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勤労学生控除とは?受られる条件や扶養控除との関係、手続き方法やメリット・デメリットを徹底解説!

2023.09.12
勤労学生控除とは?受られる条件や扶養控除との関係、手続き方法やメリット・デメリットを徹底解説!

※この記事は商品プロモーションを含むことがあります。

「勤労学生控除があると聞いたけど、適用で税金はどう変わる?」
「これ以上働いたら税負担が重くなる?」
「適用する条件や注意点は?」
と悩んでいませんか?

日本学生支援機構の調査によると、アルバイトをしている昼間部の大学生は80.7%でした(出典:日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査結果」)。今や学生でもアルバイトなどで働いている人がほとんどです。自分で稼いだお金は何に使おうかなとワクワクしている人も多いのではないでしょうか。

しかし、お金を稼ぐということは、納税の義務が発生するということでもあります。学生だからという理由で納税が免除されることはありません。

学生の場合、勤労学生控除を活用することで税負担の軽減ができます。受けるためには手続きが必要なので、適用の要件や申請方法などを把握しておきましょう

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勤労学生控除とは?控除が受けられる要件とは

勤労学生控除とは?控除が受けられる要件とは

働いて収入を得ている人には納税する義務が課せられます。日本では超過累進課税制度を採用しており、所得が増えるほど支払う税金は高くなるのが特徴です。

しかし、収入イコール所得となるわけではありません。たとえ同じ収入でも、家族構成が変われば支出額も大きく異なります。

そこで、一人ひとりの事情に合わせて所得金額を差し引き、税負担を軽減できるよう所得控除が設けられました。

15種類の所得控除の中で、学生の税負担を軽減するために設けられたのが勤労学生控除です。ただし、勤労学生控除を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

勤労学生控除の要件

  1. 合計所得金額が75万円以下、かつ勤労以外の所得が10万円以下である
  2. 特定の学校に通う学生または生徒である

それぞれの要件について、詳しく見ていきましょう。

①合計所得金額が75万円以下、かつ勤労以外の所得が10万円以下である

勤労学生控除の適用には、所得制限があります。一定以上の所得がある場合は、残念ながら学生であっても控除が受けられません。所得についての要件は、以下の通りです。

(1)給与所得などの勤労による所得があること
(2)合計所得金額が75万円以下(令和元年分以前は65万円以下)で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること

例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となります(令和元年分以前は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が65万円以下となります。)。

引用:国税庁「No.1175 勤労学生控除」

このように、勤労学生控除を受けるためには、75万円以下という所得制限があります。給与収入からは給与所得控除を差し引けることから、給与収入であれば130万円以下が対象です。

また、株の配当金や不動産投資による家賃収入は給与所得の対象外です。これらの勤労に基づく所得以外の所得が10万円を超える場合も、勤労学生控除の適用対象とはなりません。

②特定の学校に通う学生または生徒である

勤労学生控除を受けるためには、学生である必要があります。ただし、学生であれば誰でも適用対象となるわけではありません。以下のような特定の学校に通っていることが条件です。

イ 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など

ロ 国、地方公共団体、私立学校法の第3条に規定する学校法人、同法第64条第4項に規定する法人、これらに準ずる一定の者(注1)により設置された専修学校または各種学校のうち一定の課程(注2)を履修させるもの

ハ 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程(注2)を履修させるもの

引用:国税庁「No.1175 勤労学生控除」

国税庁のホームページを見てもわかる通り、勤労学生控除は幅広い学生が対象です。ただし、特定の学校という条件に当てはまらない専門学校等も存在するので、注意しなければなりません。不安な場合は、学校へ問い合わせしてみるようにしてください。

勤労学生控除を申告した場合のメリット2つ

勤労学生控除を申告した場合のメリット2つ

勤労学生控除を受けるためには、手続きが必要です。要件を満たす必要もあり、学生だからという理由で自動的に適用されるわけではありません。

しかし、手続きの手間はあるものの、それでも申告すべきメリットがあります。まずは、勤労学生控除にどんなメリットがあるのか把握しておきましょう。

勤労学生控除を受けるメリット

  1. 所得税の非課税枠が給与収入130万円まで上がる
  2. 住民税の負担も軽減される

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきます。

①所得税の非課税枠が給与収入130万円まで上がる

勤労学生控除を受ける最大のメリットは、非課税枠が上がることです。納税は日本国民の義務であり、学生だからという理由で免除されることはありません。しかし、一定の収入までであれば、課税されない非課税枠が存在します。

所得税の非課税枠は、通常であれば合計所得金額48万円以下ですが、勤労学生控除を適用すると75万円以下まで引き上げられます。給与収入であれば、勤労学生控除の適用で130万円以下まで非課税です。手取りの収入が増えるというのは大きいメリットでしょう。

②住民税の負担も軽減される

勤労学生控除のメリットは非課税枠が上がることですが、これは所得税に限った話ではありません。適用されれば、所得税同様に住民税の負担も軽減されます。ただし、住民税の場合は所得税とは非課税枠・控除額が異なるため、注意しましょう。

住民税の場合、勤労学生控除額は26万円となっており、年収126万円までが非課税です。近年は住民税非課税世帯への援助が手厚く、さまざまな恩恵が受けられることも考えられます。

勤労学生控除を申告した場合のデメリット2つ

勤労学生控除を申告した場合のデメリット2つ

所得税や住民税などの税負担が軽減され、手取りの収入が増える勤労学生控除。支払うべき税金が少なくなるので大きなメリットがありますが、デメリットがないわけではありません

このデメリットを知らずに手続きを行なってしまうと、思わぬ事態になってしまうこともあるので注意しましょう。以下のデメリットを確認した上で、申請するかどうか判断することが重要です。

勤労学生控除を受けるデメリット

  1. 親が扶養控除を受けられなくなり納税額が増える可能性がある
  2. 複数の勤務先がある場合は確定申告しなければならない

それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

①親が扶養控除を受けられなくなり納税額が増える可能性がある

一般的に年収103万円を超えると所得税が発生しますが、勤労学生控除の適用で130万円までは非課税対象です。しかし、親に扶養されている場合は注意しなければなりません。なぜなら、扶養している子どもの収入が103万円を超えると、扶養控除が受けられなくなるためです

16歳以上の子供を扶養している場合、扶養している親は38万円から63万円の扶養控除が受けられます。扶養控除の適用がなくなることで親の課税所得が増え、所得税が増額となる可能性があるので注意しましょう。扶養に入っている場合は、勤労学生控除を申請する前に親に相談してみてください。

②複数の勤務先がある場合は確定申告しなければならない

税負担が軽減される勤労学生控除ですが、手続きしなければ受けられない点もデメリットの1つです。特に、アルバイト先が2社以上ある場合は、自分自身で確定申告を行わなければなりません。マイナンバーカードの普及により自宅で確定申告が行えるようになってはきたものの、必要書類を揃えたりといった手間がかかります。

さらに、手続きの期間が決まっており、期間内に申告しなければ勤労学生控除が受けられない可能性も。期間中は税務署も混雑するため、分からないことなど気軽に質問することも困難になります。手続きが必要だとわかっているのであれば早めに相談しておくのもおすすめです。

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勤労学生控除の手続き方法とは?

勤労学生控除の手続き方法とは?

何度かご説明していますが、勤労学生控除の適用には手続きが必要です。デメリットの1つとしていわれていることもあり、手続き方法について不安を感じている人も多いでしょう。特に学生は様々な手続きを親に任せてきた人も多く、手続きには不慣れです。

しかし、手続き方法が分からないからという理由で適用を諦めるのは得策ではありません。具体的な手続き方法は、以下の2通りです。複雑な手続きではないので、ぜひチャレンジしてみましょう。

勤労学生控除の手続き方法

  1. 年末調整
  2. 確定申告

それぞれの手続き方法について、詳しく見ていきます。

①年末調整で勤労学生控除を申告する

勤労学生控除の手続き方法で簡単なのは、年末調整での申請です。アルバイトやパートでも年末調整の対象となるため、勤務先に「給与所得者の扶養控除等異動申告書」という書類を提出しましょう

書類は勤務先で入手可能です。ただし、勤務先によって、提出期日や申請方法・必要書類が異なるケースがあります。事前に確認しておくようにしてください。

また、勤務先が複数あるケースでは、年末調整での勤労学生控除はできません。アルバイトを掛け持ちしている場合などは、年末調整での手続きではなく確定申告が必要です。

②確定申告で勤労学生控除を申告する

勤務先に年末調整してもらえない、勤務先が複数ある、年末調整で申告し忘れたなどの場合は、自分で確定申告を行いましょう。方法は窓口や郵送での申請のほか、e-Taxでも手続き可能です。

ただし、確定申告が行えるのは決まった期間内のみ。例年2月16日から3月15日までですが、期間中は税務署が混雑します。必要な書類等は早めに揃え、余裕を持って取り組んでください。

勤労学生控除の申告が漏れていても過去5年分は申告できる

勤労学生控除の申告が漏れていても過去5年分は申告できる

勤労学生控除の適用には、手続きが必要です。しかし、申請する期間が決まっていることもあり気が付いたら過ぎてしまっていたということもあるでしょう。万が一、申告が漏れてしまったとしても還付申告・修正申告により申請が可能です

やり方は確定申告同様に、税務署へ修正申告に必要な書類を提出するだけ。書類の提出から2、3ヶ月ほどで、支払いすぎた税金が還付金として支払われます。

還付申告・修正申告で勤労学生控除の適用ができるのは5年前の分までです。申告を忘れてしまっていると諦めず、過去5年分で該当する年がないかしっかり確認しておきましょう。

まとめ

まとめ

勤労学生控除とは、働く学生の支払う税負担を軽減するための所得控除です。この控除を受けることで、所得税は130万円・住民税は126万円までの年間収入であれば税金が課税されません。税負担なく手取り額を増やせるため、生活費として利用できる金額も上がり、やりくりしやすくなるでしょう。

しかし、扶養されている場合は親の税金が高くなるなど、デメリットもあるので注意してください。また、勤労学生控除の適用には手続きが必要です。年末調整や確定申告で手続きができますが、期日があるため早めに取り掛かるようにしましょう

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高柳政道

高柳政道

CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。

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