すると、妻は340万円、子は145万円ずつです。それを合計すると630万円となり、この金額が全体の税額になります。
法定相続通りに遺産を分割する場合は、手順⑤で求めたそれぞれの税額が納付すべき相続税の金額となります。しかし、実際は法定通りに遺産を分割するケースばかりではありません。特に現金化が難しい不動産を取得する場合など、法定相続分とは異なる遺産分割も珍しくはないでしょう。
今回のケースも法定相続通りに遺産分割を行なっていないため、割合に応じた税額の算出が必要です。
法定相続人 | 実際の相続額 | 課税価格の合計額に占める実際の相続額の割合 | 相続税額 |
---|---|---|---|
妻 | 6,000万円 | 6,000万円 ÷ 1億円 = 60% |
630万円 × 60% = 378万円 |
子(19歳) | 2,000万円 | 2,000万円 ÷ 1億円 = 20% |
630万円 × 20% = 126万円 |
子(16歳) | 2,000万円 | 2,000万円 ÷ 1億円 = 20% |
630万円 × 20% = 126万円 |
合計 | 1億円 | 100% | 630万円 |
課税価格の合計額に占める実際の相続額の割合をもとに計算した結果、相続税は妻が378万円、子は126万円ずつという結果になります。ただし、相続税には基礎控除とは別に以下の税額控除が用意されており、適用対象であればさらに税額が抑えられます。
税額控除
●配偶者控除
配偶者の法定相続分又は1億6千万円のいずれか大きい金額に対応する税額
●未成年控除
18歳に達するまでの年数×10万円
●障害者控除
85歳に達するまでの年数×10万円(特別障害者:20万円)
今回のケースでは、妻の相続税に対して配偶者控除、16歳の子に未成年控除が適用対象です。控除額を加味すれば、最終的な相続税額は以下のようになります。
シミュレーションの結果、最終的に総遺産額1億円の60%を取得した妻が支払う相続税は0円です。それぞれの子については、同じ金額の遺産を相続したにもかかわらず、年齢によって税額に違いが出る結果に。
また、今回は該当しなかったものの、障害者控除などもあるため、状況に応じた計算が必要です。
死亡保険金の受け取りには、状況に応じて税金が課せられます。契約者や受け取り人によって課せられる税金の種類や税率・受けられる控除が異なるので注意しましょう。相続税が発生する場合、死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に確定申告と納税をしなければなりません。
税率が最大55%と負担の大きい相続税ですが、非課税限度額や配偶者控除などが適用できれば税額を抑えられます。今回の記事を参考にして、何が適用対象かしっかり判断しながらシミュレーションを行なってみてください。
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