貯金900万円は少ない?年代別の平均貯蓄額やお金を貯めるコツを解説

監修者

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田中壮

TFPグループ 代表取締役 田中 壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

貯金が900万あると聞くと、多いような気もする一方で、老後や教育費を考えると足りないのではと不安になる方も多いはずです。 自分の貯金額が、同じ年代や世帯と比べてどのくらいの位置にあるのかも、なかなか分かりにくいところだと思います。

この記事では、金融広報中央委員会などの調査データを参考に、年代別の平均貯蓄額との比較や、900万で何年暮らせるかの目安を整理します。 あわせて、貯金900万の活用法や、今後の資産形成のコツも解説しますので、将来のお金の不安を整理したい方は参考にしてみてください。

目次

貯金900万は20代・30代・40代・50代で多い?平均貯蓄額との比較

ここでは、貯金900万が年代別に見て多いのか少ないのかを、金融広報中央委員会の調査などを参考にしながら確認します。 平均額だけでなく、実態に近いと言われる中央値にもふれ、世帯別の違いも整理します。

あくまで全体の傾向なので、年収や家族構成、地域の物価などによって感じ方は変わります。 自分の状況と照らし合わせながら、今の貯金額をどう受け止めるかの目安として使ってみてください。

20代の実態

20代は社会人になって間もない人が多く、貯金よりも生活費の確保が優先になりやすい年代です。 金融広報中央委員会の調査でも、20代の金融資産保有額は平均値と中央値に大きな差があり、一部の高い貯蓄額の人が平均を押し上げる傾向があります。

単身世帯では、平均額が200万から300万前後、中央値は100万未満というデータもあり、貯金ゼロの人も一定数います。 その中で貯金900万ある20代は、かなり上位の層に入ると考えられます。 実家暮らしで生活費が抑えられていたり、収入が高い仕事に就いていたり、早くから資産運用をしていたケースもあるでしょう。

一方で、20代はまだライフイベントがこれからの人が多く、結婚や住宅購入、出産、教育資金の準備など、今後大きな出費が続く可能性があります。 貯金900万あっても、それをすべて自由に使えるお金と考えるのではなく、将来の資金の土台としてとらえる意識が大切です。

この年代で意識したいのは、額の多さだけでなく、貯金を続ける習慣づくりです。 毎月の手取り収入から一定額を先取りで貯蓄し、家計簿アプリなどで支出を見える化しておくと、30代以降の資産形成にもつながりやすくなります。

30代の実態

30代は、結婚や出産、住宅購入など、大きなお金のイベントが増える年代です。 金融広報中央委員会の調査では、30代の金融資産保有額は、二人以上の世帯で平均額が600万から800万前後、中央値は300万から400万程度という結果が出ています。

この数値と比べると、貯金900万は平均よりやや多い、もしくは上回るケースが多いと考えられます。 特に単身世帯で900万ある場合は、かなり高い貯蓄額と言えるでしょう。 ただし、年収や居住地域によって生活費や住宅価格が大きく変わるため、同じ900万でも余裕の感じ方は人それぞれです。

30代は、教育資金や住宅ローンの頭金、万一の医療費など、目的別にお金を分けて考え始めるタイミングでもあります。 たとえば、貯金900万のうち、生活防衛資金として生活費の半年から1年分を普通預金に置き、残りを住宅購入や老後資金の準備として運用する、といった整理が考えられます。

また、会社員であれば企業型の確定拠出年金に加入していることもあり、預貯金以外の金融商品も含めた「資産全体」で見ることが大切です。 投資信託や株式などのリスク資産がある場合は、値動きに備えて現金の比率をどうするかも検討ポイントになります。

40代の実態

40代は、子どもの教育費が本格的にかかり始める時期であり、同時に収入のピークが近づく世代でもあります。 金融広報中央委員会のデータでは、40代二人以上世帯の金融資産保有額は、平均額が1,000万前後、中央値は600万から700万程度という傾向があります。

この層と比べると、貯金900万は中央値よりやや多いが、平均値と同程度かやや下回る水準に位置することが多そうです。 ただし、教育費の負担状況や住宅ローンの残高によって、同じ貯金額でも余裕は大きく変わります。 たとえば、住宅ローンがほぼ残っていない家庭と、3,000万以上のローンが残っている家庭では、家計の安心度はかなり違うはずです。

40代では、老後までの期間が20年前後となり、今後の貯蓄ペースを見直す重要な時期になります。 現時点で貯金900万ある場合でも、老後の生活費や年金額の見込みをざっくり試算し、不足しそうな分をどう埋めるか考えておくと安心です。

具体的には、家計簿で毎月の生活費を把握し、固定費を見直しながら、貯蓄と資産運用のバランスを調整していく方法があります。 必要に応じて、FPに家計診断を依頼し、自分の世帯の状況に合ったライフプランを作成してもよいでしょう。

50代の実態

50代は、老後が現実的なテーマになり始める世代です。 子どもの進学や住宅ローンの完済など、大きなライフイベントが続く一方、退職金や年金の見込みを意識し始める時期でもあります。

金融広報中央委員会の調査によると、50代二人以上世帯の金融資産保有額は、平均額が1,500万から2,000万前後、中央値は1,000万程度といったデータが見られます。 この数値と比べると、貯金900万は中央値にやや届かない、もしくは同程度の水準になるケースが多いかもしれません。

ただし、退職金の有無や、公的年金以外の企業年金、確定拠出年金の残高によって、老後の資金状況は大きく変わります。 自営業か会社員か、公的制度の違いもあるため、単純に平均額と比較して不安になる必要はないと言えます。

50代で貯金900万ある場合は、残りの現役期間でどれだけ貯蓄を増やせるかがポイントです。 支出が多い時期でもありますが、固定費の見直しや、不要な保険の整理、子どもの教育費の上限を家族で話し合うなど、家計全体のバランスを整える行動が重要になります。

世帯別・単身世帯別の比較と中央値データ

貯金額を考えるときは、年代だけでなく「世帯別」に見ることも大切です。 単身世帯と二人以上の世帯では、生活費や必要な生活防衛資金の額が大きく違うため、同じ貯金900万でも意味合いが変わります。

金融広報中央委員会の調査では、単身世帯は二人以上の世帯に比べて金融資産の平均額が低い傾向があります。 一方で、中央値も低めになるため、貯金900万あれば、単身としてはかなり余裕がある層に入るケースが多いでしょう。 二人以上の世帯では、平均額が高くなるものの、教育費や住宅費などの出費も増えるため、貯蓄額の感じ方は複雑です。

また、平均値は一部の高額な金融資産保有世帯に大きく引っ張られやすいため、実態に近い目安としては中央値を見る方が参考になる場合があります。 たとえば、ある年代の二人以上世帯で中央値が700万のとき、貯金900万あれば「全体の真ん中より少し多い」位置づけと考えられます。

大切なのは、こうした数値を「他人と比べて優れているかどうか」ではなく、「自分の生活と将来の希望に照らして十分かどうか」を考える材料として使うことです。 世帯主の年齢や年収、子どもの人数、地域の物価などで必要な貯金額は変わるため、自分の家計に合った目標額を設定する意識が重要になります。

貯金900万で何年暮らせる?生活費ケース別シミュレーション

ここでは、貯金900万があった場合、生活費としてどのくらいの期間暮らせるのかを考えてみます。 生活費や固定費の水準、共働きかどうか、インフレや運用の有無によって保てる年数は変わります。

あくまでシミュレーションなので、実際の家計とは差が出ますが、おおよその目安を知ることで、今後の資産形成の計画が立てやすくなります。 自分の支出に近いケースをイメージしながら、読み進めてみてください。

一人暮らし・共働き夫婦・専業主婦

まずは、家計の形によって、貯金900万の意味合いがどう変わるかを整理します。 一人暮らしの場合、生活費は地域差はあるものの、家賃を含めて毎月15万から20万程度のケースが多いでしょう。 この場合、貯金を取り崩して暮らすと仮定すると、単純計算で900万を月20万で割ると約45か月、つまり3年半から4年弱の生活費になります。

共働き夫婦の場合は、世帯収入が増える一方で、住宅ローンや保険料、子どもの教育費など、支出も増えがちです。 毎月の生活費が30万から40万かかる家庭も少なくありません。 もし収入が一時的に減っても、貯金900万があれば、月30万の生活費なら約2年半、月40万なら約2年程度は家計を支えるクッションになる試算です。

専業主婦世帯では、収入源が主に一人に集中するため、万一のときの生活防衛資金としての貯金の役割が大きくなります。 夫婦と子どもがいる家庭で、毎月の生活費が35万とすると、900万を取り崩していけば約2年強は暮らせる計算です。 もちろん、実際には雇用保険や失業給付、公的な制度の利用も考えられるため、単純な年数より少し余裕が出る可能性もあります。

このように、同じ900万でも、世帯構成や生活費の水準によって「何年暮らせるか」は大きく変わります。 自分の家計に近いパターンをもとに、ざっくりとしたシミュレーションをしておくと、安心の目安を持ちやすくなります。

生活費・固定費・税・インフレ・運用利回りの扱い

貯金900万で何年暮らせるかを考えるとき、単純に「900万を毎月の生活費で割る」だけでは、実際の感覚とずれてしまうことがあります。 理由は、生活費の中身や、税金、インフレ、資産運用の有無など、いくつかの要素が影響するからです。

まず、生活費には、毎月ほぼ変わらない固定費と、月によって変動する支出があります。 固定費には、家賃や住宅ローン、電気やガスなどの光熱費、通信費、保険料などが含まれます。 変動費は、食費や日用品、レジャー費、交際費などです。 シミュレーションをするときは、固定費を中心に「これ以上は削りにくい支出」がいくらかを把握しておくと、現実的な数字に近づきます。

次に、税金や社会保険料も考慮が必要です。 仕事を続ける前提であれば、手取り収入から生活費を引いて、どれくらい貯金を取り崩すかを見ます。 一方、収入がない前提で暮らす場合は、国民健康保険料や住民税など、最低限かかる公的な負担を生活費とは別に見積もる必要があります。

さらに、インフレによって物価が上がると、同じ生活水準を保つための費用も上昇します。 近年は物価上昇が話題になることも多く、長期で見れば、今の生活費のままという前提はやや楽観的と言えるかもしれません。 一方で、貯金の一部を投資信託などで運用し、年率数パーセントの利回りが得られれば、資金が長持ちする可能性もあります。

ただし、運用利回りは市場の状況によって変動し、元本割れのリスクもあります。 シミュレーションでは、運用による利益をあてにしすぎず、「増えればラッキー」くらいのイメージで考えておくと、過度な期待を避けられるでしょう。

低支出・平均支出・ゆとり支出で何年保つか

次に、毎月の支出水準を変えた場合に、貯金900万がどのくらいの期間保つかを、ざっくりイメージしてみましょう。 ここでは、低支出、平均的な支出、ゆとりある支出という三つのケースに分けて考えます。

まず、低支出ケースです。 一人暮らしで実家住まい、家賃がかからず、生活費を月12万に抑えたとします。 この場合、900万を12万で割ると、約75か月、つまり6年以上暮らせる計算です。 かなり切り詰めた生活にはなりますが、支出を抑える力があれば、貯金は長持ちしやすくなります。

次に、平均支出ケースです。 総務省の家計調査などを参考に、都市部の単身世帯で月18万から20万前後、二人以上世帯で30万から35万程度を目安とします。 単身で月20万なら約45か月、3年半から4年弱です。 二人以上で月35万なら、約25か月、2年ちょっとの期間をカバーできる計算になります。

最後に、ゆとり支出ケースです。 旅行や趣味、外食などを楽しみたい場合、単身で月25万から30万、二人以上で月40万から45万といった水準になることもあります。 単身で月30万なら約30か月、2年半ほどです。 二人以上で月45万なら、約20か月、1年半強で900万が尽きる計算になります。

このように、支出の水準によって、同じ貯金額でも保てる期間は大きく変わります。 「いくらあれば安心か」を考えるときは、金額だけでなく、どのような生活を送りたいかという価値観もあわせて整理しておくと、現実的な目標を立てやすくなります。

住宅ローン・教育費・医療費など大型出費が入る場合の影響

貯金900万の心強さは、住宅ローンや教育費、医療費といった大きな出費があるかどうかで、大きく変わってきます。 日々の生活費だけを前提にシミュレーションすると、実際よりも余裕があるように見えてしまうことがあるため、注意が必要です。

たとえば、住宅購入を予定している場合、頭金として数百万円から1,000万程度を用意するケースもあります。 貯金900万のうち、頭金に500万を充てれば、残りは400万です。 その後は住宅ローンの返済が毎月の固定費として発生します。 このように、一度に大きな額を使う予定があるときは、「今の貯金額」だけでなく、「イベント後に残る金額」を意識することが大切です。

教育費も同様です。 子ども一人あたりの教育費は、公立中心か私立中心かによって大きく変わりますが、大学まで進学すると合計で数百万円から1,000万を超えることもあります。 入学金や授業料、下宿費など、まとまった資金が必要になるタイミングがあるため、貯金900万のうち、どれくらいを教育資金として確保しておくかを考える必要があります。

医療費や介護費用も、突然発生する可能性があります。 高額療養費制度など、公的な制度で自己負担が抑えられる場合もありますが、入院中の差額ベッド代や、仕事を休むことによる収入減など、想定外の出費が重なることも考えられます。 そのため、生活防衛資金として、生活費の半年から1年分程度を現金で持っておく考え方がよく用いられます。

このように、大型出費を含めて考えると、貯金900万は決して「多すぎて持て余す額」ではないと感じる人も多いはずです。 ライフプラン表を作成し、いつ、どのタイミングで、どのくらいのお金が必要になりそうかを整理しておくと、貯金の使い道や優先順位が見えやすくなります。

貯金900万の活用法

ここからは、貯金900万をどのように管理し、活用していくかを考えます。 すべてを銀行預金に置いておく方法もあれば、一部を投資に回して資産形成を目指すやり方もあります。

それぞれにメリットとリスクがあり、正解は人によって異なります。 生活費やライフイベントの予定、年齢や仕事の状況をふまえて、自分に合ったバランスを検討していきましょう。

銀行預金/定期預金で守るメリット

まず、貯金900万を銀行預金や定期預金で「守る」方法から考えてみます。 銀行預金は元本保証があり、預けたお金が減りにくいことが大きな安心材料です。 日本の銀行は、一定額までは預金保険制度の対象となり、万一金融機関に問題があっても保護される仕組みがあります。

普通預金は、いつでも引き出せる流動性の高さが特徴です。 生活費の口座として使いやすく、急な出費にも対応しやすい一方で、金利は非常に低く、利息はほとんど増えないのが実情です。 定期預金は、一定期間お金を動かさない代わりに、普通預金よりやや高い金利が設定されることが多いですが、それでもインフレ率を大きく上回る水準ではないケースが一般的です。

貯金900万のうち、生活防衛資金として生活費の半年から1年分を普通預金に置き、近い将来に使う予定がある資金を定期預金に分けておく方法があります。 たとえば、1年後の引っ越し費用や、数年以内の車の買い替え費用など、時期と目的がはっきりしているお金は、元本割れのない預金で守る考え方が向いているでしょう。

一方で、長期的に使う予定のない資金まで、すべて銀行預金に置いておくと、インフレによって実質的な価値が目減りする可能性があります。 そのため、老後資金など、10年以上の長期で使う予定のお金については、預金だけでなく、他の金融商品の活用も検討する価値があります。

投資の基本とリスク・期待利回り

貯金900万の一部を投資に回すことで、長期的に資産を増やせる可能性があります。 ここでいう投資とは、株式や投資信託、債券などの金融商品を通じて、企業や国の成長にお金を投じる行為です。 預金と違い、元本保証はなく、価格が上下するリスクがあります。

投資の基本は、「分散」と「長期」と「継続」です。 一つの銘柄や地域に集中させず、国内外の株式や債券など、複数の資産に分けて投資することで、特定の市場の値下がりリスクを和らげる考え方があります。 また、短期的な値動きに一喜一憂せず、10年から20年といった長い期間で保有することで、平均的な利回りに近づきやすいとされています。

期待できる利回りは、商品や市場によって大きく異なります。 一般的に、債券などの安定的な資産はリスクが低い分、利回りも控えめになりやすく、株式は値動きが大きい分、長期的には高めのリターンが期待される傾向があります。 ただし、過去のデータが将来もそのまま当てはまるとは限らず、元本割れの可能性も常にあることを理解しておく必要があります。

投資信託は、専門家が複数の株式や債券を組み合わせて運用する商品で、少額から分散投資しやすい点が特徴です。 一方で、信託報酬などの手数料がかかるため、長期で持つ場合はコストの低いインデックスファンドを選ぶ人も増えています。 投資を始める前に、自分がどの程度の損失なら許容できるか、どのくらいの期間お金を寝かせられるかを整理しておくと、無理のない運用方針を立てやすくなります。

投資はあくまで自己責任で行うものであり、「必ず増える」といった保証はありません。 貯金900万のうち、生活防衛資金を除いた余裕資金の一部から、少しずつ始める方法も選択肢の一つと言えるでしょう。

NISA・つみたてNISA・iDeCoの使い分け方

投資で資産形成を考える際に、NISAやつみたてNISA、iDeCoといった税制優遇制度を上手に活用すると、手取りベースでの効率を高めやすくなります。 それぞれ仕組みや目的が異なるため、特徴を理解し、自分に合った使い分けを意識することが大切です。

NISAは、一定の投資枠の中で得られた配当や売却益が非課税になる制度です。 新しいNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を組み合わせて利用できます。 つみたて投資枠は、長期・積立・分散投資に適した投資信託などが対象で、少額からコツコツ積み立てたい人向けです。 成長投資枠は、個別株式や一部の投資信託など、より幅広い金融商品への投資が可能で、リスクをとってリターンを狙いたい人に向いています。

iDeCoは、個人型の確定拠出年金で、老後資金づくりを目的とした制度です。 掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税になるなど、税金面のメリットが大きい一方、原則として60歳まで引き出せない制約があります。 そのため、近い将来に使う予定のある貯金ではなく、長期的に寝かせてもよい老後資金を充てるのが基本です。

貯金900万を持っている場合、生活防衛資金や数年以内に使う資金を除いた残りを、NISAやつみたてNISAで長期投資し、さらに老後資金の一部をiDeCoで積み立てる、といった組み合わせが考えられます。 ただし、制度の内容や上限額は法改正などで変わる可能性があるため、利用前には金融機関や公的なサイトで最新情報を確認することが重要です。

どの制度をどの程度使うかは、年齢や年収、退職予定時期、ライフプランによって適切な答えが変わります。 迷う場合は、FPなど専門家に相談し、自分の状況に合ったプランを一緒に検討してもよいでしょう。

長期で効率的に増やすポートフォリオ例

貯金900万の一部を投資に回す場合、どのような配分にするかを考えることを「ポートフォリオの設計」と呼びます。 ここでは、あくまで一例として、長期投資を前提にしたシンプルな構成をイメージしてみましょう。

たとえば、生活防衛資金として生活費の1年分を現金で確保し、残りを投資に回すケースを考えます。 毎月の生活費が25万であれば、1年分は約300万です。 貯金900万のうち300万を普通預金に置き、残りの600万を運用可能な資金とみなします。 この600万を、国内外の株式と債券に分散投資するイメージです。

一つの例として、株式60パーセント、債券40パーセントというバランスがあります。 株式部分は、国内株式と海外株式のインデックスファンドを半分ずつに分け、債券部分は国内債券や外国債券の投資信託に分散する方法です。 これにより、一つの国や資産に偏らない構成になり、特定市場の下落リスクをやわらげる効果が期待できます。

よりリスクを抑えたい人は、株式40パーセント、債券60パーセントといった保守的な配分にする選択肢もあります。 逆に、長期での成長を重視し、一時的な値下がりにも耐えられる人は、株式比率を高めることも考えられます。 いずれにしても、自分の年齢や仕事の安定度、家計の余裕をふまえ、「どの程度の価格変動なら気持ち的に耐えられるか」を基準に考えることが大切です。

ポートフォリオは一度決めたら終わりではなく、年に1回程度、資産の内訳を確認し、当初の比率から大きくずれていれば調整する「リバランス」を行うのが一般的です。 このような定期的な見直しを続けることで、長期的に安定した資産形成を目指しやすくなります。

不動産や物件投資の位置づけ

貯金900万があると、不動産投資や物件購入を検討したくなる人もいるかもしれません。 不動産は、住宅としての利用だけでなく、賃貸に出して家賃収入を得る投資対象としての側面もあります。 ただし、株式や投資信託とは性質が異なり、まとまった頭金やローン、維持費など、特有のリスクとコストがある点に注意が必要です。

自宅用の住宅購入の場合、貯金900万のうちから頭金として数百万円を充てることで、毎月の住宅ローン返済額を抑えられる可能性があります。 一方で、頭金を多く入れすぎると、手元の現金が減り、急な出費に対応しにくくなるおそれもあります。 住宅ローンの金利や返済期間、今後の収入見込みをふまえ、住宅と貯金のバランスを考えることが大切です。

不動産投資として物件を購入する場合は、空室リスクや家賃下落リスク、修繕費や固定資産税など、継続的な費用も想定する必要があります。 ローンを組んでレバレッジをかけると、うまくいけば利益が増える一方で、収入が減ったときの負担も大きくなります。 不動産市場は地域による差も大きく、物件選びや管理の手間もかかるため、十分な知識と時間をかけて検討することが求められます。

そのため、投資初心者がいきなり不動産に大きな割合の資金を投じるよりも、まずは投資信託などで少額から分散投資を経験し、自分のリスク許容度を把握する方が現実的な場合も多いです。 不動産を検討する際は、複数の不動産会社や金融機関から情報を集め、日本証券業協会や金融庁など公的機関が発信する注意喚起も参考にしながら、慎重に判断していきましょう。

毎月の積立・先取り・節約と固定費見直しのコツ

ここでは、すでに貯金900万ある人が、さらに資産を安定的に増やしていくための家計管理のコツを整理します。 毎月の積立や先取り貯金、固定費の見直し、収入アップなど、日々の行動を少しずつ変えることで、将来の安心感は高まりやすくなります。

すでに一定額の貯蓄があるからこそ、無理な節約ではなく、続けやすい仕組みづくりを意識していきましょう。

毎月の目標設定と先取り貯金の仕組み

貯金900万があっても、毎月の収支が赤字続きでは、いずれ貯蓄額は減ってしまいます。 逆に、収入から一定割合をコツコツと積み立てていけば、今後のライフイベントや老後に向けて、より余裕のある資金計画を立てやすくなります。 そこで役立つのが「先取り貯金」の仕組みです。

先取り貯金とは、給料が振り込まれたタイミングで、まず貯金用口座に一定額を移し、残ったお金で生活する方法です。 「余ったら貯金する」という考え方だと、どうしても支出が増えがちですが、先取りにすると、自然と使えるお金の範囲でやりくりしようという意識が働きます。 たとえば、手取り収入が月30万なら、そのうち5万を自動振替で貯蓄用口座に移すよう設定しておくイメージです。

毎月の貯蓄目標額は、家計の状況によって変わりますが、手取り収入の1割から2割を目安に検討されることが多いです。 すでに貯金900万ある人は、無理に高い割合を目指すより、仕事や生活のストレスにならない範囲で長く続けられる金額を設定した方が、結果的に資産形成が進みやすいでしょう。

先取り貯金用の口座は、普段使いの口座とは別にしておくと、心理的にも「使ってはいけないお金」として意識しやすくなります。 定期預金や貯蓄専用口座、証券会社の口座など、自分が管理しやすい形を選び、できるだけ自動化してしまうのがコツです。

固定費の洗い出しと削減術

貯金額を増やすには、収入を増やすか支出を減らすか、もしくはその両方を組み合わせる必要があります。 中でも、毎月必ず発生する固定費を見直すことは、長期的な効果が大きいとされます。 一度削減できれば、その後も自動的に節約効果が続くためです。

固定費には、住宅ローンや家賃、電気やガスなどの光熱費、通信費、保険料、サブスクリプションサービスの料金などがあります。 まずは家計簿アプリや銀行の入出金明細を使い、過去3か月から半年分の支出を振り返って、毎月ほぼ同じ金額が出ている項目を洗い出してみましょう。 それぞれの項目について、「本当に必要か」「もう少し安くできないか」を一つずつ検討していきます。

たとえば、スマホ料金は、格安SIMに乗り換えることで、月数千円から1万円程度の削減余地があるかもしれません。 保険料も、重複した保障や、今のライフステージに合わない契約が含まれていないかを確認し、必要に応じて見直すことで、月々の負担を軽くできる可能性があります。 サブスクも、ほとんど使っていないサービスがあれば、一度解約して様子を見るのも一つの方法です。

固定費の削減は、一度に完璧を目指す必要はありません。 毎月の支出が合計で5,000円から1万円減らせれば、年間で6万から12万、10年で60万から120万の差になります。 貯金900万がある人でも、こうした地道な見直しを続けることで、将来の資産形成に大きな違いが生まれる可能性があります。

家計簿・収入に対する貯蓄割合・チェック項目

貯金額を維持し、さらに増やしていくには、自分の家計の「現状」を把握することが欠かせません。 その基本となるのが家計簿です。 といっても、細かくレシートを入力する必要はなく、ざっくりと収入と支出の流れが見える状態を目指すだけでも効果があります。

最近は、銀行口座やクレジットカード、電子マネーと連携できる家計簿アプリも多く、手間をかけずに毎月の支出をカテゴリ別に確認できます。 まずは1か月から3か月分を記録し、「食費」「住居費」「通信費」「保険料」「教育費」「娯楽費」など、主要な項目ごとの割合を見てみましょう。 収入に対する貯蓄割合がどのくらいかも、あわせてチェックします。

一般的には、手取り収入の1割から2割を貯蓄に回せると、将来の資産形成がしやすいと言われます。 ただし、住宅ローンや子どもの年齢、地域の物価によって適切な割合は変わるため、自分の家計にとって無理のない水準を探ることが大切です。 貯金900万ある人は、現在の貯蓄割合がどの程度かを確認し、「このペースを維持すれば、5年後、10年後にどのくらいの貯金額になりそうか」をイメージしてみるとよいでしょう。

  • 毎月の収支が黒字か赤字か
  • 固定費が手取り収入の何割を占めているか
  • 貯蓄と投資の合計額がどのくらい増えているか

こうしたチェック項目を定期的に見直すことで、家計のバランスが崩れたときにも早めに気づき、軌道修正しやすくなります。

収入を増やす方法

支出の見直しとあわせて、収入を増やすことも、貯金額を高めるうえで重要な要素です。 特に、すでに一定の節約をしている人にとっては、これ以上の支出削減よりも、収入アップの方が現実的な場合もあります。 収入を増やす方法はいくつかあり、それぞれメリットや必要な時間、リスクが異なります。

本業での収入アップを目指す場合、昇進や昇給、資格取得、部署異動などが考えられます。 たとえば、専門性の高い資格を取得することで、手当がついたり、年収の高い部署に異動しやすくなったりするケースもあります。 時間はかかりますが、安定した収入増につながる可能性があります。

副業を行う方法もあります。 在宅でできる仕事や、週末だけのアルバイト、スキルを活かしたフリーランスの仕事など、選択肢は広がっています。 ただし、副業は本業への影響や、体力的な負担、税金の申告などにも注意が必要です。 会社員の場合は、就業規則で副業が認められているかどうかを必ず確認しましょう。

長期的には、転職によって年収を上げる選択肢もあります。 同じ業界内でのキャリアアップや、成長産業への移動などが考えられますが、環境が変わるリスクもあるため、十分な情報収集と比較検討が欠かせません。 いずれの方法を選ぶにしても、「どのくらいの時間と労力をかけられるか」「家族との時間や健康への影響はどうか」をふまえて判断することが大切です。

無理なく続けるコツ

貯金や資産形成は、短期間で結果を出すものではなく、長く続けることで効果が積み上がっていくものです。 そのため、最も大切なのは「無理なく続けられる仕組み」をつくることだと言えます。 一時的に頑張りすぎて、ストレスでリバウンドしてしまうと、本末転倒になりかねません。

無理なく続けるためのポイントとしては、まず目標を具体的にしすぎないことがあります。 たとえば、「1年で貯金を100万増やす」といった大きな目標だけでなく、「毎月2万円を先取り貯金する」「家計簿アプリを週1回だけ見る」といった、小さな行動目標を決めると、達成感を得やすくなります。

次に、家族と目標や状況を共有することも効果的です。 夫婦であれば、将来のライフプランや教育資金、老後の生活について話し合い、どのくらいの貯金額を目指すかを一緒に決めると、協力しやすくなります。 一人暮らしの場合も、信頼できる友人や家族に、貯金目標を軽く宣言しておくと、自分への適度なプレッシャーになることがあります。

また、たまにはお金を使う楽しみも大切にすることで、節約疲れを防ぎやすくなります。 旅行や趣味、自己投資など、「ここにはお金を使ってよい」と決めた分野を持つことで、我慢ばかりの生活になりにくくなります。 貯金900万がある人は、安心感を活かしつつ、将来と今のバランスを取りながら、長く続けられるマネープランを意識していきましょう。

ライフイベント別の資金目安と優先順位

ここでは、結婚や住宅購入、出産や教育費、老後資金など、主なライフイベントごとに必要とされる資金の目安と、貯金900万をどう位置づけるかを考えます。 すべてを一度に準備するのは難しいため、どのイベントを優先するかも重要なポイントです。

自分や家族のライフプランをイメージしながら、どのタイミングでどのくらいの資金が必要になりそうかを整理してみてください。

結婚・新生活の準備金目安と900万の活用例

結婚や新生活のスタートには、まとまったお金が必要になることが多いです。 結婚式や披露宴、新婚旅行、引っ越し費用、新居の家賃や敷金礼金、家具や家電の購入など、イベントが重なると、合計で数十万から数百万円単位の出費になることも珍しくありません。

各種調査によると、結婚式や披露宴にかかる費用は、規模や地域によって差はあるものの、平均で数百万円程度とされています。 一方で、ご祝儀や親からの援助がある場合も多く、実際の自己負担額はもう少し小さくなるケースもあります。 新婚旅行や新生活の初期費用も含めると、二人で合計100万から300万程度を目安に準備しておくと、選択肢を広げやすいと言えるでしょう。

貯金900万がある場合、その一部を結婚や新生活の資金として活用しつつ、残りを将来のライフイベントに備える形が考えられます。 たとえば、結婚関連で200万を使っても、700万は残ります。 この残りを、住宅購入の頭金や教育資金、老後資金の種として運用しながら育てていくイメージです。

結婚を機に家計が一つになる場合は、お互いの貯金額や収入、支出のスタイルをオープンにし、共通の目標を話し合うことが重要です。 結婚後の生活費や貯蓄額の目安を共有しておくことで、貯金900万をどう配分するか、どの程度を共同の資金とするかなど、具体的なプランが立てやすくなります。

住宅購入・頭金とローン返済のバランス

住宅購入は、多くの人にとって人生で最も大きな買い物の一つです。 頭金をどのくらい入れるか、どの程度の価格帯の物件を選ぶかによって、その後の家計への影響が大きく変わります。 貯金900万を持っていると、頭金にどの程度充てるかが悩みどころになるかもしれません。

一般的には、物件価格の2割程度を頭金として用意すると、住宅ローンの審査が通りやすくなったり、毎月の返済額が抑えられたりすると言われます。 たとえば、3,500万の住宅を購入する場合、頭金700万を入れるイメージです。 ただし、頭金を多くしすぎると、引っ越し費用や家具家電の購入、予備費など、他の出費に回せる現金が減ってしまいます。

貯金900万のうち、頭金として使う金額を決める際は、住宅購入後にどのくらいの生活防衛資金を残せるかを重視することが大切です。 生活費の半年から1年分は、いつでも引き出せる形で残しておくと、万一の病気や転職などにも対応しやすくなります。 また、住宅ローンの金利タイプや返済期間によっても、総返済額が変わるため、複数の金融機関のプランを比較検討することが重要です。

住宅購入は感情的な判断になりやすく、「理想の物件」を追い求めすぎると、予算オーバーになりがちです。 ライフプラン全体の中で、住宅にどの程度の割合の資金を割くのか、老後資金や教育費とのバランスを意識しながら、現実的なラインを探っていくことが、長期的な家計の安定につながります。

出産・教育費の見積もりと長期的資金計画

出産や子どもの教育費は、家計にとって大きなテーマです。 出産自体にも、入院費や検査費用、ベビー用品の購入など、まとまったお金が必要になりますが、その後の教育費はさらに長期にわたる負担となります。

出産費用は、出産一時金などの公的な給付で自己負担が抑えられる場合も多いものの、個室を利用したり、地域や病院によっては、数十万円程度の持ち出しが発生することがあります。 貯金900万があれば、出産費用に対応する余力は比較的高いと言えますが、同時にその後の教育費も視野に入れておく必要があります。

教育費については、公立中心か私立中心か、自宅から通うか下宿かによって、大きく金額が変わります。 文部科学省や日本政策金融公庫などの調査では、幼稚園から高校まで公立、大学は自宅から国公立というケースと、私立が多いケースでは、合計費用に数百万円から1,000万以上の差が出ることも示されています。

長期的な資金計画を立てる際は、教育資金専用の口座や積立を用意する方法があります。 たとえば、貯金900万のうち、教育資金として300万を目安に別口座に分け、さらに毎月1万から2万を積立投資で増やしていくイメージです。 児童手当をそのまま貯蓄や投資に回す家庭も多く、こうした仕組みを早めにつくることで、将来の負担を和らげやすくなります。

教育費は、親の希望と子どもの進路によって変わるため、「必ずこの金額が必要」とは言い切れません。 そのため、ある程度の目安を持ちつつも、子どもの成長に合わせて柔軟に見直せるような資金計画を意識することが大切です。

公的年金・個人資産での穴埋めと900万の位置づけ

老後資金を考えるとき、公的年金と自分の貯金や資産をどう組み合わせるかがポイントになります。 公的年金は、現役時代の収入や加入期間によって受給額が変わりますが、多くの場合、現役時代の手取り収入よりは少なくなります。 その差を埋めるために、貯金や資産運用の結果としての金融資産が重要な役割を果たします。

老後の生活費の目安としては、総務省の家計調査などをもとに、夫婦二人で月25万から30万程度とされることが多いです。 公的年金で20万を受け取れるとすると、残りの5万から10万を、貯金や資産から取り崩して補うイメージになります。 年間にすると60万から120万です。

貯金900万が老後のスタート時点である場合、年間100万を取り崩すと仮定すると、単純計算で9年分の不足分をカバーできる計算です。 一方で、退職金や企業年金、iDeCoなどの個人型年金がある場合は、老後の資金源はさらに増えます。 逆に、そうした制度がほとんどない場合は、自助努力としての貯蓄額や資産運用がより重要になります。

貯金900万は、老後資金として見れば「十分に安心」とは言い切れない一方で、「まったく準備がない」という状況とは大きく異なります。 今後の働き方や退職時期、年金の受給開始年齢などをふまえ、どのくらいのペースで貯蓄と運用を続けるかを考えることで、老後の不安を少しずつ小さくしていくことができるでしょう。

貯金900万で得られる安心と不足のサイン

ここでは、貯金900万があることで得られる安心感と、それでも注意しておきたい不足のサインについて整理します。 貯金額が多ければそれで終わりではなく、自分のライフプランに対して十分かどうかを定期的に確認することが大切です。

生活防衛資金の目安や、貯金だけではカバーしきれないリスク、保険や公的制度の活用方法などもあわせて見ていきましょう。

生活防衛資金・固定費×年数の目安

生活防衛資金とは、失業や病気、災害など、予期せぬ出来事があったときに、一定期間生活を維持するための貯金を指します。 一般的には、毎月の生活費の3か月から半年分、場合によっては1年分程度を目安にするとよいと言われますが、働き方や家族構成によって適切な水準は変わります。

たとえば、共働きで収入源が二つあり、どちらも安定した職業に就いている場合は、3か月から半年分でも安心感があるかもしれません。 一方、自営業やフリーランスで収入が不安定な場合や、専業主婦世帯で収入源が一人に集中している場合は、1年分以上を目安にする考え方もあります。 生活防衛資金は、生活費のうちでも特に「固定費」を中心に考えると、より現実的な額をイメージしやすくなります。

貯金900万がある場合、毎月の固定費が20万なら、単純計算で45か月、約3年半分の固定費を賄える計算です。 固定費が30万なら、約30か月、2年半ほどになります。 もちろん、実際には変動費もかかりますが、生活水準を一時的に下げることで、生活防衛資金を長持ちさせることも可能です。

生活防衛資金としてどのくらい確保するかを決めたうえで、それを超える部分を投資や将来のライフイベント資金として活用する、という考え方がよく用いられます。 こうした線引きをしておくことで、万一のときにも「ここまでは使ってよいお金」「ここから先は守るお金」という区別がつきやすくなります。

貯金だけでは足りないケース

貯金900万があっても、状況によっては「貯金だけでは心もとない」ケースがあります。 たとえば、住宅ローン残高が大きく、子どもが複数いて、これから教育費が本格的にかかる家庭では、今後の出費の合計がかなり高額になる可能性があります。

また、自営業やフリーランスで、景気や仕事の状況によって収入が大きく変動する場合も、貯金だけに頼るのはリスクが高いと言えます。 長期的なインフレが続き、物価が上昇し続けると、現金の実質的な価値が目減りしてしまう懸念もあります。 そのため、貯金だけでなく、年金や保険、投資など、複数の手段を組み合わせてリスクを分散することが重要です。

さらに、医療や介護の費用が想定よりも大きくなるケースもあります。 長期入院や自宅介護が必要になった場合、医療費や介護サービス費用だけでなく、家族の働き方が変わることで収入が減る可能性もあります。 こうした事態に備えるには、貯金だけでなく、公的な医療保険や介護保険、民間の保険商品も含めた「トータルの備え」を考える必要があります。

貯金900万は、多くの家庭にとって心強い金額である一方で、「これだけあれば何があっても大丈夫」と言い切れる額ではありません。 将来のライフイベントやリスクを洗い出し、どの部分を貯金で、どの部分を保険や公的制度で、そしてどの部分を資産運用でカバーするかを、バランスよく考えていくことが大切です。

保険や制度の活用でリスクを軽減する方法

貯金900万をより安心につなげるには、保険や公的制度を上手に活用し、想定外の大きな出費に備えることが重要です。 すべてを貯金でカバーしようとすると、必要な額が膨らみすぎて現実的ではないため、保険や制度を組み合わせてリスクを分散する考え方が役立ちます。

まず、公的な医療保険には「高額療養費制度」があり、一定額を超えた医療費は後から払い戻される仕組みがあります。 また、会社員であれば傷病手当金や出産手当金など、収入減少を部分的に補う制度もあります。 こうした公的制度の存在を知っておくことで、「医療費ですべての貯金がなくなるのでは」という不安を和らげやすくなります。

民間の保険としては、生命保険や医療保険、就業不能保険などがあります。 必要な保障は、家族構成や住宅ローンの有無、貯金額によって変わります。 たとえば、子どもが小さく、住宅ローンも残っている家庭では、世帯主に万一のことがあった場合の生活費やローン返済をカバーできる生命保険の重要度が高くなります。

一方、貯金900万があり、子どもも独立している場合は、過大な死亡保障は必要ないかもしれません。 その分、保険料を抑え、医療や介護に重点を置いた保障に見直す選択肢もあります。 保険は、一度加入したら終わりではなく、ライフステージに合わせて定期的に見直すことで、無駄な保険料を削減しつつ、必要なリスクにしっかり備えやすくなります。

また、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度も、老後資金づくりを助ける重要な仕組みです。 こうした制度を活用することで、同じ金額を貯める場合でも、税金の負担を抑えながら効率的に資産形成を進められる可能性があります。

チェックポイントと見直しタイミング

貯金900万の安心度を維持し、必要に応じて軌道修正していくには、定期的なチェックと見直しが欠かせません。 一度計画を立てたら終わりではなく、ライフイベントや収入の変化に応じて柔軟に対応していくことが大切です。

見直しのタイミングとしては、次のような節目が挙げられます。 結婚や出産、住宅購入、転職や独立、子どもの進学、親の介護が始まるときなど、大きなライフイベントがあった際には、家計や貯金額、保険、投資の方針を一度整理してみるとよいでしょう。

日常的なチェックとしては、年に1回程度、次のポイントを確認する習慣を持つのがおすすめです。

  • 現在の貯金額と金融資産の合計
  • 年間の貯蓄額と貯蓄割合の変化
  • 保険の内容が今のライフステージに合っているか

これらを確認することで、「このペースなら老後までにどのくらいの資産になりそうか」「どこかに無駄や過不足がないか」を早めに把握できます。 必要に応じて、FPなど専門家に相談し、第三者の視点からアドバイスを受けるのも一つの方法です。

制度や税制は、令和以降も含め、今後変更される可能性があります。 NISAやiDeCo、年金制度、税金のルールなどは、金融庁や日本証券業協会などの公的な情報源を定期的にチェックし、最新の内容を踏まえて家計の方針をアップデートしていくことが大切です。

まとめ

貯金900万は、多くの家庭にとって心強い金額であり、特に20代や30代では平均や中央値を上回るケースも少なくありません。 一方で、住宅ローンや教育費、老後資金といった長期的な出費を考えると、「これだけあれば十分」とは言い切れず、自分のライフプランに照らして考える必要があります。

この記事では、年代別の平均貯蓄額との比較や、生活費ケース別に貯金900万で何年暮らせるかの目安、預金と投資のバランス、NISAやiDeCoなどの制度活用、毎月の先取り貯金や固定費見直しのコツ、ライフイベントごとの資金目安などを整理しました。 大切なのは、金額そのものよりも、目的と優先順位を明確にし、無理なく続けられる仕組みをつくることです。

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この記事を書いた人

田中 壮のアバター 田中 壮 株式会社TFPグループ代表取締役

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

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