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「障害者控除の適用条件は?」
「控除額はいくらなの?」
このような悩みを抱えていませんか?
税金の控除は種類が多く、適用条件に当てはまるか分からないことも多いでしょう。税金の種類によっても控除額の計算方法が異なるため、とても複雑です。正しく知っておかなければ受けられる控除が漏れてしまうかもしれません。
この記事では、障害者控除の概要や控除額・申告方法について詳しく解説します。この記事を読めばあなたが障害者控除が受けられるかどうかわかり、申告もスムーズにできるようになるでしょう。
目次
障害者控除とは、申告をする本人や同居している配偶者・扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合に受けられる所得控除です。所得控除とは、税金がかかる金額を計算する際に、一定の金額を差し引くことができる制度です。(参照元:国税庁)
所得控除を受けることで、所得税や住民税などの税金の負担が軽くなります。障害者控除は以下の3つに該当する場合に適用を受けられます。
障害者控除が受けられる人
特に障害の度合いが重いと判断される場合、特別障害者として認められ、通常の障害者よりも大きな控除が受けられます。区分によって対象となる要件や受けられる控除額が異なるので、まずはそれぞれの要件について詳しくみていきましょう。
障害者に該当する人は、以下のような心身に障害がある人のことを指します。
出典:国税庁「障害者と税」
障害者手帳が手元にない場合でも上記の(5)のように、市町村長・特別区の区長や福祉事務所長の認定を受けている人は対象になります。障害者手帳を申請中の場合も、医師の診断書によって代用可能です。
障害者の中でも重度の障害が認められる場合には、次に解説する特別障害者に該当します。
特別障害者に該当する人は、障害者のうち以下のような重度の障害がある人を指します。
障害者のうち、次の特に重度の障害のある方
・身体障害者手帳に身体上の障害の程度が一級又は二級と記載されている方
・精神障害者保健福祉手帳に障害等級が一級と記載されている方
・重度の知的障害者と判定された方
・いつも病床にいて、複雑な介護を受けなければならない方 など引用:国税庁「◆特別障害者」
上記以外にも「原子爆弾被爆者で厚生労働大臣の認定を受けている方」なども該当します。詳しくは国税庁のホームページに記載されているので、確認してください。
同居特別障害者に該当するのは、以下のような人です。
同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族で、納税者自身、配偶者、その納税者と生計を一にする親族のいずれかとの同居を常況としている人です。
同居特別障害者は、同一生計の特別障害者が申告をする本人か配偶者・申告をする本人と生計を共にする親族と同居していることが条件です。老人ホームなどの施設に入居している場合は対象になりません。
例えば「両親と別居していて母親が障害者に該当。父親の収入が少ないのであなたが両親を扶養している。」としましょう。この場合は、同居特別障害者の対象となります。間違いやすいので、自分で判断しづらい人は管轄の税務署に問い合わせて相談しましょう。
障害者控除を適用した場合、各税金の負担が軽減されます。実際にいくら控除されるのか気になるでしょう。この章では、以下の3つの税金において、区分ごとにいくら控除されるかを解説します。
障害者控除は、扶養控除が適用されない16歳未満の扶養親族がいる場合にも適用されます。各税金について、詳しくみていきましょう。
所得税における障害者控除の控除額は、区分別に以下のとおりです。
区分 | 控除額 |
---|---|
障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者(注) | 75万円 |
障害者1人に対する控除を複数の納税者が受けることはできません。子どもが障害者に当てはまり両親が共働きの場合、両親のうち所得が高い方が申告する方が節税効果が高くなります。
住民税における障害者控除の控除額は、区分別に以下のとおりです。
区分 | 控除額 |
---|---|
障害者 | 26万円 |
特別障害者 | 30万円 |
同居特別障害者 | 53万円 |
住民税の障害者控除額は、所得税の控除額とは異なります。住民税の控除額は国税庁ではなく、自治体のホームページで確認可能です。詳しくは、あなたの住民票がある自治体の公式サイトを確認してください。
住民税において障害者に対する配慮は、所得控除だけではありません。申告をする本人が障害者に該当する場合、住民税の非課税所得額が上がります。
障害者になられた場合で前年中の合計所得金額が135万円以下(注)であれば、翌年度分の個人市民税・県民税が非課税になります。
上記のように、135万円以下の合計所得の場合は非課税になります。合計所得135万円以下は収入にすると以下の金額です。
135万円を超えていても168万円以下であれば、翌年度分の個人市民税・県民税のうち所得割額の2分の1が軽減されます。
また、兵庫県尼崎市では、135万円を超えても168万円以下の場合は1/2が軽減される制度があります。各自治体によって個別に制度を設けている可能性があるので、一度自治体に問い合わせてみるのもおすすめです。
相続税における障害者控除の控除額は、以下のように定められています。
障害者控除の額は、その障害者が満85歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき10万円で計算した額です。この場合、特別障害者の場合は1年につき20万円となります。
つまり、以下のような計算式に相続人の相続開始時の年齢を当てはめることになります。
障害者の場合の控除額 =(85歳 – 相続人の年齢)× 10万円
特別障害者の場合の控除額 =(85歳 – 相続人の年齢)× 20万円
上記で算出した控除額を相続税の金額から差し引いて、最終的な税額を計算します。相続税の障害者控除を受けられるのは、以下の要件をすべて満たす人のみです。
所得税と住民税の障害者控除を受ける場合には、会社員か個人事業主かで方法が異なります。相続税の障害者控除は確定申告によって申告可能です。「未成年者控除額・障害者控除額の計算書」を確定申告の際に提出する必要があります。
要件を満たしていることを証明するため、障害者手帳のコピーなども必要なので、用意しておきましょう。この章では、所得税と住民税の障害者控除の申告方法について詳しく解説します。申告方法は以下の2つです。
障害者控除の申告方法
それぞれ詳しくみていきましょう。
会社員やパート・アルバイトの人は、勤め先の年末調整で申告することにより障害者控除の適用が受けられます。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の「C障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」欄に必要事項を記入して提出しましょう。
障害者のボックスにチェックを入れ、表の該当する場所にチェックを入れます。横軸に「本人」「同一生計配偶者」「扶養親族」。縦軸に「一般の障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」の欄が用意されています。内容記入欄に障害者控除対象者氏名・等級・障害者手帳交付年月日の3つを記入して完了です。
会社員であっても、給与の総額が2,000万円を超えている人は、所得税法上の規定により年末調整の対象外となります。必ず自身で確定申告をして適用しましょう。
個人事業主や、勤め先の年末調整で障害者控除の申告を忘れてしまった人は、確定申告で適用することができます。給与所得者や年金受給者は「確定申告書A」、個人事業主の方は「確定申告書B」の提出が必要です。
どちらも第一表の「勤労学生、障害者控除」の欄に該当する所得税の控除額を記載します。続いて、第二表の「配偶者や親族に関する事項」の欄の障害者または特別障害者に◯をつけ、氏名や個人番号などを記載して完了です。
国税庁によると、確定申告書を正しく記載して提出すれば、住民票がある自治体にも情報が伝わるので、住民税の控除も適用となります。
確定申告は2月16日〜3月15日に実施しますが、還付申告のみの場合はそれ以前から申告可能です。年末調整での申告忘れの場合は、早めに申告するのが良いでしょう。
前年のデータをもとに勤め先で修正されている可能性もあるので、源泉徴収票で障害者控除が適用になっているか確認してから申告してください。
この記事では、障害者控除の概要や控除額・申告方法について詳しく解説しました。障害者控除は、所得税・住民税・相続税の負担が軽くなる所得控除の一つです。
あなた自身が障害者・特別障害者の場合だけでなく、同居する配偶者や扶養親族が該当する場合にも対象になります。
大きな金額が控除される制度なので、該当している場合は、解説した申告方法を参考にして忘れずに申告しましょう。特に本人が障害者の場合、前年の合計所得によっては住民税が非課税になることもあります。
所得税法上の障害者に該当するかどうか確認して、年末調整や確定申告の準備をしてください。
高柳政道
CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。
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