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医療費控除の手続き方法とは?医療費控除の種類と対象となる費用・ならない費用を解説

2023.07.01
医療費控除の手続き方法とは?医療費控除の種類と対象となる費用・ならない費用を解説

※この記事は商品プロモーションを含むことがあります。

「医療費控除の手続きってどうしたらいいの?」
「何が医療費控除の対象になるの?」
このような悩みを抱えていませんか?

医療費控除には通常の医療費控除と、セルフメディケーション税制の2つがあります。それぞれ控除を受ける要件や対象となるものが異なるため、複雑に感じる人が多いでしょう。

この記事では、医療費控除の種類や対象となる費用・手続きの流れについて解説します。この記事を読めば、医療費控除の種類の区別がつき、手続きがスムーズにできるようになるでしょう。

関連記事:医療費控除は住民税にも適用される?医療費控除で確定申告した際の反映時期や金額・注意点を徹底解説!

医療費控除には大きく分けると2種類ある

医療費控除には大きく分けると2種類ある

医療費控除は、1月1日〜12月31日までの1年間に支払った医療費が高額になった場合に、所得控除が受けられる制度です。あなた自身だけでなく、生計を共にする配偶者や親族の医療費も対象になります。

医療費控除の種類は以下の2つです。

医療費控除の種類

  1. 通常の医療費控除
  2. セルフメディケーション税制

それぞれ詳しく解説するのでみていきましょう。

①通常の医療費控除の概要・対象となる費用とは?

通常の医療費控除は、受けられる要件や金額・対象となる費用が定められています。自ら計算して申告しないと受けられない制度なので、概要をしっかり把握しましょう。

これまでに支払った医療費が金額を超えていそうな場合は、これから解説する内容を確認しながら計算してください。

通常の医療費控除の要件・金額

国税庁によると、医療費控除の要件は以下のように定められています。

(1)納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
(2)その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)。

引用:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

あくまで対象となるのは支払い済みの医療費のみです。未払いの医療費は対象とならないので注意しましょう。続いて、医療費控除の金額の計算方法について解説します。

医療費控除の金額 =(医療費の総額 – 保険金などで補填される金額)- 10万円(※総所得が200万円未満の人は、総所得金額の5%の金額)

出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

総所得が200万円以上の場合、実際に支払った医療費が10万円を超えないと医療費控除の対象になりません。そして、医療保険や出産一時金で補填された金額は差し引かれます。

妊娠・出産の場合は出産までの検診や入院費・入院中の食事代なども対象になるので、医療費控除を受けられる可能性が高くなります。必ず計算してみましょう。

通常の医療費控除の対象となる費用

通常の医療費控除の対象となる費用は、以下のように定められています。

  • 医師、歯科医師による診療や治療の対価
  • 治療のためのあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術の対価
  • 助産師による分べんの介助の対価
  • 医師等による一定の特定保健指導の対価
  • 介護福祉士等による喀痰吸引等の対価
  • 保健師や看護師、准看護師による療養上の世話の対価
  • 治療や療養に必要な医薬品の購入の対価
  • 病院、診療所又は助産所などへ収容されるための人的役務の提供の対価

出典:国税庁「医療費控除を受けられる方 へ」

自己都合による差額ベッド代やコンタクト・眼鏡費用は対象外です。ただし、眼科手術後の機能回復のために短期間使用する眼鏡や、幼児の未発達視力の向上のために使用する眼鏡は対象となります。

大まかな判断基準は治療目的かどうかです。迷った場合は、かかった医療機関に聞いてみるのもおすすめです。

②セルフメディケーション税制の概要・対象となる費用とは?

セルフメディケーション税制とは、医療費控除の特例として特定の医薬品購入額の所得控除が受けられる制度です。国税庁によると、以下のように定められています。

健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12,000円以上の対象医薬品を購入した場合には、「セルフメディケーション税制」(通常の医療費控除との選択適用)を受けることができます。

引用:国税庁「セルフメディケーション税制の概要・手続など」

この中で述べられている一定の取り組みとは、以下のようなものが挙げられます。

  • 保険者(健康保険組合等)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診等】
  • 市区町村が健康増進事業として行う健康診査
  • 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
  • 勤務先で実施する定期健康診断(事業主検診)
  • 特定健康診査、特定保健指導
  • 市区町村が健康増進事業として実施するがん検診

出典:国税庁「セルフメディケーション税制の概要・手続など」

上記の取り組みを行うことで、セルフメディケーション税制を受けられる要件に当てはまります。しかし、これらの取り組みにかかる費用は所得控除の対象にはならないので注意しましょう

セルフメディケーション税制の対象となる費用

セルフメディケーション税制の対象となる費用は以下のとおりです。

■対象となる医薬品(医療用から転用された医薬品:スイッチOTC医薬品)について
○ スイッチOTC医薬品:
- 対象となる医薬品の薬効の例:かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬 、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬
(注)上記薬効の医薬品の全てが対象となるわけではない

引用:厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について|制度概要」

スイッチOTC医薬品とは、医師によって処方される医療用医薬品を薬局・ドラッグストアなどで購入できるものに転用した医薬品のことです。そして、対象となる医薬品は、購入時のレシートや領収書に控除対象である旨が記載されています。受け取ったレシートは捨てずに一度確認しましょう。

医療費控除の申告手続きの流れは?

医療費控除の申告手続きの流れは?

医療費控除・セルフメディケーション税制の所得控除を受けるためには、確定申告で還付申告が必要です。この章では、申告手続きの流れについて解説します。

医療費控除の申告の流れ

  1. 医療費、スイッチOTC医薬品の費用をそれぞれ計算する
  2. 確定申告に必要なもの・書類を揃える
  3. 確定申告書・医療費控除の明細書を作成・提出する
  4. 還付金を確認する、保管が必要な書類を保管する

スムーズに計算するために、一年分の医療費のレシートや領収書は保管しておきましょう。

①医療費、スイッチOTC医薬品の費用をそれぞれ計算する

まず、医療費とスイッチOTC医薬品の費用をそれぞれ計算します。たとえ、どちらも適用条件を満たしていたとしても、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。どちらかを選んで申告することになります。

セルフメディケーション税制は、健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っているかも適用条件です。両方とも適用になる場合、それぞれの対象となる金額を計算した上で、所得控除額が大きい方を選択しましょう。

②確定申告に必要なもの・書類を揃える

続いて、確定申告に必要なものや書類を揃えましょう。医療費控除・セルフメディケーション税制それぞれに必要なものは以下のとおりです。

医療費控除に必要なもの

【共通】

  • 番号確認書類(マイナンバーを確認できる書類)、身元確認書類
  • 所得を証明する書類
  • 確定申告書
  • 金融機関の口座番号がわかるもの
  • 印章

【通常の医療費控除に必要なもの】

  • 医療費控除の明細書、または医療費通知(原本)

【セルフメディケーション税制に必要なもの】

  • セルフメディケーション税制の明細書

医療費控除もセルフメディケーション税制もどちらも明細書の作成が必要です。国税庁によると、医療費控除は医療費通知でも代用できますが、申告するすべての医療費が記載されている必要があります。

そして、領収書は提出する必要はありませんが、5年間保管しなければなりません。スムーズに申告できるように、全て揃えてから書類を作成しましょう。

③確定申告書・医療費控除の明細書を作成・提出する

必要な書類を揃えたら、確定申告書・医療費控除の明細書を作成して提出します。確定申告の主な方法は以下の3つです。

確定申告の主な方法

  • e-Taxで電子申告をする
  • e-Taxで作成した書類を印刷して郵送する
  • 税務署、特設会場に行って確定申告をする

スマートフォンやパソコンでマイナンバーカードを読み取るか、税務署でID・パスワードを発行してもらうとe-Taxで電子申告が可能です。ウェブ上で全て完結するので手間もかからないでしょう。

マイナンバーカードがない、ID・パスワードを発行してもらう時間がない時は、e-Taxで作成した書類を郵送することもできます。e-Taxで自動計算できるので、簡単に書類の作成が可能です。

税務署や特設会場は必要書類を持ち込み、相談しながら申告するため、混み合うことが予想されます。還付申告のみの場合は、確定申告の期間より前からできる可能性があるので、期間前に行くのがおすすめです。

④還付金を確認する、保管が必要な書類を保管する

還付金は1ヶ月〜1ヶ月半後に、指定の口座に振り込まれるか、最寄りの郵便局やゆうちょ銀行で受け取ります。申告した金額と受け取った還付金に誤りがないか、きちんと確認してください。

医療費控除やセルフメディケーション税制で使用した領収書は、5年間の保管義務があります。申告が完了しても、処分せずに大切に保存しておきましょう。

関連記事:ふるさと納税と医療費控除は併用できる!手続き方法や控除の概要・併用する際の注意点を徹底解説!

医療費控除の申告はいつまでにすればいい?遅れた場合は?

医療費控除の申告はいつまでにすればいい?遅れた場合は?

医療費控除を受けるためには、税務署に確定申告の申告書を提出する必要があります。国税庁によると、2023年の確定申告は2月16日から3月15日までです。還付申告のみの場合は、1月1日から申告ができます。

万が一申告を忘れてしまっていた場合、還付申告は確定申告の期間とは関係なく、該当する年の翌年の1月1日から5年間可能です。確定申告をした後に、医療費控除の申告忘れに気がついた時も、遡って申告できます。

過去の医療費通知や領収書がまだ残っているなら計算してみるのもおすすめです。

関連記事:医療費控除は10万円以下でも利用できる?具体的な金額や手続き・申告する際の注意点を徹底解説!

まとめ

まとめ

今回は、医療費控除の種類と確定申告による手続きについて解説しました。医療費控除には通常の医療費控除とセルフメディケーション税制の2つがあります。どちらも自ら申告しないと受けられない制度で、両方を併用はできません。

かかった医療費や医薬品の合計金額を計算して、控除額が大きくなる方を選択しましょう。特にセルフメディケーション税制は、適用金額以外にも適用条件が存在します。解説した要件に当てはまるか確認した上で利用しましょう。

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高柳政道

高柳政道

CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。

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