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「万が一のことを考えて、死亡保険に入りたい」
「必要な死亡保障はどれくらい?」
「みんな死亡保障の金額をいくらに設定しているの?」
と悩んでいませんか?
人生いつ何が起こるのか、誰にも分かりません。人生100年時代となった現在でも、若くして亡くなってしまうケースは少なくはないのです。突然、家族を亡くし悲しむ人にとってお金の心配をしなければならないことは大きな精神的負担となることは容易に想像できるもの。せめて死後の負担を軽減したいとの願いを叶えられるのが、死亡保険です。
しかし加入するときに悩むのが、死亡保障をいくらに設定するのかということではないでしょうか。そこで、周囲には聞きづらい死亡保障の金額について、世間の平均額などを調査しました。設定額を決めるポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
お金に関することは、なかなか他人には聞きづらいもの。しかし、生活する上でとても大切なことです。特に死亡保障は、残された遺族の生活を左右しかねません。いつ何があるか分からないからこそ、死亡保障で備えておきたいという人も多いでしょう。
とはいえ、いくらに設定するべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。そこで、みんなが死亡保障をいくらに設定しているか、以下の項目ごとに確認していきましょう。
死亡保障の金額に正解はありませんが、あなたが設定する際の参考にしてください。
一般的な傾向として、年齢によって死亡保障をいくらに設定するのか金額が変動します。その理由は、年齢によって必要な死亡保障が異なるため。生命保険文化センターの調査によれば、年齢別の死亡保険の設定金額は以下のようになっています。
年齢 | 世帯普通死亡保険金額 |
---|---|
全体 | 2,027万円 |
29歳以下 | 1,754万円 |
30〜34歳 | 2,516万円 |
35〜39歳 | 2,525万円 |
40〜44歳 | 2,714万円 |
45〜49歳 | 2,980万円 |
50〜54歳 | 2,296万円 |
55〜59歳 | 2,312万円 |
60〜64歳 | 2,033万円 |
65〜69歳 | 1,478万円 |
70〜74歳 | 1,460万円 |
75〜79歳 | 1,058万円 |
80〜84歳 | 876万円 |
85〜89歳 | 1,104万円 |
90歳以上 | 684万円 |
出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
年齢別の死亡保険の設定金額を見ても分かるとおり、子どもの教育費がかさんでくる40代からの死亡保障が高額となっています。ピークは45歳から49歳までで、設定金額は約3,000万円。その後は緩やかに下がり、年金を受給する65歳以上は死亡保障を高く設定する必要がないと判断している人が多いことが分かります。
必要な死亡保障は、ライフスタイルによっても異なります。子どもがいるのかいないのか、何歳の子どもがいるのかによっても必要な死亡保障が違うためです。せっかく死亡保険に加入するのなら、無理のない範囲で遺族に必要な金額を残してあげたいもの。世帯構成別で死亡保険の金額にどれくらい違いがあるのか、生命保険文化センターの資料をもとに見ていきましょう。
世帯構成 | 世帯主の普通死亡保険金額 | 配偶者の普通死亡保険金額 |
---|---|---|
夫婦のみ(40歳未満) | 1,282万円 | 701万円 |
夫婦のみ(40~59歳) | 1,326万円 | 645万円 |
末子乳児 | 1,945万円 | 944万円 |
末子保育園児・幼稚園児 | 1,961万円 | 885万円 |
末子小・中学生 | 2,093万円 | 904万円 |
末子高校・短大・大学生 | 1,709万円 | 639万円 |
末子就学終了 | 1,112万円 | 621万円 |
高齢夫婦有職(60歳以上) | 873万円 | 619万円 |
高齢夫婦無職(60歳以上) | 577万円 | 384万円 |
出典:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」
表を見ても分かるとおり、夫婦のみで暮らしている人より子どもがいる人のほうが死亡保障の金額を高めに設定しています。これは、万が一亡くなった場合に、子どもの学費や生活費としてお金がかかってしまうため。また、小・中・高・大学生と子どもの年齢が上がるにつれて設定金額が高くなり、就学終了すると設定金額は下がる傾向にあります。
死亡保障の金額をいくらに設定するか検討する場合は、死後遺族に必要な金額を考えておかなければなりません。足りなければ遺族は生活が困窮してしまい、多すぎると生きている間の保険料がかさみます。必要な金額を正確に把握することで、いくらに設定するのか考えやすくなるでしょう。遺族が死後に必要なお金を、以下の3項目に分けて考えていきます。
死後に遺族に必要なお金
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
死後は、一時的にまとまったお金が必要です。たとえば、葬儀費用やお墓の費用などの死亡整理金など。葬儀ではお香典を受け取りますが、葬儀費用全体をまかなうことは難しいのが現実です。また、お墓がない場合にはまとまった費用がかかるため注意しましょう。死亡整理金として必要となる金額は、以下を参考にしてください。
死亡整理金とお香典の平均額
出典:いい葬儀「【第5回お葬式に関する全国調査】(2022年)」
いいお墓「【第13回】お墓の消費者全国実態調査(2022年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向」
葬儀費用で最低でも60万円くらいは用意しなければならないと見ておいたほうが良いでしょう。お墓を用意する場合は、70万円から160万ほどかかることを頭に入れておいてください。また、当日に困らないよう、現金払いで何がいくら必要か事前に葬儀社に確認しましょう。
死亡保障としてもっともしっかりと備えておきたいのは、遺族の生活費です。特に働き盛りの世帯主を突然亡くしてしまった場合、生活が困窮してしまう家庭もあるでしょう。そうならないためにも、死亡保障で備えておく必要があります。
総務省が発表した2021年の家計調査では、1世帯当たりの消費支出の平均は23万5,120円でした。(出典:総務省「家計調査 2021年(令和3年)平均(2022年2月8日公表)」)実際には遺族年金やひとり親の手当(児童扶養手当など)などが受給できることから、生活費の全額を死亡保障で用意する必要はありません。1つの目安として頭に入れておいてください。
生活費と同様に、死亡保障で備えておきたいのが教育費です。親の死によって進路が限定されるケースもあり、子どもの可能性を潰してしまいかねません。しかし、進路によって教育費の総額に大きな差があるため、教育費に必要な金額を見積もるのは困難です。
そこで、それぞれの進路ごとの教育費の総額の相場を紹介します。ぜひ参考にしてください。
進路 | 1年間の教育費 |
---|---|
公立幼稚園 | 22万3,647円 |
私立幼稚園 | 52万7,916円 |
公立小学校 | 32万1,281円 |
私立小学校 | 159万8,691円 |
公立中学校 | 48万8,397円 |
私立中学校 | 140万6,433円 |
公立高等学校(全日制) | 45万7,380円 |
私立高等学校(全日制) | 96万9,911円 |
国公立大学 | 120万3,000円 |
私立大学文系 | 172万4,500円 |
私立大学理系 | 205万4,000円 |
出典:文部科学省「平成30年度子供の学習費調査の結果について」
日本政策金融公庫「~令和3年度~教育費負担の実態調査結果」
このように、進路によってかかる費用にはばらつきがあります。子どもが小さいうちは特に、様々な可能性を加味して死亡保障をいくらに設定するのか考えるようにしましょう。
死亡保障をいくらに設定するのかは、人によって必要な金額も違うだけに難しい問題です。もちろん高いに越したことはありませんが、その分払込保険料も高くなります。家族構成によって必要な金額が変わるため、あなたに合った死亡保障額を用意しましょう。死亡保障額を考えるときのポイントとなる主な世帯構成は、以下の4パターンです。
世帯構成別に必要な死亡保障額
それぞれの家族構成について、詳しく見ていきましょう。
独身の場合は、配偶者や子どもなど扶養する家族がいません。死亡保障で生活費や教育費をカバーする必要がないので、葬儀費用などの死亡整理金のみです。そのため、死亡保障の金額を高額に設定する必要はあまりないでしょう。
ただし、高齢の両親と同居しているケースなどでは、死亡保障として生活費を用意する必要があります。両親の年金や貯蓄を加味した上で、いくら必要となりそうか判断してください。
夫婦2人で暮らしている場合は、死後、配偶者の生活費を死亡保障で確保する必要があります。配偶者の収入に応じて、死亡保障額を設定しましょう。共働き家庭でフルタイム勤務の場合は、独身と同様に死亡保障で生活費をカバーする必要がありません。そのため葬儀費用などのみ、死亡保障で備えるようにしてください。
そして、死亡した配偶者が厚生年金に加入していれば、一定の条件を満たせば遺族厚生年金が受け取れます。専業主婦など収入がない配偶者が亡くなった場合でも、遺族年金が受給できるケースもあります。事前に確認しておくと良いでしょう。
未成年の子どもがいる場合、将来的な教育費に重点をおいて死亡保障の金額を設定しなければなりません。子どもに希望する進路に進んで欲しいと願うのは、親として当然の想いです。教育費全額を貯蓄ですぐに備えることは難しいため、死亡保障で備えましょう。
公立、私立のどちらに進むかによって金額は異なりますが、もっとも負担が大きいとされる高校から大学卒業までをメインに考えます。日本政策金融金庫によれば、高校入学から大学卒業までにかかる教育費の合計は942万円。塾や仕送りなど、その他を加味すれば1,500万円から2,000万円ほどを設定しておくのがおすすめです。
また、18歳未満の子どもがいる場合、一定の条件を満たせば遺族基礎年金が受け取れます。遺族厚生年金と併せて詳細を確認しておきましょう。(参照元:日本年金機構)
子どもがいるご家庭でも、すでに独立している場合は教育費や生活費をカバーするほどの死亡保障は必要ありません。夫婦2人のケース同様、配偶者の収入によって必要な金額を死亡保障で備えましょう。
子どもが18歳を迎えた年度の3月末を過ぎると、遺族基礎年金は受け取れません。ということは、18歳であったとしても3月末を迎えていなければ遺族基礎年金を受け取れるということです。しっかり覚えておきましょう。
また、住宅ローンの返済がまだ残っている場合、死後の取り扱いがどうなるのか確認しておくことも重要です。団体信用保険に加入していれば死後にローンを支払う必要はありませんが、未加入の場合は支払い義務は継続します。残債がいくらなのかを確認した上で、死亡保障の金額を設定するようにしてください。
なお、ペアローンに加入している場合は死亡した方の名義で契約したローンのみが免除になり、生存している方の分の返済は続くことになるので注意が必要です。
死亡保険は、加入してそのままにしてはいけません。ライフスタイルによって必要な保障が変わるため、定期的な見直しが必要です。見直し時期は、以下の4つのタイミング。このタイミングでは扶養する人数が変化するため、死亡保障として必要な金額も変わりやすい時期です。
死亡保障を見直すべきタイミング
結婚や出産・子どもの独立といったタイミングは扶養する家族が増減するため、いくらの死亡保障額が必要なのか見直しましょう。また、住宅購入は大きな金額が動くため、死後に与える影響は絶大なものです。団体信用保険に加入していない場合など、残された遺族の負担とならないように死亡保障で備えておいてください。
死亡保障をいくらに設定するのかについては、正解はありません。家庭によって必要な死亡保障額には違いがあり、一概にいくらと断定することは難しいためです。配偶者や子どもの有無によって、必要な保障額は大きく異なります。
もちろん保障額は高いに越したことはありませんが、保険料が負担になってしまっては意味がありません。ライフステージによって必要な死亡保障額は変わるため、定期的に見直しながら必要な金額を設定しましょう。
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高柳政道
CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。
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