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確定拠出年金は解約できる?退職する時の状況ごとに取るべき対応や注意点を徹底解説

2023.04.24
確定拠出年金は解約できる?退職する時の状況ごとに取るべき対応や注意点を徹底解説

※この記事は商品プロモーションを含むことがあります。

「確定拠出年金に加入しているけれど退職後はどうなるんだろう?」
「途中で解約できるの?」
と悩んでいませんか?

メリットの多さから加入する人が増加している確定拠出年金ですが、詳しいところまで把握していない人も多いのではないでしょうか。

転職が珍しくない現在、企業型確定拠出年金について退職に伴いどんな手続きが必要かきちんと知っておかなければなりせん。退職後の手続きを忘れると思わぬデメリットがあるため、注意が必要です。

そこで、退職後の確定拠出年金について、手続き方法をケース別にご紹介します。解約の手続きをしなかった場合のリスクや注意点についても解説。ぜひ参考にしてください。

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退職金制度には退職一時金制度と企業年金制度がある

退職金制度には退職一時金制度と企業年金制度がある

老後の生活を支える退職金ですが、実は法律上に定めはありません。そのため、退職金を支給するかどうかは、企業に決める権利があります。また、退職金制度を導入している場合は主に以下の2種類の退職金制度があり、どちらを支給するかは企業次第です。

退職金制度

  • 退職一時金制度
  • 企業年金制度(確定給付年金、確定拠出年金など)

退職金は一括で受け取れる一時金制度と、会社を退職時にもらえる給付金を分割して受け取る企業年金の2種類。中にはどちらか一方だけでなく両方を支給する企業もあり、その詳細は就業規則に明記されています。

企業年金で多く導入されているのが、確定給付企業年金制度や企業型確定拠出年金制度です。会社によって支給事由や金額・期間などが異なるため、事前に確認しておきましょう。

確定拠出年金には企業型と個人型の2種類がある

確定拠出年金には企業型と個人型の2種類がある

節税効果が高く、老後の資金づくりに適している確定拠出年金。私的年金制度の1つで、加入者ごとに拠出された掛金を自ら運用し、結果に基づいて給付額が決定されます。また、その資金は原則60歳までは引き出せません。

掛金拠出時や運用時・受給時と、加入してから給付を受け取るまでの全期間に渡り税制上のメリットを受けられるのが特徴です。そんな確定拠出年金には以下の2つの種類があります。

確定拠出年金の種類

  1. 企業型確定拠出年金(企業型DC)
  2. 個人型確定拠出年金(iDeCo)

種類により受給できるタイミングや掛け金の上限などに違いがあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

①企業型確定拠出年金(企業型DC)

企業型確定拠出年金は、企業が掛金を拠出して加入者が運用していく年金です。加入するかは企業が決定する場合と、個人が決定する場合があります。掛金の額は役職や勤続年数等に応じて決められるのが一般的です。ただし、掛金の限度額は他の企業年金がない場合は月額55,000円、ある場合は27,500円に設定されています。(参照元:投資信託協会

他の企業年金とは厚生年金基金や確定給付企業年金のことを指し、個人年金保険は対象外です。また、運用商品を自分で選択するため、受け取れる金額は運用成績によって変動します。3年未満で退職した場合、企業によっては掛金の一部または全額を返金しなければならない可能性もあるので注意しましょう。

②個人型確定拠出年金(iDeCo)

個人型確定拠出金(iDeCo)は、個人で拠出した掛金を自分で運用し、資産を形成する年金制度です。基本的には20歳から65歳になるまで加入できます。ただし、職業によっては加入資格が異なるため注意が必要です。また、加入区分によって拠出できる掛金の上限が異なるため、自分がどこに区分されるのかは把握しておきましょう。

個人確定拠出年金は月額5,000円から始められるため、無理のない範囲で老後に備えられます。商品を選択し自ら運用していく形態は企業型と同じです。

関連記事:確定拠出年金とは?企業型と個人型の違いやメリット・デメリットについて解説

企業型確定拠出年金は退職したらどうなる?

企業型確定拠出年金は退職したらどうなる?

企業型確定拠出年金に加入している場合、退職後はその企業の確定拠出年金に加入する資格を喪失します。そのため、資産の移換手続きを行わなければなりません。

そして、企業型確定拠出年金を何に移換することになるかは、転職先に年金制度があるかどうかで異なります。そのため、まずは転職先の年金制度の有無を確認しましょう。退職後の対応については、以下のとおりです。

転職先の年金制度の有無 対応
①確定拠出年金制度あり 企業型確定拠出年金に移換
②確定拠出年金制度なし、確定給付企業年金制度あり 個人型確定拠出年金に移換、または確定給付企業年金に移換
③企業年金制度なし 個人型確定拠出年金に移換
④自営業、公務員、専業主婦(主夫) 個人型確定拠出年金に移換

出典:金融広報中央委員会「第3部 年金を受け取るまでに中途退職や制度変更があった場合」

転職先の年金制度の有無によって変わる対応について、それぞれのパターンを詳しく見ていきましょう。

①退職後に転職した企業に確定拠出年金制度がある場合

退職後に転職した企業にも企業型確定拠出年金制度がある場合は、そのまま転職先の企業型確定拠出年金に資産を移換できます。移換手続きの方法については、会社の担当部署に確認しましょう。

移換手続きの際に、転職後の企業型確定拠出年金で運用する金融商品と配分を決めます。移換手続きは退職後6ヶ月以内の手続きが必要となりますので、注意してください。

②退職後に転職した企業に確定拠出年金制度がない場合

退職後に転職した企業に確定拠出年金制度がない場合でも、企業年金制度があれば確定給付企業年金に移換できるケースがあります。ただし、これは確定給付企業年金の規約に受け入れ可能であることが定められている場合のみ。

受け入れ不可の場合は、個人型確定拠出年金へ移換しなければなりません。確定給付企業年金への資産移換が可能かどうかは、転職する企業によって異なるため担当部署に確認しておきましょう。

③退職後に転職した企業に企業年金制度がない場合

退職後に転職した企業に、確定拠出年金制度や確定給付企業年金制度がない場合は、個人型確定拠出年金への移換手続きが必要です。移換手続きは金融機関で行います。「個人別管理資産移換依頼書」「個人型年金加入申出書」という書類を提出し、手続きを進めていきましょう。

また、個人型確定拠出年金に移換する場合、運用のみを行うか、掛金を拠出し続けるのかを選択する必要があります。退職後に確定拠出年金の加入者資格を喪失した旨が記載された書類が届きますので、忘れずに手続きするようにしてください。

④退職後に自営業や公務員・専業主婦(主夫)になる場合

退職後に自営業や公務員・専業主婦になる場合は、個人型確定拠出年金へ移換手続きを行いましょう。移換後も掛金を拠出するか、運用のみにするかを選択してください。

個人型確定拠出年金の口座がない方は開設して、手続きを進めていきましょう。確定拠出年金の口座を開設できるのは1人1つの金融機関までで、管理手数料や信託報酬は金融機関ごとに大きく異なります。特に専業主婦(主夫)の場合は掛金の所得控除によるメリットがありません。管理手数料も加味して、慎重に選ぶようにしてください。

確定拠出年金は解約できる?掛金は返金されるの?

確定拠出年金は解約できる?掛金は返金されるの?

確定拠出年金は、原則60歳まで資産の引き出しはできません。ただし、やむをえない事由と認められるケースでは、脱退一時金を受け取れます。解約は法令で定める要件を満たす場合のみ。非常に厳しい条件が設けられています。確定拠出年金の解約条件は、以下の2つのケースで異なります。

確定拠出年金を解約する条件

  1. 企業型確定拠出年金を解約する場合
  2. 個人型確定拠出年金に移行した後に解約する場合

それぞれの解約要件について、さらに詳しく見ていきましょう。

①企業型確定拠出年金を解約する場合の条件

企業型確定拠出年金を解約するには、3つの条件があります。全て満たしていない場合には、解約はできません。解約の条件は、以下のとおりです。

企業型の確定拠出年金から脱退一時金を受け取るには、まず、年金資産額が15,000円以下でなければできません。そのほか、次の2つの要件もすべて満たしていなければなりません。

  • 企業型・個人型の確定拠出年金の加入者、または運用指図者でもないこと
  • 企業型確定拠出年金の加入者でなくなってから6ヶ月以内であること

引用:金融広報中央委員会「第3部 年金を受け取るまでに中途退職や制度変更があった場合」

1つでも満たしていない項目があれば、解約はできないと考えておきましょう。解約したい人は、必ず退職後6ヶ月以内に手続きをしておいてください。

②個人型確定拠出年金に移行した後に解約する場合の条件

企業型と同様に、個人型確定拠出年金を解約するためにも一定の条件をクリアする必要があります。以下の全ての項目を満たさなければ、解約は認められません。個人型確定拠出年金を解約するための条件は、以下のとおりです。

  • 国民年金保険料の納付を免除されていること
  • 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと
  • 通算拠出期間が3年以下(掛金を拠出しなかった期間は除く)、または年金資産額が25万円以下であること
  • 最後に企業型・個人型の確定拠出年金の加入者でなくなってから2年以内であること
  • 企業型確定拠出年金で脱退一時金を受給していないこと

引用:金融広報中央委員会「第3部 年金を受け取るまでに中途退職や制度変更があった場合」

個人型確定拠出年金の場合は、解約のための条件がより厳しくなっていることが分かるでしょうか。また、本来なら60歳以降に受け取るべき資産を脱退一時金として受け取るため、税制上の優遇は受けられない点に注意が必要です。受け取った脱退一時金は、一時所得として課税対象となります。

関連記事:確定拠出年金でいくら節税できる?税控除額の計算方法もご紹介

関連記事:確定拠出年金にかかる税金とは?一時金と年金の違いについても解説

【注意】6ヶ月以内に手続きをしなければ自動移換される

【注意】6ヶ月以内に手続きをしなければ自動移換される

退職や転職後には、確定拠出年金の移換手続きが必要です。万が一、期日内に手続きしなかった場合は、運用していた資産は現金化され国民年金基金連合会に自動的に移換されてしまいます。

期日は、退職日の翌日の属する月の翌月から起算して6ヶ月以内。自動移換されるときに手数料がかかるだけでなく、4ヶ月目以降は毎月管理料が引かれるため、資産は減っていくばかりです。

さらに、自動移換されたまま放置された期間は、通算加入期間にカウントされません。そのため、資産の引き出し可能時期が延びてしまう可能性もあります。自動移換にはデメリットしかないため、忘れずに手続きを行いましょう

まとめ

確定拠出年金には企業型と個人型があり、どちらも税制上のメリットが受けられます。原則60歳まで資金が引き出せないため、老後に向けた資産形成に適した制度です。例外的に脱退一時金を受け取れるケースもありますが、条件が厳しいのでほぼ不可能だと考えておきましょう。さらに、解約となると税制上の優遇は受けられません。

退職や転職などで企業型確定拠出年金の資格を喪失したら、必ず移換手続きを行う必要があります。退職後6ヶ月以内に必要な手続きをしないと自動移換され、資産が目減りしてしまうので忘れずに手続きを行ってください

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高柳政道

高柳政道

CFP・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

静岡県出身。小売業やメーカー営業を経験後にライターへ転身。 FP資格を活かして執筆業務を行う。 得意分野は「株式投資」「保険」「クレジットカード」「カードローン」など。 保有資格は「CFP」「1級ファイナンシャル・プランニング技能士」。

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