育休中の住民税が高すぎる?原因と7つの対処法

【産休・育休中は税金がかかる?】出産前に知っておくべき税金・社会保険料・手当てに関する知識を解説!

監修者

監修者
田中壮

TFPグループ 代表取締役 田中 壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

育休に入った途端、住民税の納付書を見て「収入がほとんどないのに、なぜこんなに高いの」と不安になる方は多いです。家計が一気に変わる時期なので、負担が重く感じやすい場面かもしれません。

この記事では、育休中でも住民税が発生する理由や、産休との違いをやさしく整理します。さらに、今すぐできる7つの対処法や、会社員か自営業かといった立場ごとの優先行動もまとめました。読み終える頃には、自分のケースで何を確認し、どの窓口に相談すればよいかが見通せるはずです。

目次

育休中でも住民税が発生する仕組み

まずは、なぜ育休中でも住民税を払う必要があるのか、仕組みから確認していきます。ここを押さえておくと、「高すぎる」と感じる理由や、翌年の税額がどう変わるかを理解しやすくなります。

住民税は、今年の収入ではなく、原則として前年の所得をもとに計算されます。そのため、産休や育休に入る前にしっかり働いていた人ほど、翌年の住民税が多くなる傾向があります。制度の基本を知ったうえで、年末調整や確定申告との関係、給付金の課税扱いなどを順番に見ていきましょう。

住民税は前年の所得で決まる

住民税は、市区町村や都道府県に納める税金で、前年の所得をもとに翌年分の税額が決まります。今年の収入ではない点が、まず大きなポイントです。このため、育休に入って収入が減っても、前年によく働いていた人ほど「育休中の住民税が高すぎる」と感じやすくなります。

例えば、去年はフルタイムで年収があった人が、今年から無給に近い育休に入るケースを考えます。前年の給与所得が高ければ、翌年の住民税はその金額をもとに計算されます。育休中で手取りが減っているのに、前年の収入に応じた税額を払う必要があるため、家計への負担が重く感じられるわけです。

さらに、住民税は原則として毎年6月から翌年5月までの1年分を納付します。前年の1月から12月までの所得を市区町村が集計し、翌年6月ごろに「今年の住民税はこの金額です」と決定する流れです。そのため、産休や育休に入る時期によっても、どの年の所得が影響するかが変わります。

こうした仕組みを知っておくと、「なぜ今この金額なのか」を冷静に整理しやすくなります。納付が難しい場合の減免や猶予の相談も、前提となる考え方を理解していると話がスムーズに進みやすいでしょう。

年末調整・確定申告が税額に与える影響

住民税の金額は、会社の年末調整や、自分で行う確定申告の内容によっても変わります。どちらも所得税の手続きですが、その結果が市区町村に送られ、住民税の計算にも使われる仕組みです。ここで控除の申告が漏れていると、住民税が本来より高くなってしまう可能性があります。

会社員の場合、多くは年末調整で生命保険料控除や配偶者控除などを申告します。ところが、産休や育休に入るタイミングによっては、会社に書類を出しそびれたり、途中から配偶者の所得が変わったりすることがあります。こうした変化を会社に伝えられていないと、正しい控除が反映されにくくなります。

また、副業収入や医療費が多かった年は、確定申告が必要になるケースもあります。確定申告をしないままだと、所得が多いまま扱われたり、医療費控除などが反映されなかったりして、結果的に住民税が高めに決まることも考えられます。育休前後は出産費用などで医療費が増えやすいので、控除の対象になるかどうかを確認しておくとよいでしょう。

もし「こんなに住民税が高いはずはない」と感じた場合は、源泉徴収票や年末調整の控えを見直すことも一つの方法です。必要に応じて、税務署や市区町村の窓口で、過去の申告内容を確認してもらうと、見落としがないか把握しやすくなります。

育児休業給付金・出産手当金の課税扱いと税負担への影響

育休中の主な収入として、育児休業給付金や出産手当金があります。これらが住民税や所得税の対象になるかどうかは、税負担を考えるうえでとても大切なポイントです。名前が似ていても、税金の扱いが異なるため、混同しないように整理しておきましょう。

育児休業給付金は、雇用保険から支給されるお金で、原則として所得税や住民税の課税対象にはなりません。つまり、この給付金が理由で住民税が増えることは基本的にないと考えられます。一方で、課税されない分、年収としてはカウントされず、配偶者控除などの判定にも影響する場合があります。

出産手当金は、健康保険から支給されるもので、こちらも通常は所得税や住民税の対象外です。会社からの給与とは別枠で支払われるため、源泉徴収票の給与所得には含まれません。税金がかからないのは助かる点ですが、その分、住民税の計算に直接影響する収入にはならないと理解しておくと安心です。

一方で、産休に入る前の給与や、ボーナスなどは課税対象となり、翌年の住民税に反映されます。育休直前に残業が増えた、ボーナスが多かったといった事情があると、その年の所得が上がり、翌年の住民税が高くなる要因になり得ます。給付金は非課税でも、産休前の給与が税額に影響する点を押さえておくと、「なぜこの金額なのか」を理解しやすくなるでしょう。

産休中・育休中の収入変化・副業が翌年の住民税に与える影響

産休や育休に入ると、会社からの給料が減ったりゼロになったりします。ただし、住民税は前年の収入で決まるため、収入が減ったタイミングと、税金が下がるタイミングにはずれが生じます。このギャップが大きいほど、「育休中の住民税が高すぎる」と感じやすくなります。

例えば、去年の途中までフルタイムで働き、その後に産休・育休に入ったケースでは、前年の年間所得にはフルタイム時期の給料がしっかり含まれます。その結果、翌年の住民税は一定の水準を保ったままになります。一方で、今年の手取りは育児休業給付金が中心で、会社からの給与はほとんどない状態です。

さらに、在宅でできる副業や、フリーランスの仕事を少しだけ続ける人もいます。こうした収入は、原則として課税対象となり、翌年の住民税にも影響します。副業の所得が増えると、住民税の税額も増える可能性がありますが、その分だけ家計の支えにはなります。どの程度の収入なら無理なく続けられるか、税金も含めて考えることが大切です。

収入が大きく変わる時期は、翌年以降の住民税がどう変化するかを、簡単にシミュレーションしておくと安心です。市区町村のホームページにある試算ツールや、無料の家計相談などを活用すると、自分の状況に近いイメージをつかみやすくなります。

納付スケジュールと納付書の届き方

次に、住民税の納付スケジュールと、納付書の届き方を整理します。同じ住民税でも、会社が天引きする場合と、自宅に納付書が届く場合では、支払い方や負担の感じ方がかなり変わります。

育休中は、給与からの天引きができなくなることが多く、その結果として「普通徴収」に切り替わるケースがあります。納付方法が変わると、支払うタイミングや一度に払う金額も違ってきます。ここでは、特別徴収と普通徴収の違いや、納付書が届かないときの確認先を見ていきましょう。

特別徴収(給与天引き)と会社の立て替え・対応パターン

会社員の場合、住民税は通常「特別徴収」という方法で、毎月の給料から天引きされます。会社が従業員に代わって市区町村へ納付する仕組みで、本人は明細を確認するだけで済むのが一般的です。ところが、育休で給与が出なくなると、この方法が続けられないことがあります。

育休に入ると、会社によっては住民税の扱いを変更します。代表的なパターンとしては、育休開始前の最後の給与で、残りの住民税を一括徴収する方法があります。この場合、最後の給料から住民税が多めに引かれるため、手取りが予想より少なくなることがあります。事前に説明を受けていないと、驚く人も少なくありません。

別のパターンとして、会社が一時的に住民税を立て替え、復職後の給与から分割して天引きするケースもあります。この方法だと、育休中の現金の持ち出しは抑えられますが、復帰後しばらくは手取りが減ることになります。どちらがよいかは、家計の状況や育休期間の長さによって変わるため、一般論では決めにくい部分です。

もう一つは、特別徴収から「普通徴収」に切り替え、市区町村から本人あてに納付書を送ってもらう方法です。会社の給与計算担当や人事に相談すると、自分の勤務先がどの対応を取っているか教えてもらえます。育休に入る前に、住民税の扱いを確認し、希望が出せるかどうかを聞いておくと、急な出費に戸惑いにくくなるでしょう。

普通徴収で自宅に納付書が届く場合の手続きと支払い期限

育休中に給与が出ない場合、住民税の納付方法が「普通徴収」に切り替わることがあります。普通徴収とは、市区町村から自宅に納付書が届き、自分で金融機関やコンビニ、口座振替などを使って納付する方法です。会社を通さずに、自分で支払いを管理するイメージになります。

普通徴収の住民税は、多くの自治体で年4回に分けて納付する形が一般的です。納付の時期は、概ね6月、8月、10月、翌年1月ごろが目安とされています。ただし、自治体によって多少の違いがあります。納付書にはそれぞれの期別の期限が記載されているため、まずは日付を確認しておくと安心です。

納付書が届いたら、支払い方法を選びます。コンビニ払いのほか、インターネットバンキングやクレジットカード払い、スマホ決済アプリに対応している自治体も増えています。育児で外出が難しい時期は、オンラインでの納付ができると負担を減らしやすいでしょう。口座振替を事前に申し込んでおくと、支払い忘れの防止にもつながります。

もし期日までに納付できないと、延滞金が発生する可能性があります。家計が厳しく、どうしても支払いが難しい場合は、納付期限前に市区町村の窓口へ相談することが大切です。事情によっては、分割回数の相談や、減免・猶予制度の案内を受けられることもありますので、一人で抱え込まずに早めに連絡してみるとよいでしょう。

納付書が届かない・遅いときの確認先

「育休に入って住民税の普通徴収に切り替わると聞いていたのに、納付書が届かない」という不安の声もよくあります。納付書が遅れる理由はいくつか考えられますが、放置したままにしておくと、後からまとめて請求されることもあり得ます。気になった時点で、早めに確認することが大切です。

まず確認したいのは、会社がどのような手続きをしたかです。人事や給与担当に連絡し、「住民税は特別徴収のままか、普通徴収に切り替えたのか」「いつごろ市区町村へ連絡したのか」を聞いてみると状況が整理しやすくなります。会社側の手続きのタイミングによって、納付書の発送時期が前後することがあります。

会社の対応が分かったら、次は住民票のある市区町村の税務担当窓口に問い合わせます。その際には、氏名や住所、生年月日、勤務先などを伝えるとスムーズです。納付書の発送状況や、特別徴収から普通徴収への切り替えが完了しているかどうかを確認してもらえます。

もし、住所変更をしている場合は、旧住所の自治体に納付書が送られている可能性もあります。転居のタイミングと住民税の決定時期が重なると、書類が行き違うことも考えられます。心当たりがある場合は、前に住んでいた市区町村にも連絡してみるとよいでしょう。分からない点をそのままにせず、窓口に相談することで、滞納や延滞金のリスクを減らしやすくなります。

高すぎると感じる理由

ここからは、「育休中の住民税が高すぎる」と感じる具体的な理由を整理します。同じ金額でも、仕組みを知らないと必要以上に不安になりやすいものです。税金の内訳や、控除の違いでどのくらい変わるのかを知ることで、自分にとって適正かどうかを判断しやすくなります。

住民税は、所得に応じてかかる部分と、一律でかかる部分で構成されています。また、年末調整や確定申告での控除の差が、税額に大きく影響することもあります。シミュレーションの例も交えながら、順番に見ていきましょう。

住民税の構成(所得割・均等割)と一般的な税率の目安

住民税が「高すぎる」と感じるときは、まず税金の内訳を知ることが役に立ちます。住民税は、大きく分けて「所得割」と「均等割」という二つの部分からできています。名前は少し難しく聞こえますが、考え方はそれほど複雑ではありません。

所得割は、前年の所得に応じて決まる部分です。会社員であれば、給与所得から各種の所得控除を差し引いた「課税所得」に対して、一定の税率をかけて計算します。多くの自治体では、所得割の税率は市区町村分と都道府県分を合わせて、おおむね一律の水準になっています。所得が高いほど、この部分の住民税も増えるイメージです。

一方、均等割は、所得の多い少ないにかかわらず、原則として一人あたり同じ金額がかかる部分です。自治体によって金額は異なりますが、数千円から一万円台前後であることが一般的です。所得が少なくても、この均等割は原則として発生するため、収入が減った年ほど負担を重く感じることがあります。

ただし、所得が一定額以下の場合など、住民税が非課税になる条件を設けている自治体もあります。家族構成や年収、障害の有無などによって扱いが変わることが多いため、自分が住む市区町村のホームページで、非課税や減免の条件を確認しておくと安心です。

控除の差で税額が大きく変わる例

同じ年収でも、住民税の金額が人によってかなり違うことがあります。その大きな理由の一つが「所得控除」の差です。所得控除とは、家族構成や保険料の支払い状況などに応じて、課税の対象となる所得を少なくできる仕組みです。控除が多いほど、住民税も少なくなります。

例えば、同じ給与所得でも、配偶者控除や扶養控除がある人とない人では、課税所得が変わります。子どもが生まれて扶養に入った場合や、配偶者の年収が条件を満たしている場合には、控除が増える可能性があります。これらを年末調整で申告していないと、本来より高い住民税が計算されてしまうことも考えられます。

また、生命保険料控除や地震保険料控除、社会保険料控除なども、見落としやすいポイントです。年の途中で保険に加入した場合や、育休に入ってから自分で国民年金や国民健康保険料を払うようになった場合など、控除の対象となる支払いが増えるケースもあります。これらを正しく申告すると、結果的に住民税が軽くなることがあります。

  • 配偶者控除や扶養控除を申告しているか
  • 生命保険料控除や地震保険料控除を出し忘れていないか
  • 自分で払った社会保険料がきちんと反映されているか

こうした点を見直すことで、「思ったより高い」と感じる住民税の理由が見えてくる場合があります。必要に応じて、過去分を含めて税務署や市区町村に相談すると、修正の可否を教えてもらえるでしょう。

シミュレーションと計算事例

住民税の仕組みは分かっても、「自分の場合はいくらくらいになるのか」が分からないと、不安はなかなか解消しにくいものです。ここでは、あくまでイメージがつかみやすくなるような、簡単な計算事例を紹介します。実際の金額は自治体や控除内容によって変わるため、目安としてとらえてください。

例えば、前年の給与収入が約400万円の会社員で、配偶者控除や扶養控除がないケースを考えます。源泉徴収票に記載された給与所得から、基礎控除や社会保険料控除などを差し引いた課税所得が約250万円だったとします。この課税所得に対して住民税の所得割がかかり、さらに均等割が上乗せされます。

ざっくりとした目安として、課税所得の約一割前後が住民税になるケースもあります。この場合、年間の住民税が20万円台になることもあり得ます。毎月の給与から天引きされていたときはそれほど意識していなくても、普通徴収で年4回に分けて納付するとなると、一回あたりの金額が大きく感じられるでしょう。

一方で、出産後に配偶者控除や扶養控除が増えた場合や、生命保険料控除などをしっかり申告した場合には、同じ年収でも住民税が数万円単位で変わることがあります。市区町村のホームページには、住民税の簡易計算シミュレーターを提供しているところもありますので、源泉徴収票を手元に置きながら試してみると、自分の税額のイメージをつかみやすくなります。

年末調整の見落とし・確定申告忘れで増える税額

住民税が「思ったより高い」と感じる背景には、年末調整や確定申告の見落としが関係していることもあります。とくに、産休や育休の前後は、住所変更や家族構成の変化、保険の加入など、生活の変化が重なりやすい時期です。書類の提出をうっかり忘れてしまうことも珍しくありません。

例えば、子どもが生まれて扶養控除の対象になったのに、年末調整の書類で申告していないケースが考えられます。この場合、本来なら減らせるはずの課税所得がそのまま扱われるため、住民税も高めに計算されます。同様に、配偶者の年収が変わって配偶者控除の条件を満たすようになったのに、会社へ伝えていない場合も注意が必要です。

また、副業収入があったのに確定申告をしていないと、税金の計算が適切になっていない可能性があります。医療費が多かった年に医療費控除の申告を忘れていると、本来なら減らせたはずの税負担をそのまま背負うことになります。出産に伴う医療費はまとまった金額になりやすいため、領収書を整理しておくとよいでしょう。

もし心当たりがある場合は、まず源泉徴収票や年末調整の控えを確認し、控除の欄をチェックしてみてください。そのうえで、税務署や市区町村の窓口に相談すると、必要に応じて還付申告や修正申告の方法を案内してもらえることがあります。すべてのケースで税金が戻るとは限りませんが、確認しておくことで納得感を持ちやすくなるでしょう。

すぐ使える7つの対処法

ここまでで、育休中の住民税が高く感じる理由や、仕組みの基本を見てきました。次は、今からできる具体的な対処法を整理していきます。人によって向いている方法は異なりますが、複数を組み合わせることで、家計への負担を和らげられる可能性があります。

ここで紹介するのは、減免や猶予の相談から、納付方法の工夫、控除の見直し、将来の税負担を見据えた対策まで、7つのアプローチです。それぞれの特徴や注意点を押さえながら、自分の状況に合いそうなものを選んでみてください。

① 自治体の減免・納税猶予を申請する

育休中に収入が大きく減り、住民税の納付が難しい場合は、市区町村の減免制度や納税猶予制度を検討する方法があります。これらは、失業や災害などに加え、家計が急に厳しくなったときなどに、税の負担を一時的に軽くしたり、支払いの時期を遅らせたりできる仕組みです。ただし、適用条件は自治体ごとに細かく定められています。

減免制度では、一定の条件を満たすと、住民税の一部または全額が軽減されることがあります。例えば、世帯の収入が大きく減少した場合や、医療費などの支出が増えた場合などが対象になることがあります。育休による収入減がどこまで考慮されるかは自治体によって異なるため、まずは住んでいる市区町村のホームページや窓口で条件を確認してみてください。

納税猶予は、今すぐに支払うのが難しい場合に、一定期間支払いを待ってもらう仕組みです。猶予期間中の延滞金が軽減されることもありますが、あくまで「支払いの先送り」であり、税金そのものがなくなるわけではありません。将来の支払い計画も含めて、無理のない範囲で利用することが大切です。

いずれの制度も、原則として自分から申請する必要があります。必要書類として、収入状況が分かる資料や、家計の状況を示す書類の提出を求められることが多いです。手続きは少し手間に感じるかもしれませんが、一人で悩むよりも、窓口で相談しながら進めた方が安心しやすいでしょう。

② 納付方法を見直す

同じ住民税でも、納付方法を変えることで、家計への負担の感じ方が変わることがあります。とくに、普通徴収で年4回まとめて納める場合、一度に支払う金額が大きく感じられやすいものです。支払い方を工夫して、できるだけ無理のない形に整えていくことが大切です。

まず検討したいのは、口座振替の利用です。事前に金融機関の口座を登録しておくと、納付期限に自動で引き落とされます。これにより、うっかり支払いを忘れて延滞金が発生するリスクを減らせます。ただし、残高不足にならないよう、引き落とし日を意識した家計管理が必要になります。

次に、インターネットバンキングやスマホ決済アプリを使った納付も便利です。育児で外出が難しい時期でも、自宅で支払いが完結しやすくなります。自治体によっては、クレジットカード払いに対応しているところもあり、ポイント還元を家計の足しにしている人もいます。ただし、手数料がかかる場合や、翌月以降のカード請求が増える点には注意が必要です。

納付書に記載された期別の金額が大きく感じる場合は、早めに市区町村へ相談し、分割回数を増やせないかを聞いてみる方法もあります。必ずしも希望どおりになるとは限りませんが、事情を伝えることで、現実的な支払い計画を一緒に考えてもらえることがあります。

③ 会社に相談して特別徴収の立て替えや人事対応を依頼する

会社員の場合、住民税の扱いは勤務先の給与計算や人事の方針にも左右されます。育休中の天引きができないとき、会社がどこまで立て替えや分割の対応をしてくれるかは、企業ごとに差があります。まずは、会社に相談して、自分の勤務先のルールを確認してみることが重要です。

一部の会社では、育休に入る前の最後の給与で、残りの住民税を一括徴収する運用をしています。この場合、事前に説明を受けていないと、最後の給料が予想より大きく減って驚くことがあります。人事や総務に相談すれば、一括徴収を避けて普通徴収に切り替えるなど、別の選択肢を提案してもらえる可能性もあります。

また、会社が一時的に住民税を立て替え、復職後の給与から少しずつ返済していく仕組みを用意しているところもあります。この方法だと、育休中の現金の持ち出しは減りますが、復帰後の手取りがしばらく少なくなる点には注意が必要です。どのくらいの期間で返済するのか、毎月いくらくらい差し引かれるのかを具体的に確認しておくと、家計の見通しが立てやすくなります。

会社側も、従業員の育児と仕事の両立を支援したいと考えているところが増えています。遠慮しすぎず、「育休中の住民税の負担が不安で、納付方法について相談したい」と率直に伝えてみるとよいでしょう。人事や社会保険労務士と連携して、社内の制度や手続きを案内してもらえることがあります。

④ 確定申告・年末調整で控除を最大化する

住民税の金額を直接下げる近道の一つが、年末調整や確定申告で使える控除をきちんと申告することです。同じ収入でも、控除の有無によって課税所得が変わり、その結果として住民税も変わってきます。産休や育休の前後は、控除の条件に影響する出来事が多いため、見落としがないか整理しておくと安心です。

まず、年末調整では、生命保険料控除や地震保険料控除、配偶者控除や扶養控除などを申告できます。出産により子どもが生まれた場合は、扶養に入れる時期や、配偶者の年収との関係を確認しておくことが大切です。保険に新たに加入した場合も、保険会社から届く控除証明書を忘れずに提出するようにしましょう。

次に、確定申告が必要になるケースもあります。例えば、医療費が一定額を超えた場合の医療費控除や、出産費用の一部などが対象になることがあります。また、副業収入がある人は、所得の申告を通じて、必要経費を差し引ける場合もあります。確定申告を行うことで、結果的に所得税や住民税が軽くなることもありますが、すべての人に当てはまるわけではありません。

控除を最大限に活用するには、領収書や保険料の控えを日ごろから保管しておくことが役立ちます。分からない点がある場合は、税務署や市区町村の無料相談、あるいは税理士やファイナンシャルプランナーに相談する方法もあります。手間はかかりますが、長い目で見ると家計の負担を抑える効果が期待できるでしょう。

⑤ ふるさと納税やiDeCoを活用して今年の税負担を軽減する

今後の住民税負担を見据えた対策として、ふるさと納税やiDeCoの活用を検討する人も増えています。どちらも節税につながる可能性がありますが、仕組みや上限額を理解したうえで利用することが大切です。無理のない範囲で活用すれば、家計の助けになる場合があります。

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をすることで、翌年の住民税や今年の所得税から一部が控除される制度です。自己負担が原則として2千円になる範囲であれば、返礼品も受け取りつつ、税金の一部を前払いするイメージで利用できます。ただし、育休で今年の所得が減ると、控除の上限額も下がるため、前年と同じ感覚で寄付すると、自己負担が増える可能性があります。

iDeCoは、老後資金の準備をしながら、掛金全額が所得控除になる制度です。掛金を払った年の課税所得が減るため、結果的に住民税も少なくなります。ただし、60歳まで原則として引き出せないなど、資金の流動性に制限があります。育児で出費が増える時期に、どこまで長期の積立が可能かを慎重に検討する必要があります。

これらの制度を使うかどうかは、家計の余裕度や将来の計画によって変わります。節税だけを目的にしすぎず、「今の生活費を確保しながら、将来の備えも少しずつ進める」という視点でバランスを取ることが大切です。具体的な上限額や条件は、シミュレーションサイトや金融機関の資料で確認し、必要であれば専門家の助言も参考にするとよいでしょう。

⑥ 育児休業給付金や社会保険料の扱いを確認して課税所得を正確に把握する

育休中は、育児休業給付金や出産手当金、社会保険料の免除など、さまざまなお金の動きがあります。それぞれが課税対象かどうか、また住民税にどう影響するのかを整理しておくと、自分の課税所得を正しく把握しやすくなります。これが分かると、控除の申告や将来の税負担の見通しも立てやすくなります。

まず、育児休業給付金と出産手当金は、原則として所得税や住民税の対象外です。つまり、これらの給付金を受け取っても、その分で住民税が増えることは基本的にありません。一方で、給付金は非課税収入であるため、配偶者控除などの年収判定において、どのように扱われるかを確認しておくと安心です。

次に、社会保険料の扱いも重要です。育休中は、健康保険や厚生年金保険料が一定の条件で免除される制度があります。保険料が免除されている期間は、その分の社会保険料控除は発生しませんが、将来受け取る年金額への影響なども含めて検討する必要があります。雇用保険料についても、育休中の扱いを会社やハローワークに確認しておくとよいでしょう。

こうした情報を整理するためには、会社から交付される源泉徴収票や、社会保険料の通知書を保管しておくことが役立ちます。分からない点があれば、会社の人事担当や社会保険労務士、または市区町村の窓口に相談し、自分の課税所得がどのように計算されているかを確認してみてください。正しい前提を知ることで、無理のない税対策を考えやすくなります。

⑦ 副業や収入構造の見直しで来年以降の住民税負担を最適化する

育休中から復職後にかけては、働き方や収入の構造を見直すタイミングにもなります。将来の住民税負担を考えるうえでも、「どのくらい働くか」「収入源をどう組み合わせるか」を意識しておくと、家計の安定につながりやすくなります。もちろん、どの働き方がよいかは、家庭ごとに異なります。

例えば、復職後にフルタイムで働くか、時短勤務やパート勤務を選ぶかによって、年収も住民税も変わります。年収が増えれば税負担も増えますが、その分だけ手取りも増えるため、トータルで家計がどう変化するかを見ておくことが大切です。無理のない働き方を選びつつ、税金も含めた手取りのイメージを持っておくと安心です。

在宅でできる副業や、フリーランスとしての仕事を組み合わせるケースもあります。副業収入は原則として課税対象になり、翌年の住民税にも影響しますが、必要経費を差し引ける場合もあります。確定申告が必要になることも多いため、帳簿や領収書の管理を早めに整えておくとよいでしょう。

将来の住民税を「減らす」ことだけを目標にすると、必要以上に働く時間を抑えてしまうなど、本来の希望とずれてしまうこともあります。税金はあくまで、収入や生活を支える仕組みの一部です。家計全体のバランスを見ながら、納得できる働き方と収入の形を選ぶことが、長い目で見て安心につながると考えられます。

ママパパ・会社員・自営業それぞれの優先対応

最後に、立場ごとに「まず何から手をつけるとよいか」を整理します。同じ育休中でも、会社員か自営業か、パートかによって、確認すべきポイントや利用しやすい制度は少しずつ違います。自分の状況に近いところから読み進めてみてください。

ここでは、会社員のママパパが意識したい点、パートや派遣、アルバイトで働く人の注意点、自営業やフリーランスの場合の対処について、それぞれ優先順位をつけて紹介します。すべてを一度に完璧にこなす必要はないので、できそうなところから少しずつ取り組んでいきましょう。

会社員(給与所得者)の優先アクションリスト

会社員として育休を取る場合、住民税の多くは会社を通じて手続きが行われます。そのため、まずは勤務先の人事や給与担当と連携しながら、自分の住民税がどう扱われるのかを確認することが大切です。ここでは、優先的にチェックしたい行動を順番に見ていきます。

最初に行いたいのは、育休前に会社へ「住民税の納付方法」を確認することです。特別徴収のまま最後の給与で一括徴収するのか、普通徴収に切り替えるのか、あるいは会社が立て替えるのかなど、企業によって対応が分かれます。希望を出せる場合もあるため、家計の状況を踏まえて相談してみるとよいでしょう。

次に、年末調整の書類を丁寧に記入し、控除の申告漏れがないかを確認します。出産や結婚などで家族構成が変わった場合は、配偶者控除や扶養控除の条件を確認し、必要な書類を提出します。生命保険料控除や地震保険料控除の証明書も忘れずに添付し、控除を最大限に活用できるようにしておきます。

さらに、育休中に住民税の納付が難しくなりそうな場合は、早めに市区町村の窓口へ相談し、減免や納税猶予の可能性を確認しておくと安心です。会社の社会保険労務士や外部のファイナンシャルプランナーに相談するのも一つの方法です。複数の窓口をうまく活用しながら、自分の状況に合った対策を選んでいくことが大切になります。

パート・派遣・アルバイトの注意点

パートや派遣、アルバイトとして働いている場合も、育休中の住民税には注意が必要です。勤務形態や年収によっては、会社での特別徴収ではなく、もともと普通徴収になっている人もいます。自分の住民税がどのように徴収されているのかを知ることが、最初の一歩になります。

まず、源泉徴収票や給与明細を確認し、住民税が給与から天引きされているかどうかをチェックしてみてください。天引きがない場合は、すでに普通徴収で自宅に納付書が届いている可能性があります。納付書の保管場所や、過去にどのように支払っていたかを振り返っておくと安心です。

パートや派遣の場合、年収が一定額を下回ると、住民税が非課税になることもあります。ただし、非課税の条件は自治体ごとに異なり、世帯全体の所得や扶養の有無なども影響します。自分が住む市区町村の非課税基準を確認し、該当しそうかどうかを把握しておくとよいでしょう。

また、複数の勤務先で働いている場合は、それぞれの収入を合計したうえで住民税が計算されます。副業先での収入が増えると、翌年の住民税が高くなる可能性もあります。収入の変化が大きいときは、簡単な家計シミュレーションを行い、住民税の負担を含めて働き方を検討してみると、無理のないペースを見つけやすくなります。

自営業・フリーランスの場合の対処

自営業やフリーランスとして働いている場合、住民税の計算や納付は、基本的に自分で行う必要があります。育休中も仕事を続けるかどうか、どの程度収入を維持するかによって、翌年の住民税や所得税が変わってきます。会社員に比べて自由度が高い一方で、計画的な管理が求められる場面が多いといえます。

まず重要なのは、毎年の確定申告を正確に行うことです。売上だけでなく、必要経費をきちんと計上することで、課税所得を適切な水準に抑えられます。育児にかかる時間が増えると、仕事量が減ることも多いため、収入の変化を踏まえたうえで、翌年の住民税や社会保険料を見込んでおくと安心です。

育休中にほとんど仕事をしない場合でも、前年の所得が高ければ、翌年の住民税は一定の金額になります。納付が難しい場合は、市区町村に減免や納税猶予の相談をすることが大切です。自営業者向けの制度や、国民健康保険料・国民年金保険料の減免制度なども合わせて確認すると、トータルの負担を見直しやすくなります。

将来の働き方については、育児との両立を考えながら、収入源をどのように組み合わせるかを検討する時期にもなります。単価の高い仕事に絞る、オンラインで完結する業務を増やすなど、自分に合ったスタイルを模索することも一つの方法です。税理士やファイナンシャルプランナーに相談しながら、事業と家計の両方を見渡して計画を立てると、長期的な安心につながりやすくなります。

まとめ

育休中の住民税が「高すぎる」と感じる大きな理由は、今年の収入ではなく、前年の所得をもとに税額が決まる仕組みにあります。産休や育休に入る前によく働いていた人ほど、収入が減った翌年に負担が重く感じられやすいのは、このためです。まずは、自分の住民税がどの年の所得に基づいているのかを確認してみてください。

そのうえで、年末調整や確定申告での控除の見直し、自治体の減免や納税猶予の相談、納付方法の工夫など、できる対策を少しずつ取り入れていくことが大切です。会社員か自営業か、パートかによっても、優先すべき行動は変わります。分からない点は、市区町村の窓口や税務署、専門家に相談しながら進めると安心しやすいでしょう。

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この記事を書いた人

田中 壮のアバター 田中 壮 株式会社TFPグループ代表取締役

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

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