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個人年金保険料控除で節税できるのはいくら?計算方法や上限額について解説

2023.07.01
個人年金保険料控除で節税できるのはいくら?計算方法や上限額について解説

※この記事は商品プロモーションを含むことがあります。

「個人年金保険料控除を利用すると税金の軽減がになるの?」「個人年金保険料控除の上限額はいくらなの?」という疑問を持っている方も多いでしょう。

そこで、今回は個人年金保険料控除を利用するとどのような効果を得られるのかということから、控除額の計算方法、上限額はいくらなのかということについて解説します。

ぜひ、最後までご覧ください。

個人年金保険料控除とは?

年金

個人年金保険料控除は、1年間に払い込んだ保険料額に応じて一定額をその年の所得から差し引ける「生命保険料控除」の1種です。一定の条件を満たした個人年金保険料を支払った場合に適用できます。

所得から控除を受けることで、住民税や所得税を抑えることができるため、税金の負担を軽くしたい方におすすめです。

控除された金額によっては年末調整や確定申告の際に、還付金を受け取ることが可能です。

個人年金保険料控除額の上限

年金

個人年金保険料控除額の上限額は現在4万円です。

ただし、平成23年12月31日以前に契約をしている個人年金保険がある場合には、上限額が5万円となっています。

また、生命保険料控除には個人年金保険料以外に生命保険料控除と介護医療保険控除があり、合計して最大12万円の控除が受けられます。

個人年金保険料控除額の計算方法

計算

平成24年1月1日以降に契約をした個人年金保険控除額の計算方法は下記の通りです。

年間の支払保険料等 控除額
20,000円以下 支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

引用:国税庁

個人年金保険料の控除額は20,000円を超えているが40,000円以下の場合と、40,000円を超えているが80,000円以下の場合には計算が必要です。

20,000円以下の場合には支払った保険料の全額が控除対象に、80,000円を超えている場合には一律で上限額の40,000円が控除対象になります。

また、平成23年12月31日以前に契約している個人年金保険の控除額の計算方法は下記の通りです。

年間の支払保険料等 控除額
25,000円以下 支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円

引用:国税庁

個人年金保険を利用する際の5つの注意点

5

個人年金保険を利用する際には下記の5つに注意をすることが大切です。

  • 控除を利用するためには税制適格特約が必須
  • 税制適格特約を利用すると変更できる契約内容が制限される
  • 個人年金を途中解約すると元本割れする
  • 年金開始日まではお金を受け取れない
  • iDeCoを利用する方が税金負担の軽減効果に期待ができる

控除を利用するためには税制適格特約が必須

個人年金保険料控除を利用するためには、加入している個人年金保険に「個人年金保険料税制適格特約」をつけることが必須です。

この特約をつけることによって、個人年金保険料控除の対象になりますが、もしつけていないと一般生命保険料控除の対象になります。

一般生命保険料控除は、死亡保険や学資保険など様々な保険が対象となっているため、控除額が上限に達していることも多く、控除が利用できない恐れがあります。

そのため、個人年金保険を契約する際には税制適格特約をつけるようにしましょう。

税制適格特約を利用すると変更できる契約内容が制限される

個人年金保険料控除を利用するために、個人年金保険料税制適格特約をつけた場合には、変更できる契約内容に制限ができます。個人年金保険料控除の条件から外れるような契約条件の変更ができない点に注意が必要です。

例えば、下記4つが税制適格特約に必須の条件ですが、この範囲を超える契約の変更はできません。

  • 年金受取人が契約者か、またはその配偶者であること
  • 年金受取人が被保険者と同一人であること
  • 保険料の払込期間が10年以上であること
  • 確定年金・有期年金の場合、年金受取開始が60歳以降であること、かつ受取期間が10年以上であること

また、個人年金保険料税制適格特約のみを解約するということもできません。

このあたりは必ず保険の募集人の方にも確認するようにしましょう。

個人年金を途中解約すると元本割れのおそれがある

契約期間中に解約をしたいとなった場合に、個人年金保険料税制適格特約のみを解約することができないため、全ての契約を終了させる必要があります。

その際に、解約金を受け取れる場合がありますが、受け取れる金額が支払っていた元本よりも少なくなることが多いです。

もし、少しでも損をしたくないという方は、契約をする前に自分は解約をしたくならないかなどをよく考えてから契約しましょう。

年金開始日まではお金を受け取れない

個人年金を契約している場合、年金開始日までは基本的にお金を受け取ることができません。

そのため、子供が生まれたからお金を受け取りたい、病気の治療でお金が必要などという場合に困ってしまうということもあるでしょう。

死亡した場合のみお金を受け取ることができますが、基本的には支払ったお金は受け取れないものだと考えておいてください。

iDeCoを利用する方が税金負担の軽減効果に期待ができる

個人型確定拠出年金制度であるiDeCoが近年では注目されていますが、iDeCoを利用する方が税金の負担を減らす効果が高まります。

まず、iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となっており、資産を運用している最中に得た利益も非課税対象です。

もし、最低金額の5,000円を支払っていても、年間で換算すると60,000円となり、個人年金保険料控除の最大額である40,000円よりも大きくなります。

また、年金として受け取る際にも控除の適用対象となるため、税金の負担を減らしたいという方にはとてもおすすめです。

関連記事:所得税はいくらかかる?算出方法、引かれた後のおよその手取り額を解説!

関連記事:所得税の計算方法とは? 源泉徴収税の意味や正しい税額受けられる控除の申告方法を解説

まとめ:個人年金保険料控除を受けるためには税制適格特約が必要なので注意!

注意

個人年金保険料控除は税金の負担を軽減するために有効な手段ですが、税制適格特約の契約をする必要があるため、少し手間がかかるものでした。

また、契約の変更に制限がついてしまったり、個人型確定拠出年金を利用した方が控除額が大きかったりと注意点も複数ありました。

個人年金をこれから契約したいと考えている方は、どのような保険があり、どのような控除を受けられるのかをしっかり調べてから契約してみてください。

高柳政道

高柳政道

CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。

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