年金の仕組みをわかりやすく解説!公的年金の種類や特徴についてもご紹介

年金

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田中壮

TFPグループ 代表取締役 田中 壮

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

老後の生活費と言われても、年金がどんな仕組みなのか分かりにくいと感じる方は多いです。 会社員か自営業者か、配偶者がいるかどうかでも受け取れる金額や負担は変わります。 何となく払っているだけでは、将来の見通しも立てにくいものです。

この記事では、日本の公的年金の種類や仕組みをやさしく整理します。 国民年金と厚生年金の違い、保険料や計算方法、上乗せできる私的年金まで一通り確認できます。 自分がどの制度にどう加入しているかを知り、老後の準備を考えるきっかけにしてみてください。

目次

公的年金の種類と対象者をわかりやすく整理

最初に、日本の公的年金の種類と対象者を整理します。 年金は大きく分けると、全国民共通の国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金があります。 この二つの組み合わせが、いわゆる二階建て構造です。

さらに、加入する人の立場によって第1号から第3号まで被保険者区分が分かれます。 遺族年金や障害年金も含めた全体像をつかむと、自分や家族がどんな場面で守られているかが見えやすくなります。 ここでは、その仕組みを順番に見ていきましょう。

国民年金の仕組み

国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満の人が、原則として全員加入する公的年金です。 自営業者やフリーランス、学生、無職の人など、会社員や公務員でない人が主な加入者になります。 この部分は「基礎年金」とも呼ばれ、将来の老齢年金や障害年金、遺族年金の土台になる制度です。

国民年金の保険料は定額で、毎月同じ金額を納付します。 金額は年度ごとに変わり、令和の時点では月額が決められていますが、最新の保険料は日本年金機構や厚生労働省の公表を確認する必要があります。 収入が少ない人や学生には、免除や猶予といった制度も用意されており、条件を満たせば保険料の全額または一部が軽くなる仕組みです。

国民年金の特徴は、加入期間が老後の年金額に直結する点にあります。 原則として10年以上の加入期間があれば老齢基礎年金を受け取る資格が生じ、40年分の納付があれば満額に近づく形です。 納付が抜けている期間が多いと、将来の年金額が小さくなる可能性があります。

保険料は口座振替やクレジットカードで支払うこともでき、前納すると一定の割引がある年度もあります。 支払いが難しいときに放置すると、受給額に影響するだけでなく、障害年金などの対象から外れてしまう場合もあります。 困ったときは早めに年金事務所や窓口に相談し、自分に合う制度を確認しておくと安心でしょう。

厚生年金の仕組みと保険料の負担構造

厚生年金は、会社員や公務員など、企業や事業所に勤めている人が加入する公的年金です。 国民年金の上に重なる二階部分にあたり、老後の年金額を増やす役割があります。 原則として、一定規模以上の会社に勤める人は、給与から自動的に厚生年金保険料が差し引かれる仕組みです。

厚生年金の保険料は、国民年金と違い定額ではありません。 標準報酬月額と呼ばれる給与や賞与の額を基準にして、一定の率を掛けて計算します。 この保険料は、本人と事業主が折半して負担するのが特徴です。 つまり、給与明細に記載される厚生年金保険料は、実際に納めている金額の半分ということになります。

将来受け取る厚生年金の一部は、この標準報酬と加入期間に応じて決まる「報酬比例部分」です。 収入が高く、長く加入しているほど、受け取る年金額は増えやすい構造になっています。 ただ、制度改正により計算式が変わることもあるため、あくまで目安として考える必要があります。

厚生年金に加入している間は、国民年金の保険料を別に払う必要はありません。 基礎年金の部分も含めて、まとめて給与から控除されます。 転職や退職で厚生年金を抜けるときは、国民年金への切り替えが必要になるため、手続きを忘れないよう注意しておきたいところです。

被保険者区分の違い

公的年金には「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」という区分があります。 これは、立場によって保険料の負担方法や加入する制度が変わるための分け方です。 自分がどの区分に当てはまるかを知ると、年金の仕組みが理解しやすくなります。

第1号被保険者は、自営業者やフリーランス、学生、無職の人などで、国民年金だけに加入する人です。 保険料は自分で納付し、収入が少ない場合は免除や猶予の制度を利用できることがあります。 第2号被保険者は、会社員や公務員など厚生年金に加入している人で、保険料は給与から天引きされる仕組みです。

第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者が対象です。 例えば、会社員の夫の収入で暮らす専業主婦やパート勤務の妻などが該当する場合があります。 この区分の人は、自分で国民年金保険料を払わなくても、将来の基礎年金を受け取れる仕組みになっています。

ただし、第3号被保険者の条件には、年収の上限や年齢などの細かい決まりがあります。 パート収入が増えて基準を超えると、第3号から外れて自分で保険料を納める必要が出てくることもあります。 状況が変わったときは、会社や年金事務所に確認し、区分が正しく反映されているかチェックしておくと安心です。

遺族年金・障害年金・老齢年金の種類と給付条件

公的年金は老後のためだけではなく、万が一のときにも備える仕組みがあります。 代表的なのが、老齢年金、遺族年金、障害年金の三つです。 それぞれ種類や条件が異なるため、ざっくりと特徴を押さえておくと役立ちます。

老齢年金は、原則として65歳以降に受け取る年金です。 国民年金の部分は老齢基礎年金、厚生年金の部分は老齢厚生年金と呼ばれ、加入期間や保険料の納付状況によって金額が変わります。 受給には原則10年以上の加入期間が必要で、満額を受け取るには40年分の納付が目安になります。

遺族年金は、家計を支えていた人が亡くなったときに、残された家族の生活を支えるための年金です。 国民年金には遺族基礎年金があり、主に子どものいる配偶者や子どもが対象になります。 厚生年金には遺族厚生年金があり、一定の条件を満たす配偶者や子どもなどに支給される仕組みです。

障害年金は、病気やけがで生活や仕事に大きな制限が出たときに支給される年金です。 障害基礎年金と障害厚生年金があり、初診日の時点でどの制度に加入していたかがポイントになります。 いずれも、保険料の納付要件や障害の程度など細かな条件がありますので、実際に申請する際は日本年金機構や専門窓口で最新の基準を確認することが大切です。

年金の給付と受給額の計算を具体例で解説

次に、年金の給付と受給額の考え方を見ていきます。 老齢基礎年金や老齢厚生年金は、加入期間や収入をもとに計算されますが、実際の金額は人によって大きく違います。 ここでは、計算の仕組みをおおまかに押さえることを目的にします。

基礎年金の満額要件や、厚生年金の報酬比例部分の計算方法を知ると、自分の将来の年金額をイメージしやすくなります。 繰上げ受給や繰下げ受給を選ぶと金額がどう変わるかも、老後の働き方を考えるうえで重要なポイントです。 具体例を交えながら、無理のない範囲で理解していきましょう。

基礎年金の計算と満額要件

老齢基礎年金は、国民年金の加入期間と保険料の納付状況によって金額が決まります。 満額を受け取るには、原則として20歳から60歳までの40年間、保険料を納め続けることが前提です。 実際には免除や猶予の期間もあり、それらがどの程度カウントされるかで受給額が変わります。

基礎年金の満額は、年度ごとに見直されます。 例えば、ある年度の満額が年間約78万円前後と公表されている場合、その40年分を基準に、自分の納付期間の割合を掛けて計算します。 30年分の加入であれば、40年の4分の3なので、満額の約75パーセント程度が目安になるイメージです。

免除や猶予を受けた期間は、全額がそのままカウントされるわけではありません。 全額免除なら一部が、半額免除ならもう少し多く、といった具合に、反映される割合が決められています。 そのため、同じ40年でも、どのくらい実際に納付したかによって受給額は変わってきます。

自分の見込み額を知りたい場合は、日本年金機構から届く「ねんきん定期便」や、ねんきんネットでの試算が参考になります。 ただし、将来の制度改正や物価の変動によって金額が変わることもあります。 あくまで現時点での目安としてとらえ、定期的に最新情報を確認しながら、老後の資金計画を考えていくことが大切です。

厚生年金の報酬比例部分の計算方法

老齢厚生年金の中心となるのが「報酬比例部分」です。 これは、働いていたときの収入と厚生年金への加入期間をもとに計算されます。 国民年金の基礎年金が土台だとすると、その上に収入に応じた上乗せがされるイメージです。

計算の基本は、現役時代の標準報酬月額と標準賞与額を合計し、それに乗率と呼ばれる決められた数字を掛ける形になっています。 さらに、厚生年金に加入していた月数も影響します。 同じ収入でも加入期間が長いほど、将来の年金額は多くなりやすい仕組みです。

ただ、実際の計算式は複雑で、加入した時期や生年月日によっても細かな違いがあります。 そのため、自分でぴったりの金額を出すよりも、おおまかな考え方を押さえる程度でよい場合が多いです。 詳細な金額は、ねんきん定期便や年金事務所での試算を利用する方が現実的だといえます。

報酬比例部分があることで、厚生年金に長く加入していた会社員や公務員は、基礎年金だけの人より受給額が多くなる傾向があります。 一方で、転職やパート勤務などで加入期間が途切れると、その分は将来の年金額に反映されません。 働き方を変えるときには、収入だけでなく、厚生年金の加入期間がどうなるかも一度確認しておくと判断しやすくなります。

受給額の試算例

年金の仕組みを理解するには、具体的なイメージを持つことが役に立ちます。 ここでは、あくまで単純化した例として、受給額の考え方を見てみましょう。 実際の金額とは異なる可能性がありますので、参考程度としてご覧ください。

例えば、自営業者として国民年金だけに40年間加入し、保険料をきちんと納付した人を考えます。 この場合、老齢基礎年金は、その年度の満額に近い金額が見込まれます。 仮に満額が年間約78万円だとすると、月あたりでは約6万円台前半というイメージになります。

一方、会社員として厚生年金に40年間加入し、標準報酬月額が平均的な水準だった人であれば、基礎年金に加えて報酬比例部分が上乗せされます。 結果として、月に10万円台半ばから20万円弱程度になるケースもありますが、収入や加入期間によってかなり差が出ます。 夫婦二人分を合わせると、世帯としての受給額はさらに変わってきます。

実際には、免除期間やパート勤務、退職時期、繰上げや繰下げの有無など、多くの要素が絡みます。 より正確な数字を知りたい場合は、ねんきんネットで自分の加入記録を確認し、将来の年金額を試算することが重要です。 そのうえで、老後に必要な生活費と比べ、どの程度を貯蓄や私的年金で補うかを検討していくと、資金計画を立てやすくなります。

繰上げ・繰下げの仕組みと受給額への影響

老齢年金は、原則として65歳から受け取りますが、希望すれば早めたり遅らせたりすることもできます。 これが「繰上げ受給」と「繰下げ受給」です。 それぞれメリットと注意点があり、どちらが良いかは人によって異なります。

繰上げ受給は、60歳以降で条件を満たせば、65歳より前から年金を受け取り始める仕組みです。 早く受け取れる代わりに、1カ月繰り上げるごとに受給額が一定割合減り、その減額は一生続きます。 働く予定がなく、貯蓄も少ない場合には魅力的に見えますが、長生きした場合の総額は少なくなる可能性があります。

繰下げ受給は、66歳以降に受給開始を遅らせる方法です。 遅らせた期間に応じて年金額が増え、長生きするほど総額が多くなりやすい仕組みです。 ただ、受け取りを遅らせる間の生活費をどう確保するかという問題があるため、無理のない範囲で検討することが大切になります。

どちらを選ぶかは、健康状態や家族構成、貯蓄額、働き方などによって変わります。 一度選ぶと原則として元には戻せないため、国のシミュレーションや年金事務所での相談を活用し、自分の状況に合うかどうかを慎重に考える必要があります。 制度の内容や増減率は変更されることもあるため、判断する際には必ず最新の情報を確認しておきましょう。

保険料・納付・免除・猶予の仕組みと納付方法

ここからは、年金保険料の納付や、支払いが難しいときの免除・猶予制度について説明します。 特に国民年金は、自分で納付を管理する必要があるため、仕組みを知っておくことが重要です。 未納のままにしておくと、将来の年金額や障害・遺族年金の受給に影響するおそれがあります。

納付方法や免除・猶予の条件、追納や合算での挽回方法を理解しておけば、収入が不安定な時期でも必要以上に不利にならずに済む可能性があります。 厚生年金の保険料についても、給与からどのように控除され、事業主がどの程度負担しているかを知ることで、制度への理解が深まります。 一つずつ確認していきましょう。

国民年金保険料の納付方法

国民年金保険料は、20歳から60歳までの間、自分で納付するのが基本です。 日本年金機構から届く納付書を使ってコンビニや金融機関で支払う方法のほか、口座振替やクレジットカード払いを選ぶこともできます。 毎月の支払いを自動化しておくと、納め忘れを防ぎやすくなります。

保険料は原則として毎月決まった金額で、年度ごとに見直されます。 年度の途中で収入が変わっても、その年の保険料は一律です。 前納制度を利用して数カ月分や1年分、2年分をまとめて支払うと、一定の割引が適用される年度もあります。 余裕があるときに前納しておくと、トータルの負担を少し抑えられることもあります。

支払いが遅れると、納付期限から2年を過ぎた分は原則として納め直すことができません。 その期間は将来の年金額に反映されないため、長い目で見ると大きな差になる場合があります。 うっかり未納のままにしないよう、支払い方法を早めに整えておくことが重要です。

保険料の金額や納付方法は、制度改正やシステムの変更で変わることがあります。 最新の情報は、日本年金機構の公式サイトや年金事務所の窓口で確認できます。 特に学生や20歳直後の人は、案内に気づかないまま未納になるケースもあるため、届いた書類は必ず目を通しておくと安心でしょう。

免除制度・猶予制度の種類と手続き、納付期間への影響

収入が少ないときや失業したときなど、国民年金保険料の支払いが難しくなる場面もあります。 そのような場合に利用できるのが、免除制度や納付猶予制度です。 これらを活用することで、未納のまま放置するよりも将来の年金額への影響を抑えられる可能性があります。

免除制度には、全額免除や一部免除などいくつかの種類があります。 所得や世帯の状況などに応じて、保険料の全額または一部の納付が免除される仕組みです。 一方、納付猶予制度は、一定の年齢以下で所得が少ない人などを対象に、保険料の支払いを一時的に先送りできる制度です。 学生向けには、学生納付特例制度も用意されています。

これらの制度を利用するには、役所や年金事務所で申請手続きが必要です。 承認されると、その期間は未納ではなく免除や猶予として扱われます。 将来の老齢年金の計算では、免除や猶予の期間も一部カウントされるため、未納に比べると有利になりやすいと言えます。

ただし、免除や猶予の期間は、全額納付した場合よりも年金額が少なくなります。 後から余裕ができたときに追納すれば、一定期間までさかのぼって保険料を納め直すことも可能です。 制度の内容や対象者、必要書類などは年度によって変わることがあるため、利用を検討するときは必ず最新の情報を確認し、自分の状況に合った選択をすることが大切です。

追納・合算の活用法と納付漏れが受給に与える影響

免除や猶予を受けた期間がある場合、そのままにしておくか、後から追納するかで将来の年金額が変わります。 追納とは、過去に免除や猶予となっていた保険料を、あとから納め直すことです。 一定の期限内であれば、追納によって老齢基礎年金の受給額を増やせる可能性があります。

追納できる期間は、原則として免除や猶予を受けた年度の翌年度から10年以内など、決まりがあります。 期限を過ぎると、その期間の保険料は納め直せなくなり、年金額に反映されないままになります。 また、追納する期間によっては、加算金が上乗せされる場合もあり、負担額が変わる点にも注意が必要です。

一方、合算対象期間と呼ばれる仕組みもあります。 これは、保険料を納めていない期間でも、受給資格期間の計算には含められる期間です。 老齢年金の受給資格を満たすための「年数」を増やす役割があり、10年の受給資格期間に届くかどうかの境目では重要になることがあります。

ただし、合算対象期間は年金額そのものを増やすわけではありません。 受給資格を確保するための制度と考えると分かりやすいです。 納付漏れや未納期間が多いと、受給額が減るだけでなく、障害年金や遺族年金の条件にも影響する場合があります。 自分の加入記録を定期的に確認し、必要に応じて追納や合算の相談をしておくことが、将来の不安を減らす一歩につながります。

厚生年金保険料のしくみ(事業主負担=折半)と給与からの控除

厚生年金保険料は、会社員や公務員の給与から自動的に天引きされています。 本人が納付書で支払う必要はありませんが、その分、仕組みが見えにくくなりがちです。 給与明細を通して、どのように計算されているかを知っておくと、自分の負担感も理解しやすくなります。

保険料は、標準報酬月額と標準賞与額をもとに決まります。 標準報酬月額は、実際の給与を一定の幅ごとに区切ったもので、その等級に応じて保険料が計算されます。 厚生年金の保険料率を掛け、その総額を会社と本人で半分ずつ負担する仕組みです。 つまり、会社も同じだけ保険料を出していることになります。

給与明細には、厚生年金保険料として本人負担分だけが記載されています。 実際にはその倍の金額が、日本年金機構などを通じて年金制度に拠出されている形です。 この仕組みによって、会社員は国民年金だけの人に比べて、将来の年金額が増えやすくなっています。

保険料率や標準報酬の区分は、法改正や経済状況に応じて変わることがあります。 長く働くほど加入期間が伸び、報酬比例部分の年金も増えやすくなりますが、残業代や賞与の有無などでも標準報酬は変わります。 転職や働き方の変更を考えるときには、手取りだけでなく、厚生年金保険料と将来の年金額への影響も含めて検討しておくと、より納得感のある選択につながるでしょう。

サラリーマン・会社員が押さえるべき年金のポイント

会社員や公務員として働く人は、国民年金に加えて厚生年金にも加入しています。 そのため、老後の年金額は自営業者などに比べて多くなる傾向がありますが、それだけで十分とは限りません。 企業年金や私的年金をどう組み合わせるかで、老後の安心度は変わってきます。

ここでは、企業年金の種類や、会社員が取りやすい上乗せの方法について整理します。 自分の会社にどの制度があるか、また自分で準備できる選択肢は何かを知ることで、将来に向けた資産づくりを考えやすくなります。 二階建て構造のメリットと注意点も含めて確認していきましょう。

企業年金の種類と従業員への影響

企業年金は、会社が従業員の老後のために用意する私的年金です。 公的な厚生年金に上乗せする形で支給されるため、あるかないかで将来の受給額に差が出ることがあります。 企業ごとに制度の有無や内容が異なり、従業員の退職後の生活に少なくない影響を与えます。

代表的な企業年金には、確定給付企業年金と確定拠出年金があります。 確定給付企業年金は、将来受け取る年金額の水準をあらかじめ決め、そのために必要な掛金を企業などが拠出する仕組みです。 従業員から見ると、受け取る金額が比較的イメージしやすい制度と言えます。 一方、企業型確定拠出年金は、会社が掛金を拠出し、その運用結果によって将来の受給額が変わる仕組みです。

確定拠出年金では、従業員自身が運用商品を選ぶ必要があります。 運用がうまくいけば受給額が増える可能性もありますが、元本割れのリスクもあります。 運用の責任が加入者側にある点が、確定給付型との大きな違いです。 どちらの制度でも、途中で退職する場合の扱いや、他の制度への移換方法などを確認しておくことが重要になります。

自分の会社にどの企業年金があるかは、就業規則や人事部の案内で確認できます。 制度がない場合は、公的年金だけに頼る形になるため、自分でiDeCoや個人年金保険などを検討する人もいます。 企業年金がある人も、その内容を理解したうえで、必要に応じて別の上乗せ策を組み合わせると、老後の資金計画を立てやすくなるでしょう。

会社員の「上乗せ」戦略

会社員は、公的な厚生年金に加えて、企業年金や私的年金を組み合わせることで、老後の収入源を増やしやすい立場にあります。 ただし、何をどの程度利用するかは、家計や働き方によって変わります。 無理のない範囲で上乗せしていくことが大切です。

まず、自分の将来の公的年金額を把握することが出発点になります。 ねんきん定期便やねんきんネットで、老齢基礎年金と老齢厚生年金の見込み額を確認し、夫婦であれば世帯全体の受給額もイメージしてみましょう。 そのうえで、老後に必要な生活費と比べ、どの程度不足しそうかを考えます。

不足分を補う方法としては、企業型確定拠出年金のマッチング拠出や、個人型のiDeCo、つみたてNISAなどがよく話題になります。 税制優遇がある制度は、長期的な資産形成に向いている場合が多いですが、原則として60歳まで引き出せないなどの制約もあります。 短期の出費に備える生活費の預貯金とは、目的と性質が異なる点に注意が必要です。

どの上乗せ策を選ぶかは、リスク許容度や家族構成、住宅ローンの有無などによっても違ってきます。 一つの制度に偏らず、預貯金と投資、保険などをバランスよく組み合わせる考え方もあります。 制度や金融商品の内容は変わることがありますので、利用前には最新の情報を確認し、必要に応じて専門家に相談しながら、自分に合ったペースで準備していくことが望ましいでしょう。

国民年金基金や個人型の任意加入でできる上乗せ策

自営業者やフリーランスなど、厚生年金に加入していない人は、国民年金だけでは老後の年金額が少なめになりやすいと言われます。 そのため、公的年金に上乗せできる制度を活用することが一つの選択肢になります。 代表的なのが、国民年金基金やiDeCoなどの私的年金です。

国民年金基金は、第1号被保険者が加入できる公的色の強い私的年金で、国民年金に上乗せする形で老齢年金を受け取る仕組みです。 掛金は全額が所得控除の対象となり、税負担を軽くしながら老後資金を準備できる点が特徴です。 将来受け取る年金額があらかじめ決まっているタイプもあり、計画を立てやすいと感じる人もいます。

一方、個人型確定拠出年金であるiDeCoは、会社員や公務員、自営業者など幅広い人が対象です。 掛金の上限は職業や加入している年金制度によって異なりますが、掛金が全額所得控除になるうえ、運用益も非課税になるなど、税制面のメリットがあります。 ただし、原則として60歳まで引き出せないため、生活費の予備資金とは分けて考える必要があります。

任意加入という形で、60歳以降も国民年金に加入し続ける方法もあります。 一定の条件を満たす人が対象で、老齢基礎年金の受給額を増やす目的で利用されます。 ただ、保険料の負担と増える年金額のバランスをよく確認し、自分にとって無理のない選択かどうかを検討することが大切です。 これらの制度は、条件や掛金の上限が変更されることもあるため、加入前には必ず最新の情報を確認しましょう。

2階建て構造がもたらすメリットと落とし穴

日本の公的年金は、国民年金を1階、厚生年金を2階とする二階建て構造とよく説明されます。 この仕組みにより、全国民が一定の基礎年金を持ちつつ、会社員や公務員は収入に応じた上乗せを受けられる形になっています。 一見すると分かりやすい構造ですが、メリットと同時に注意点もあります。

メリットとしては、職業にかかわらず基礎年金があるため、自営業者や無職の期間がある人でも最低限の老齢年金を確保しやすい点が挙げられます。 さらに、厚生年金に加入している期間は、会社が保険料を折半してくれるため、自分だけで準備するより効率的に老後資金を積み立てられる面もあります。 障害年金や遺族年金の仕組みも、同じ基礎と上乗せの考え方で成り立っています。

一方で、落とし穴になりやすいのが、転職や退職、パート勤務への変更などで、厚生年金の加入期間が想定より短くなるケースです。 二階部分をあてにしていたのに、結果として受給額が少なくなることもあり得ます。 また、国民年金の未納期間があると、1階部分の基礎年金も減ってしまい、老後の収入全体が小さくなる可能性があります。

二階建て構造を上手に活用するには、自分の加入状況を定期的に確認し、将来の受給額をおおまかに把握しておくことが欠かせません。 そのうえで、不足しそうな分を私的年金や貯蓄で補うイメージを持つと、老後の不安を少しずつ減らしていけます。 制度は今後も変わる可能性があるため、ニュースや公的機関の情報に目を向けながら、柔軟に見直していく姿勢が大切です。

私的年金(iDeCo・企業年金・国民年金基金)のメリットと注意点

公的年金だけでは、老後の生活費として十分か不安を感じる人は少なくありません。 その補う役割を期待されているのが、iDeCoや企業年金、国民年金基金などの私的年金です。 これらを上手に組み合わせることで、老後の収入源を増やすことが期待できます。

ただし、私的年金には税制優遇などのメリットがある一方で、運用リスクや途中解約の制限などの注意点もあります。 ここでは、それぞれの仕組みや対象者、掛金の特徴を整理し、公的年金に上乗せするときの考え方を紹介します。 自分に合うかどうかを見極めるヒントとして活用してください。

iDeCoの対象者・掛金・税制優遇のポイント

iDeCoは、個人型確定拠出年金と呼ばれる私的年金制度です。 自分で毎月掛金を拠出し、そのお金を投資信託や定期預金などで運用し、60歳以降に年金や一時金として受け取る仕組みです。 公的年金に上乗せする形で老後資金を準備したい人に向いています。

対象者は、自営業者や会社員、公務員、専業主婦など幅広く、ほとんどの現役世代が何らかの形で加入できます。 ただし、掛金の上限額は、国民年金の種類や企業年金の有無によって変わります。 例えば、企業年金のない会社員と、企業型確定拠出年金に加入している会社員では、iDeCoに拠出できる年間の上限が異なります。

iDeCoの大きな特徴は、税制優遇が手厚い点です。 掛金は全額が所得控除となり、所得税や住民税の負担を軽くする効果が期待できます。 さらに、運用中の利益も非課税で、受け取るときにも一定額までは税金の優遇があります。 長期で積み立てるほど、こうしたメリットを実感しやすい制度だと言えるでしょう。

一方で、原則として60歳まで掛金を引き出せないという制約があります。 途中で急にお金が必要になっても、iDeCoの資産を生活費に回すことは基本的にできません。 運用商品によっては元本割れのリスクもあるため、預貯金などの安全資金とバランスを取りながら利用することが重要です。 制度の詳細や加入条件は変わることがあるため、金融機関や公的機関の最新情報を確認してから検討するようにしましょう。

企業型確定拠出年金と確定給付企業年金の違いと選び方

企業年金には、主に企業型確定拠出年金と確定給付企業年金の二つのタイプがあります。 どちらも厚生年金に上乗せされる私的年金ですが、将来の年金額がどのように決まるかという点で大きな違いがあります。 自分の会社にどちらの制度があるかを理解しておくと、老後のイメージを持ちやすくなります。

企業型確定拠出年金は、会社や本人が拠出した掛金を、従業員自身が選んだ商品で運用する仕組みです。 将来受け取る金額は、拠出した掛金の合計と運用成績によって決まります。 運用がうまくいけば受給額が増える可能性がありますが、運用次第では元本を割り込むリスクもあります。 運用の責任が加入者側にある点が特徴です。

一方、確定給付企業年金は、あらかじめ決められた給付水準に合わせて、会社などが掛金を拠出し、運用を行う制度です。 従業員から見ると、将来受け取る年金額が比較的予測しやすく、運用リスクは会社側が負う形になります。 ただし、企業の経営状況や制度変更によって、将来の給付内容が見直される可能性もゼロではありません。

選び方と言っても、従業員が制度そのものを自由に選べるわけではない場合が多いです。 ただ、自分の会社にどの制度があるかを理解したうえで、足りない部分をiDeCoやつみたてNISAなどで補うかどうかを考えることはできます。 企業型確定拠出年金がある場合は、自分の運用スタイルやリスク許容度を見極め、商品選びや配分を定期的に見直すことが重要です。 いずれの制度も、規約や税制が変わることがありますので、会社の案内や最新の制度説明をこまめに確認しておきましょう。

国民年金基金の仕組みとどんな人が加入すべきか

国民年金基金は、第1号被保険者が加入できる公的色の強い私的年金です。 国民年金だけでは老後の年金額が不安だと感じる自営業者やフリーランスなどが、上乗せの手段として利用しています。 掛金を払うことで、将来の老齢年金を増やす仕組みです。

国民年金基金の特徴は、将来受け取る年金額があらかじめ決まっているタイプのコースがあることです。 例えば、終身年金や一定期間だけ受け取る有期年金など、複数の種類から選べます。 掛金の額もコースによって変わるため、自分の収入や必要な老後資金に合わせて組み合わせることが可能です。

掛金は全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担を軽くする効果が期待できます。 これは、iDeCoと同じように税制優遇がある点で、老後資金の準備と節税を同時に進めたい人には魅力的な制度と言えます。 ただし、一度加入すると原則として途中解約が難しく、掛金の負担が重く感じる時期が来る可能性もあります。

どんな人が加入を検討しやすいかというと、自営業者やフリーランスで、ある程度安定した収入があり、長期的に掛金を続けられそうな人が挙げられます。 将来の年金額をある程度固定しておきたい人にも向きますが、インフレや制度変更などのリスクも考慮する必要があります。 加入前には、国民年金基金の公式情報やシミュレーションを確認し、無理のない掛金設定かどうかを慎重に検討しましょう。

私的年金を公的年金に上乗せする際のリスク管理と受給の目安

私的年金を活用して公的年金に上乗せすることは、老後の安心感を高める一つの方法です。 ただし、掛金の負担や運用リスクを考えずに増やし過ぎると、現役時代の家計が苦しくなったり、想定どおりの受給ができなかったりする可能性もあります。 リスクとメリットのバランスを意識することが重要です。

リスク管理の基本は、生活費の預貯金と老後資金の積み立てを分けて考えることです。 例えば、数年以内に必要になるお金は、値動きの少ない預貯金や短期の商品で確保し、老後まで使わないと決めたお金をiDeCoや企業年金、投資信託などで増やすイメージです。 一つの制度や商品に集中せず、複数の手段を組み合わせることで、特定のリスクに偏らないようにする考え方もあります。

受給の目安を考えるときは、公的年金の見込み額をベースにします。 そこに、企業年金やiDeCo、国民年金基金などからの想定受給額を足し合わせ、老後の生活費と比較してみましょう。 老後の支出は、住居費や医療費、趣味や旅行など、何にどれだけ使いたいかによって大きく変わります。 一律の正解はないため、自分や家族のライフスタイルに合わせて考える必要があります。

私的年金や投資商品は、制度や税制が変わることもありますし、運用成績も保証されていません。 そのため、定期的に状況を見直し、必要に応じて掛金や商品構成を調整していく姿勢が大切です。 最終的な判断はそれぞれの自己責任となるため、公的機関の情報や複数の金融機関の説明を比較し、納得したうえで利用するようにしましょう。

まとめ

年金の仕組みは複雑に見えますが、国民年金という土台の上に、厚生年金や企業年金、私的年金が重なる構造だと考えると整理しやすくなります。 自分が第1号から第3号までのどの被保険者に当てはまるか、どの制度に何年加入しているかを知ることが、老後の見通しを立てる第一歩です。

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この記事を書いた人

田中 壮のアバター 田中 壮 株式会社TFPグループ代表取締役

2009年、株式会社STEPに入社し、システム開発を担当。市川市消防局でのレスキュー隊の経験を経て、2013年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社し保険業界へ。2014年には個人保険販売ランキングで全社営業マン約4,000人中4位となり、2015年に営業所長に就任。その後、保険代理店(株式会社イコールワン)を共同創業。2018年に株式会社TFPグループを設立し、代表取締役に就任。自身はMDRT(生命保険・金融サービスの専門家が所属するグローバル組織)2024年度TOT(トップ・オブ・テーブル/最上級の資格)基準を達成。

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